梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’07 『アセダク洛北』

2007年09月19日 | 芝居
京都でむかえた連休最終日は叡山電鉄に乗って鞍馬・貴船へ。
出町柳からのんびりガタゴト列車に揺られ、車窓に触れんばかりの青葉紅葉のトンネルをくぐりぬけたどり着いた鞍馬駅。市内よりかはいくぶん涼しいように感じられました。静かな駅前の店々からは、名物の木の芽漬けの香りがほのかに漂っておりました。



鞍馬寺を奥の院までゆき、そのまま貴船まで降りて貴船神社に詣でるコースをとりました。深い緑の中、急な石段をひたすら登って奥の院を目指す歩みの中で、澄んだ空気をお腹いっぱい吸い込み、霊場の<気>をたっぷりと頂きました。苔むす石垣や樹々の肌、キラキラと差し込む日の光。山内のあらゆるものから不思議な力があふれているように思え、昨日のハーブ園でのひとときとはまた違った癒しを受けたような…。折々の休憩所からの眺望も素晴らしく、幸せな気分になりました。



さすがに長時間の歩きにシャツはぐっしょり。それもまた気持ちよいものですね。無事奥の院にたどりついた時は、自ずから、なんとも有難い気持ちになりました。



奥の院からは下り道ですが、やはり急な山道にはかわりなく、久々膝が笑いました。貴船川の水音が聞こえてきて、やっとゴールを実感。これからは水の神を祀り、縁結びにもご利益がある貴船詣でです。
お能の『鉄輪』にもございます通り、貴船ときくと、なにかおどろおどろしい、陰気な印象をもっておりましたが、観光客も大勢いたためか、はたまた差すような日差しのためか、そんな雰囲気は少しも感じられず、何とも健全な趣き(もっと奥へ進むとスゴいらしいのですが)。本宮から奥宮まで参拝し、本宮では名物の<水占>を。神泉に浸けると託宣が浮かび上がるおみくじですが、う~ん、ちょっと残念な結果に…。


奥宮の<船形石>は、なんとも奇怪な存在ですね。古代の巨石信仰などと関わりがあるのかしら。
いまさら異性との縁を願っても仕方がないので、よいお芝居、よい舞台、よいお役とのご縁をお願い申し上げました。

遅い昼食は貴船社前の<伝兵衛>の川床で。会席のような大げさなものでなく、お蕎麦や釜飯とかを気軽に楽しめるのが嬉しいですね。せせらぎを聞きながら、<昼からビール>でのんびり涼を満喫。あ~幸せ~。

                    ☆

市街に戻ってからの夕食は南座出演者にとってはおなじみの<かぼちゃのたね>へ。鞍馬のご本尊にちなんで焼酎<魔王>を呑み、定番のカボチャコロッケ、おぼろ豆腐など…。

盛りだくさんの2日間。心もお腹も大満足のお休みでした!