第6詩集。101頁に30編を収める。
詩集タイトルにふれたあとがきで、作者は、詩が「夢の中で夢を語るように固定的実体のないもの」として、「それだからこそ詩もまた真実の世界を表象したものである」と述べている。
この詩集ではその夢に材をとった作品、思い出や伝承に材をとった作品などが多く、”固定的実体のないもの”からの作品世界の構築がなされている。
「夢み屋」。京都の路地裏にこんな看板があれば、そりゃあ誰だって「黙って暖簾をくぐり/カウンターに腰かけ」る。女将が出してくれたお酒で酩酊したわたしは夢み心地になる。そして、
わたしは急に揺さぶり起こされ
「今回のあなたの人生はこれでおしまいです」
と告げられました
夢を見ていたのが本当の人生だったのか
夢から覚めた今が本当の人生なのかよくわかりませんが
夢から覚めたと思っているのが夢であることも当然あるわけだが、それ以前の問題として、はたして、夢を見ている脳は肉体を欲しているのだろうか。肉体を棄てた世界こそが、脳にとっては本当の世界なのかもしれない。
「おとうさんの工場」。電車の窓からかって父が働いていた工場の灯りが見える。その工場には小さかった頃に連れていってもらったこともある。だが、工場は間もなく閉鎖されるという。
あの工場の窓に灯りが灯っているかぎり
おとうさんはあそこにいて おとうさんの工場で働き続けている と
しかし おとうさんの工場がなくなってしまうのです
おとうさんの工場がなくなってしまうと おとうさんが本当にいなくなってしまうのです
父の年齢を超えた僕は、「おとうさんに別れを告げ」、自分が「おとうさんとして生きねばならないのでしょう」と、父にさようならを言う。解説もなにも不要とした、作者の持ち味がよく出ている作品
詩集タイトルにふれたあとがきで、作者は、詩が「夢の中で夢を語るように固定的実体のないもの」として、「それだからこそ詩もまた真実の世界を表象したものである」と述べている。
この詩集ではその夢に材をとった作品、思い出や伝承に材をとった作品などが多く、”固定的実体のないもの”からの作品世界の構築がなされている。
「夢み屋」。京都の路地裏にこんな看板があれば、そりゃあ誰だって「黙って暖簾をくぐり/カウンターに腰かけ」る。女将が出してくれたお酒で酩酊したわたしは夢み心地になる。そして、
わたしは急に揺さぶり起こされ
「今回のあなたの人生はこれでおしまいです」
と告げられました
夢を見ていたのが本当の人生だったのか
夢から覚めた今が本当の人生なのかよくわかりませんが
夢から覚めたと思っているのが夢であることも当然あるわけだが、それ以前の問題として、はたして、夢を見ている脳は肉体を欲しているのだろうか。肉体を棄てた世界こそが、脳にとっては本当の世界なのかもしれない。
「おとうさんの工場」。電車の窓からかって父が働いていた工場の灯りが見える。その工場には小さかった頃に連れていってもらったこともある。だが、工場は間もなく閉鎖されるという。
あの工場の窓に灯りが灯っているかぎり
おとうさんはあそこにいて おとうさんの工場で働き続けている と
しかし おとうさんの工場がなくなってしまうのです
おとうさんの工場がなくなってしまうと おとうさんが本当にいなくなってしまうのです
父の年齢を超えた僕は、「おとうさんに別れを告げ」、自分が「おとうさんとして生きねばならないのでしょう」と、父にさようならを言う。解説もなにも不要とした、作者の持ち味がよく出ている作品
この度は、拙詩集『夢中夢』をご紹介くださり、ありがとうございました。
JR京都駅近くで「夢み家」という看板を見つけて、「家」を「屋」に変えて詩にしてみました。
実在する「夢み家」の店内はどんな様子なのか、知りませんが、想像するだけで愉しいものです。
略儀ながら、御礼まで。