隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film234 『キネマの神様』

2021年08月12日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第234作品目は、『キネマの神様』をお送りします。

 

 


現在公開中の『キネマの神様』を観てきました。本作品は、松竹映画100周年を記念した作品です。上映時間:125分。


コロナ禍で、劇場で映画を観るのは、昨年9月の 『チィファの手紙』  以来、11か月ぶりです。


劇場は、『チィファの手紙』の時と同じ「グランドシネマサンシャイン」の「シアター9」。


原作は、小説家・原田マハの同名の長編小説。


監 督:山田洋次。

 


脚 本:山田洋次、朝原雄三。


尚、「隊長のブログ」では、山田洋次さんの作品を、これで15本を紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい


主演は、沢田研二と、菅田将暉。


沢田研二(ジュリー)に関しては、『沢田研二と阿久悠、その時代』  などを、取り上げています。


共演者:永野芽郁 、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、ほか。

 

 

 


北川景子さん出演作品は、映画 『花のあと』   その他を紹介しています。


音楽:岩代太郎。


岩代太郎さん音楽担当の作品は、『あぐり』  などを、取り上げています。

 

 

あらすじ:無類のギャンブル好きで、78歳になる円山ゴウ(沢田研二)は妻の淑子(よしこ)(宮本信子)と、娘の歩(寺島しのぶ)にも見放されたダメ親父です。そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがありました。それは「映画」 。行きつけの街の名画座・テアトル銀幕の館主・テラシン(小林稔侍)とゴウは、かつて同じ映画の撮影所で働く仲間でした。


若き日のゴウ(菅田将暉)は助監督として、映写技師のテラシン(野田洋次郎)をはじめ、時代を代表する名監督やスター女優の園子(北川景子)、また撮影所近くの食堂の看板娘・淑子(永野芽郁)に囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていました。そして、ゴウとテラシンは、淑子にそれぞれ想いを寄せていました。


しかし、ゴウは初監督作品の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまいます。ゴウは撮影所を辞めて田舎に帰り、淑子は周囲の反対を押し切ってゴウを追いかけて行きました。。。

 

 

感想:現代のアメリカ映画界で、巨匠と言えば、90歳を超えても作品を発表し続けている クリント・イーストウッド  ですが、日本映画界では、間違いなく今年89歳の山田洋次です。


その山田洋二と、2020年に100周年を迎えた松竹映画の渾身の作品に仕上がっています。上映中に、マスク越しに何度も声を上げて笑い、涙をそっと拭きました。エンディングロールが流れ始めて、思わず拍手をしかけて、回りの目を気にして、止めてしまったくらいです。


この作品の制作が発表された時点から、公開が待ち遠しかった映画でしたが、2020年3月1日にクランクインしたものの、撮影のちょうど半分を終えた3月末に、ダブル主演を務めるはずだった志村けんさんがご逝去されました。直後に、政府による緊急事態宣言を受けて撮影自体も中断されてしまいました。


その後、志村さんと付き合いの長い沢田研二さんが志村さんの代役を受諾され、撮影再開。今年の4月16日に公開予定と発表されましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、8月6日から公開と再延期されていました。やっと観ることが出来て、嬉しい思いです。


印象に残ったシーンは、映画撮影の合間を縫って、園子(北川景子)、ゴウ(菅田将暉)、淑子(永野芽郁)、テラシン(野田洋次郎)の四人が、伊豆にドライブに行く場面です。それぞれが、淡い恋心を抱きつつも、言葉に表せないもどかしさ。まさに、青春物語そのものです。


それと、「テアトル銀幕」で行われた、ゴウが孫の勇太(前田旺志郎)の力を借りて書き上げたシナリオの入賞パーティー。泥酔したゴウ(沢田研二)が、一曲歌いますと壇上に上がり、ジュリーの往年のヒット曲を歌うかと思わせて、まさかの「東村山音頭」。これには、笑ってしまいました。


全体的に、志村けんへのオマージュ作品になっているのですが、監督の意向なのか、本人の希望なのかは分かりませんが、沢田研二さんの演技が志村さんに寄せているのが、気になりました。


さらに、その受賞賞金100万円のうち70万円を、コロナ禍で映画館を閉めようとしていたテラシン(小林稔侍)に寄付し、それをテラシンが神棚に上げたシーンです。まさに「キネマの神様」が見てくれているのでしょうね。


ネタバレになってしまいますが、ゴウが最後に映画を観に来た「テアトル銀幕」では、感染防止のため、席が一席ごとに飛ばして座るようになっているのが映し出された時です。街の名画座とは異なる、大手シネコンの劇場ですが、まさに、隊長が座っているのと同じ状況がスクリーンに映し出されていました。


映画界は、コロナに負けないぞ、そして、映画ファンは、映画館で作品を観て欲しいという映画人のメッセージを感じました。


時代考証もしっかりした作品です。例えば、松竹大船撮影所に、労組のビラが貼られていたり、ゴウが初監督作品の緊張で下痢をして駆け込む便所に労組の手拭が置かれていたり、など。


キャストでは、菅田将暉ファンには、申し訳ないのですが、大ベテランの共演陣に緊張したのが、いつもの自由奔放さが感じられませんでした。


一方、北川景子さんと永野芽郁さんの若手女優たちは生き生きと演じていました。特に、北川景子さん、現代的な顔立ちかと思っていましたが、『花のあと』 もそうですが、意外と古風な役どころもはまりますね。


園子、ゴウ、淑子の三人は、年老いた姿でスクリーンに登場しましたが、園子だけは出て来ませんでした。これは、往年の大女優・原節子  をイメージしているのでしょうか。


それと、宮本信子が演じた老年の淑子。沢田研二さんの現夫人・田中裕子さんに主演してもらいたかった。そうすれば、結婚前に共演した山田洋次監督の 『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』  以来の、共演になったのですから。失礼ですが、お二人の年齢を考えると、最初で最後の結婚後の共演になった可能性があるからです。


走る蒸気機関車とか、崖から見える昔ながらの民家、など、VFXも良く出来ていました。

 

RADWIMPS feat.菅田将暉の、エンディング曲「うたかた歌」の抑えた歌唱も、映画の雰囲気にピッタリでした。

 

 

 



==「映画」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f

Film1~220  省略

Film221 2021/3/4  『花のあと』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/fe69be2ee008e2d2b944addabba4e456

Film222 2021/3/11 『運び屋』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/cd22b4af80f787dcc0e5194fa5a1b5f4

Film223 2021/3/29 『ラヴソング』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/176b734afd085edf4aaf9b17b7402706

番外編  2021/4/3  『訃報:田中邦衛さん』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/73b0d70119548332b84b8d17e642ae33

Film224 2021/4/6  『ラ・ラ・ランド』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/84b88c17f4e245519021e30abd3926fd

Film225 2021/4/13 『万引き家族』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/e2a466602a7c4fcb375265b8d371102a

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Film228 2021/5/11 『記憶にございません!』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/dbe589226c7d8c59c68739e909441512

Film229 2021/5/19 『海洋天堂』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/417011bf38b8475d306a2c9e9165963a

Film230 2021/5/29 『最高の人生の見つけ方 (2019年)』 https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/fc657982359bb0e626957648a10d485f

Film231 2021/6/12 『ザッツ★マジックアワー ダメ男ハワードのステキな人生』  https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/b7dd45c3e2988a5e10f89396b56cab86

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