桑の海 光る雲

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礼文島断章1・澄海岬

2005-04-07 21:11:27 | 旅行記
最も思い出深かった旅のことを、昨日で書き終えた。今日からは、その後の礼文の旅で印象に残っていることを、思いつくままに書いてみたいと思う。

礼文島で好きな場所は、と聞かれると、とある内緒のスポットと、星観荘を除いては、「澄海岬」と答えることにしている。初めて「澄海岬」を訪れた時は、「澄海岬」という名前より、「海中公園予定地」の名前で通っている場所だった。昔この場所に、海中公園が計画されたというのである。この辺鄙な場所に海中公園を作って、観光シーズンでない時期はいったい誰が見に来るのだろうとも思ったりした。でも、その計画はすぐに撤回されたという。

実際に澄海岬を訪れてみて、撤回したのは実に正しい判断であると思った。荒々しい海岸線と澄んだ青い海。この取り合わせだけでも、本州でもそうはお目にかかれない素晴らしい景色である。こんな美しい景色を見て、どうしてこの景色を破壊してまで海中公園など作ろうとするのか、(もちろんそれは、現地に住んでいる人の実体をよく知らない私達にそんなことを言う資格はないのであるが)疑問に思わざるを得なかった。

現在では立ち入り禁止になっているが、かつては展望台の先の半島状になっているところまで歩いていくことができた。突端部分からは海岸縁に降りることもできた。突端部分の横には気持ちのいい草地が広がり、皆でお弁当を広げたこともあった。風の吹く日でも、その草地だけは風が穏やかで、昼寝タイムにしたこともあった。

半島状になっている内側は湾になっており、そこの海の色が素晴らしいのである。小石が積み重なった海辺へ降りていって、打ち上げられた丸太の上に座り、青い海と、その彼方に見えるゴロタ岬をぼーっと観ていたことも1度や2度ではない。

西上泊へ来ると、アトリエ仁吉に入るより前に、まず荷物を置かせてもらい、澄海岬へ行くのが習慣になった。ツアーの途中で寄る時は、必ず皆でそこで写真を写した・・・・・

現在では立派な柵ができてしまい、半島の先にも、海辺にも行くことはできない。中島みゆきが「銀の龍の背に乗って」のプロモーションビデオのロケ地にしたこともあってか、岬にもいつもこれまで以上にたくさんの人が訪れるようになってきていて、昼寝タイムどころではなくなった。でも、昼時のほんの一瞬、岬から誰もいなくなることがある。そんなタイミングで岬を訪れることができた時は、立派なベンチに腰を下ろし、かつての岬の有様を思い出しながら、以前と同じようにぼーっとしているのである。

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