桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

行き当たりばったりの北海道②

2024-09-07 22:29:03 | 旅行記
予想通り下船できたのは5時前だった。朝食を購入する時間も、給油する時間ももったいなく、すぐに高速に乗る。銭函あたりまで来て海の方を眺めると、海沿いのホテルのビルが見えてくる。あの手前には、かつて何度も泊まった”ちい旅”がある。もう25年も泊まっていない。
下船前にトイレにも行っておいたので、PAにも寄らずひたすら高速を飛ばす。ガソリンの残りを気にしながら留萌で高速を降りる。そのまま海沿いを北上する。羽幌でようやくセブンイレブンを見つけ、朝食と明日の食料などを買い込み、運転しながら頬張る。
空は曇り、途中からは雨も降ってきて、天塩近辺では本降りとなった。本来なら海の向こうに見えてくるはずの利尻山も見えない。ガソリンのメーターを気にしつつ内陸に入り、高規格道を通って豊富へ。雨の中をスピードも気にしつつ走り、毎度の通り「ルージュの伝言」を聞きながら無事に稚内の町に入った。
結局小樽から給油をせずに稚内に到着してしまった。モダ石油で満タンにしてフェリーターミナルに向かう。昼飯にはセイコーマートのホットシェフのカツ丼を食べようと決めていた。2,3カ所の店を見て回ってなんとか購入し、フェリーターミナルに向かう。そんなに飛ばしたつもりはなかったが、休憩時間を除くとちょうど5時間でフェリーターミナルに着いた。札幌から稚内までは夜中だと大体5時間で着くと聞いていたが、本当であった。
稚内から利尻島に渡るのは実に29年ぶり。そう、前回利尻山に登って以来である。いつもは礼文島に渡り、しかも旅客の乗船口から乗るので、なんだか変な感じである。それにしても肌寒い。気温は18度で、内地の最高気温の半分である。
航送の車を駐める駐車場に車を駐めて乗船を待っているところへ、ちょうど礼文島からの1便が到着した。もしかすると知人が乗っているかも知れないと思い外に出てみると、見覚えのあるキャンピングカーが降りてきた。何と校長だった!慌てて道路まで走って車に手を振ると、気づいた校長がびっくりして車を駐めて車から降りてきた。昨年のGW以来の再会だったが、私がフェリーターミナルに来ていたことにびっくりしていた。乗船時間も迫っていたので慌ただしく言葉を交わし、写真を撮って別れた。他にも知人がフェリーに乗っているようだったが、乗船が始まってしまったので、ターミナルに戻ることはできなかった。
2便ということで船内は空いている。前方の人がほとんどいない2等船室に陣取る。船室のテレビで高校野球の観戦をしている人がおり、音声が気になるが少し横になる。沖に出ると結構な揺れである。利礼航路でのフェリーの揺れには慣れているから、気にせず起き上がってカツ丼を頬張る。予想通りとても美味かった。
食べ終わってまた横になり、うとうとしているうちに船内放送が入る。車に移動して着岸を待つ。下船してまず向かったのは、沓形にあるらーめん味楽へ。十数年前に礼文から日帰り利尻ツアーに来た時に行って以来である。鴛泊に着いたのが13時過ぎで、味楽の営業時間は14時までであるが、もし誰も並んでいなかったら、腹は空いていないが麺だけでも食べてこようと思い車を走らせた。
味楽に着いてみると駐車場は満車。記帳を見ると5組程度の待ちだったのですぐに記帳し、駐車場の空くのを待っていると、間もなく駐車場が空いて車を駐められた。ラーメン店だけあって客の入れ替わりが早く、間もなく店内に案内される。特別メニューの利尻昆布冷製鶏塩らーめんに心引かれたが、ここは定番の焼き醤油ラーメンにする。カツ丼がまだこなれておらずお腹いっぱいだったので麺だけすすり、スープも一口すするだけにした。やっぱり美味しかった。
味楽から引き返してうみねこゲストハウスに向かう。途中で34年前に泊まったHという宿の前を通りかかったが、新しく建て直されて立派な建物になっていたものの、どうやら営業していない模様。そこから港に下るとうみねこゲストハウスに到着。前日電話で案内されていたとおりに鍵を受け取って部屋へ。目の前に港があり、その向こうに利尻山がどーんと聳えている素晴らしい眺めの部屋。こんな部屋に2泊もできるなんて何という贅沢だろう。しかも個室だし。
部屋に荷物を運び、少し休んでから利尻富士温泉に入りに行く。ここも十数年ぶり。前回はフェリーの時間が迫っていたのでゆっくり入ることができなかったが、今回はのんびりと入ることができた。あまり天気の良くない中で登山をしてきた人たちがたくさん入りに来ていた。
宿に戻って受付をし、洗濯を済ませた後、同宿の人たちとパズルをしたり、一緒に島に入ったライダーの人と話したり、セイコマで買ってきた夕飯を食べたりしながら、宿のスタッフや同宿の人たちといろいろ話をした。宿泊者の数を絞っていることもあってか、こじんまりした感じでのんびりすることができた。特に同じフェリーで島にやってきた栃木のライダーのIさんは、皆さんの話を聞いているうちに、急遽翌日利尻山に登ることになってしまった。私が車に乗せてセイコマに食料を買いに行った。ご本人はバイクで島一周をするつもりが、突然登山をすることになって困惑している様子だったが、いろいろ準備をしているうちにその気になってきたらしい。
宿に戻ってシャワーを浴び、翌日の好天を祈りながら就寝。
コメント
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