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《『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲・鈴木守共著、友藍書房)の表紙》
鈴木 ではこれで検証作業等は全て無事完了、我々は「高瀬露は〈聖女〉だった」ということを実証できた。
荒木 でもやはり、俺は正直不満を隠せないな。賢治が亡くなってから約85年を経た今でさえも、調べてみればこうやって新たな事実等を知ることができてこの検証ができたのに、なぜこのようなことが今までに為された来なかったのだろうか、と。
吉田 まして、「露は<聖女>だった」ということが僕らでさえも検証できるくらいなのだから、「露は<悪女>などではない」という検証はもっともっとたやすいはずだからな。
鈴木 そもそも、「露は<悪女>などではない」ことは、わざわざ検証せずともそれまでに知っていた事柄だけからしても、常識的に判断すれば始めからほぼ明らかなこと。それは私の周辺の少なからぬ人達もそう言っているからなおさらにだ。
吉田 実は、僕の周りの賢治研究家の中にも、『露は<悪女>なんかじゃないよ。悪いのは賢治さ』とはっきり言う人も居る。
荒木 だから思うんだ。従前、露を<悪女>であるとしてきたその根拠と思われる資料や証言はこうやって調べてみた結果、揃いもそろって皆「あやかし」ばかりであり、そんなもので一人の女性の人格を全否定し、その尊厳を貶めてしまうような<悪女伝説>をでっち上げたということは犯罪行為であるとさえ言えるのではないべが、と。
鈴木 おおっ、厳しいな。
吉田 でも確かに荒木の言うとおりで、現実には捏造された〈悪女伝説〉はすっかり巷間広まってしまったし、定着してしまったのだから、やはり極めて罪深い行為だ。
荒木 だから納得できないんだよ。賢治研究家と言われる多くの人たちが、このような<悪女伝説>がまことしやかに流布していることに対してどうして疑念を抱いたり、あるいはこれは看過できない事態だということを憂いてそのことを公的に論議したりしてこなかったということがさ。
吉田 僕は今こう思っている。明確な根拠も理由もないままに、噂話や推測を基にしてある特定の人物を誹謗中傷し、あげく〈悪女〉呼ばわりしてきたことはもちろん絶対許されないことだと思う。まして、虚構まで弄してのそれは何をか言わんやだ。
ただし、それに絡んだ過去の非対称性を今さら直せということもまたなかなか困難なことだ。だからそれよりは、僕らが今まで取り組んでみて明らかにできたように、露はそんな人にはあらず、ということをできるだけ多くの人に知ってもらうことがまず先決ではないのかな。それは地道なものになると思うが焦らずに。
鈴木 そっか、それじゃ今後は東北人の粘り強さを活かして、
(1) まずは、少なくとも露は<悪女>などではないことを我々は示せたわけだから、何はともあれ、
早急に<悪女伝説>は破棄すべきである。
ということ多くの人たちに訴える。それは、ここまで行ってきた我々の幾つかの検証の結果を用いて説明すれば比較的容易にわかってもらえるだろう。
(2) 次、<仮説:高瀬露は聖女だった>を検証できたとはいっても、これは「現通説」とは全く正反対だから、この結果を声高に言ったとしても世間はそう簡単には受け容れてくれないだろう。そこで当面は、
少なくとも露は〈悪女〉などでは決してなかった。
ということを可能な限り周りの人たちに訴える。それは特に遠野時代の露のエピソードや寶閑小学校時代の露にまつわる事実を紹介すればわかってくれるのではなかろうか。
(3) そしてそれがある程度理解が得られようになった段階で最後に、
実は、高瀬露は聖女の如き人であった。
ということを訴える。
という「ホップ・ステップ・ジャンプ」が我々のこれからの使命と任務だ、ということでどうだ。早急に<悪女伝説>は破棄すべきである。
ということ多くの人たちに訴える。それは、ここまで行ってきた我々の幾つかの検証の結果を用いて説明すれば比較的容易にわかってもらえるだろう。
(2) 次、<仮説:高瀬露は聖女だった>を検証できたとはいっても、これは「現通説」とは全く正反対だから、この結果を声高に言ったとしても世間はそう簡単には受け容れてくれないだろう。そこで当面は、
少なくとも露は〈悪女〉などでは決してなかった。
ということを可能な限り周りの人たちに訴える。それは特に遠野時代の露のエピソードや寶閑小学校時代の露にまつわる事実を紹介すればわかってくれるのではなかろうか。
(3) そしてそれがある程度理解が得られようになった段階で最後に、
実は、高瀬露は聖女の如き人であった。
ということを訴える。
荒木 んだな。
鈴木 だいたい人間の評価は亡くなってから百年すれば定まるということだから、考えようによっては賢治の場合はそれまでまだ15年程の時間的猶予はある。ということならば焦らずにやってゆこうか。まあ、約15年後となればその頃には我々はこの世にはいないかもしれんけどな。
吉田 なあに、天国で賢治や露の周りをうろちょろしながらその顚末を見ていようじゃないか。
荒木 俺は天国には行けんから、地獄からそれを見上げているよ。
吉田 じゃじゃ、荒木とあろうお方が殊勝なことを言うもんだ。
荒木 おれはなあ……いろいろあったからな。
まあ何はともあれ、ある一定限度内で
高瀬露は<聖女>の如き人だった。
は真理であったということを確信した人間がこの世に一人増えたということは確かだってことだ。
吉田 いやいや待て待て、少なくともあと二人は増えたとしてくれよ。
鈴木 そうだよ、荒木。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
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〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました。
そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
電話 0198-24-9813
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