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四・一〇、三団体の解散命令

2019-01-26 12:00:00 | 賢師と賢治
《今はなき、外臺の大合歓木》(平成28年7月16日撮影)

 ではここでは、「労農党等三団体解散命令」に関する記述からである。
 名須川溢男は次のようなことなどを述べていた。
   四・一〇、三団体の解散命令
 労農党等三団体が解散命令を受けた(昭和三年四月十日)

 ㈤ 労働農民党、評議会解散せらる
四月十日、日本共産党の外郭としての労働農民党、日本労働組合評議会、無産青年同盟の三団体、内務省より解散を命ぜらる。…(投稿者略)…惜しむべきは岩手軽鉄労働組合なり。右組合は新聞に評議会の解散命令掲載さるゝや狼狽し組合員即刻集合し、戦々兢々、拘留又は投獄せしめざらんことを希い、解散を決議して以て軽鉄本社に届出で 本社常務取締役三鬼鑑太郞の賞賛を博し安堵せりとは、如何に当時の組織の訓練と教育の不徹底なりしかを知るべし

 四・一〇、三団体は解散命令の弾圧を受けた。労農党は解散させられ…(投稿者略)…稗和支部も解散させられた。また、花巻の岩手軽便鉄道労働組合は評議会加入の労働組合であったため、解散命令で動揺・混乱していたのだった。労農党稗和支部の事務所で使用していた机や卓子・椅子は、賢治の援助で羅須地人協会からもってきて使っていた。それらは解散とともに伊藤秀治が処分して整理した。

   労農党解散後の再建協議と賢師
 解散せられたが、再建のため賢師らの努力。
 …(投稿者略)…
   横田氏等検束される 演説会の為釈放

 旧労農党岩手支部員より成る岩手無産者団体では第一回協議会を二十六日市内平山町同事務所に開催の筈であったが警官を苦にして本町橋本屋にて開会協議を終わって帰宅の途中無届け会合の廉を以て横田忠夫和賀郡高橋与吉花巻町八重樫賢志(ママ)の三名が盛岡署員の為検束されたが同夜同人等の演説会があるので釈放された(岩手毎日新聞 昭和三年四月二十七日)

 当日の活動について、横田忠夫、八重樫賢師らの動向を記録からみることにしたい。警察署の弾圧を避けて会場を変更し警戒の裏を行ったことで、それが一層その後の弾圧を加重させ、きびしいものとなった。しかし、この会議こそ昭和三年一二月の岩手無産党結成の契機となったという。歴史的に重要な会議であり、八重樫賢師もそれに出席していたのである。…(投稿者略)…
           〈『岩手の歴史と風土――岩手史学研究80号記念特集』(岩手史学会)487p~〉
 したがって、相変わらず八重樫賢師は一生懸命活動していたことがわかった。一方で、私が気になったことは「岩手軽便鉄道労働組合」に対する名須川の見方だ。たしかに「惜しむべきは岩手軽鉄労働組合なり」と言うとおりなのかもしれないが、それは厳しすぎる見方なのではなかろうか。なぜならば、昭和3年の10月の「陸軍特別大演習」を前にして岩手に吹き荒れた凄まじい「アカ狩り」によって、
 賢治は特高から、「陸軍大演習」が終わるまでは自宅に戻っておとなしくしているように命じられ、それに従って昭和3年8月10日に「下根子桜」から撤退し、実家でおとなしくしていた。
のであったということを私は検証できていたので、賢治と岩手軽便鉄道の対応はそれほどの差違はないと私には思えるからである。そしてそれは名須川自身の経験からも言えるはずだからだ。

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