みちのくの山野草

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新国劇で上演、大当たり

2019-02-19 18:00:00 | 甚次郎と賢治
《『土に叫ぶ人 松田甚次郎 ~宮沢賢治を生きる~』花巻公演(平成31年1月27日)リーフレット》

 さて、『土に叫ぶ』は「当時としては驚異的なベストセラーになった」ということだが、同じく安藤玉治によれば、
 発売直後から、松田のところには全国各地から連日にわたって、はげましの手紙がとどいた。
ということだし、
 出版から三ヵ月もたたないうちに新国劇のとりあげるところとなり、八月三日から東京有楽座で華々しく上演された。島田省吾、辰巳柳太郎を主役に一ヵ月のロングラン、連日満員を続けた。
             〈共に『宮澤賢治精神の実践』(安藤玉治著、農文協)145p〉
ともいう。
 そしてこのことは、次の写真を見てもらえば納得してもらえるはずだ。
【Fig.1 『土に叫ぶ』外箱(左は第一刷、右は第二刷)】

そして、第一刷は昭和8年5月発行のもの、第二刷は昭和3年8月発行(つまり、三ヵ月後の増刷にあたる)のものである。直ぐおわかりの様に、初版の第一刷の時には書いていなかったが、第二刷になるとその外箱には、
 文部科学省推薦
 大日本聯合靑年團推薦

 烈々!! 鄕土建設の雄叫び
 熱汗!! 勤勞報國の聖書!

 果然!! 新國劇上演
と印刷されているから、おそらく「八月三日からの東京有楽座での新国劇の上演」と時を同じくして出版されたに違いない。島田省吾、辰巳柳太郎が主役であり、本はベストセラーだったわけだから、一ヵ月のロングラン、連日満員、大当たりであったことはさもありなん。また、出版から三ヵ月後に「果然!! 新國劇上演」となったわけだから、どれだけあちこちからこの本が関心を呼んだかということも容易に窺える。

 また、「驚異的なベストセラー」になったことは、次の『土に叫ぶ』の写真を見てもらえばより納得してもらえるはずだ。
【Fig.2 『土に叫ぶ』(昭和18年 第十五刷)】

これで、少なくとも『土に叫ぶ』は第十五刷(ただし、外箱はないからこれはいわば普及版にあたるのだろう)まで発行されていたことがわかるからである。

 なお、甚次郎は「昭和十三年十一月十五日、宮澤先生の詩碑に詣でて、その前に十年間の業績を報告」(『続 土に叫ぶ』(松田甚次郎著、羽田書店)より)と述べているから、この際に甚次郎は『土に叫ぶ』を携えて来花、賢治に出版の報告をしたことも間違いなかろう。まさに、昭和2年3月8日に賢治から、
 默つて十年間、誰が何と言はうと、實行し續けてくれ。そして十年後に、宮澤が言つた事が眞理かどうかを批判してくれ。今はこの宮澤を信じて、實行してくれ。
             <『土に叫ぶ』(松田甚次郎著、羽田書店、昭和13年)、3p~>
と説諭されたそのとおりに実践しました、と報告したはずだ。
 実際、甚次郎は『村塾建設の記』(松田甚次郎著、実業之日本社)の中の「一、宮澤先生の墓に詣でて」で、(昭和13年)「十一月十三日夜行列車で山形から花巻に向かい、黎明の六時半に花巻駅に着いた」と述べており、「今は亡き先生の碑前にて拙著『土に叫ぶ』の報告をなし」とも述べていた。

 そして、この時の花巻訪問が、次のベストセラー『賢治名作選』の出版に繋がったようだが、そのことについては後ほど。

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      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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