みちのくの山野草

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非難されても憎まなかった

2018-07-31 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 さて、前回植木氏は先の項の最後において、
 この菩薩の行動が仏道修行の形式を満たしていなかったということは非常に重要な意味をもってきます。それは後ほど解説することにしましょう。
             〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)102p〉
と述べていたわけで、その解説が今度の項「非難されても憎まなかった」で述べられているのだろうか。

 まず植木氏は、「あなたを軽んじません」という菩薩につい次のように解説していた。
 この菩薩のこうしたふるまいに対する人々の反応は、次のようなものでした。

 四衆<*1>たちは、この菩薩に対して、そのほとんどすべてが怒り、危害を加え、嫌悪感を生じ、罵り、非難した。
 「聞かれてもいないのに、この男性出家者は、軽んじない心を持っていると、どうしてわれわれに説き示すのであろうか? この上ない正しく完全な覚りに到るであろうという、望まれてもいない虚偽のことを、私たちに予言するということは、私たちを軽んじることになるのだ」と。
             〈〃102p~〉
 あるいは、この菩薩はあらゆる人に「あなたも如来<*2>になれる」と主張(〃104p)したという。

 そこで私の感じたところを素直に述べてみると、四衆の反応は当然だろう。何で要らぬおせっかいをして、しかもその上、「この上ない正しく完全な覚りに到るであろう」などということを、誰でもがそう簡単には到るはずのないことを言って、私たちをたぶらかそうとでもするつもりか、と四衆が訝るのも。

 それに対して、釈尊は
「さて、得大勢(大いなる勢力をかち得たもの)よ、その偉大な人である菩薩が、このように罵られたり、非難されたりしているうちに、多くの歳月が経過した。その菩薩は、誰に対しても怒ることはなく、憎悪の心を生ずることもなかった」
             〈〃103p〉
と語り聞かせたと植木氏は紹介している。

 さりながら、この「その菩薩は、誰に対しても怒ることはなく、憎悪の心を生ずることもなかった」ということについては、それほど素晴らしいことだとは現時点の私には言えない。というよりは、それはある意味当然だろう。聞かれてもおらず、頼まれてもいないことをやるのであれば、「非難されても憎まない」というような覚悟がなければできないはずだからだ。
 そして一方の、「この菩薩の行動が仏道修行の形式を満たしていなかったということは非常に重要な意味をもってきます」についての解説はまだのようだ。

<*1:投稿者註> 広辞苑によれば、
【四衆(ししゅ)】
〔仏〕
①仏門の4種の弟子。出家の比丘・丘尼と在家の優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばそい)の総称。四部衆。
②…(投稿者略)…
           〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉
<*2:投稿者註> 広辞苑によれば、
【如来】
仏十号の一。仏の尊称。「かくの如く行ける人」、すなわち、修行を完成し、悟りを開いた人の意。のちに、「かくの如く来れる人」、すなわち、真理の世界から衆生救済のために迷界に来た人と解し、如来と訳す。
           〈〃〉

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