みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

青江舜二郎著『宮沢賢治 修羅に生きる』より

2019-01-19 12:00:00 | 賢師と賢治
《今はなき、外臺の大合歓木》(平成28年7月16日撮影)

 実は以前から、青江舜二郎著『宮沢賢治 修羅に生きる』における次のような記述が気になっていた。
⑴ 昭和二年ごろはまさしく日本社会の革命前夜で、警察官たちは「革命が起これば、まっさきにおれたちが、おまえたちにやられるのだ」と叫びながら、つかまえた運動家たちをやっつけていたのだ。そして、昭和三、四年の大検挙がなされる。賢治はまさしくそうした日本の農村に生きていたのである。
             〈140p〉
⑵ 私(青江)が花巻で教え子たちから聞かされてところにしたがえば、賢治はそれを社会運動の代わりとしてではなく、「社会運動として」すなわち、労農運動の一つとして羅須地人協会を設立したのであった。
            〈158p〉
⑶ 私が(青江)が以前花巻にいったとき、その教え子や賢治を愛好するある新聞記者から、賢治が労農派とはっきりつながっていたということえお幾多の事例で聞かされ
            〈161p〉
⑷ 賢治が労農派のシンパであることを、極力秘密にしておこうとしたことを、当時の教え子たちが私(青江)に話してくれたとき
            〈163p〉
 さりながら、正直、同書のこれらの記述を引用することにはどういう訳か躊躇いがあった。それは、私の偏見なのだが、どうも吉田司著『宮沢賢治殺人事件』と似たようなところがあったからだった(ただし、よくよく調べてみると吉田司氏はかなりよく調べて物を書いていることは後に知った。申し訳ございませんでした)。 

 しかしこの度、上掲の記述内容⑴~⑷と、前回の投稿で触れた、
 梅木について名須川は、
 盛中を中途退学させられてからは、花巻において学習会を組織し労農党に青年たちを結集させていく活動をしている。そして、宮沢賢治の羅須地人協会に集まる青年たちとも、学習会をもったりして密接な関係をもつようになった。……①
           〈同170p~〉
          〈『岩手の歴史と風土――岩手史学研究80号記念特集』(岩手史学会)470p〉
と述べていたことを私は今回新たに知ったのだが、名須川は「宮澤賢治とその時代」という論文で、
 その社会科学研究会は、花巻市桜の町営住宅(猫塚耕一借家)でおこなわれた。そばに刑事が見張りをしていた。時どき開かれたが梅木文夫が理論的な指導をしたようである。当時の参会者は今までに知り得たのは高橋慶吾、八重樫賢師、藤原清一、八重樫与五郎、猫塚耕一らであった。そばの町営住宅には一時的(?)だったか賢治がいたので、訪問したことなどもある。(昭和45年6月14日、猫塚耕一談)……②
             <『宮沢賢治 童話の宇宙』(栗原敦編、有精堂)111p>
と述べていたことも知っていたゆえに、これからの記述内容はもうこれからは無視していてはならないのだ、と私は覚った。
で引用した①&②は互いに補完・補強する関係にあり、しかも基本的には矛盾していないことを知ったので、これらのことは基本的にはほぼ事実であったと言えると、私は確信した。

 つまり、思い出した二つ目<*1>が前掲の青江の記述⑴~⑷であり、延いてはこれらの⑴~⑷及び名須川の①&②はほぼ事実であると言えると私は確信したのだった。

  したがって、前回の結論、
 梅木文夫はかなり有能な人物でしかも熱心な労農党の活動家であったと断言してよさそうだし、その梅木と賢治の親交も深かったと言えそうだから、おのずから賢治も官憲からかなりマークされていたであろうことはほぼ間違いない。
をさらに進め、
 梅木文夫はかなり有能な人物でしかも熱心な労農党の活動家であったと断言してよさそうだし、その梅木と賢治の親交も深かったと言えそうだから、おのずから賢治も官憲からかなりマークされていたであろう。
ということを、私は確信したのだった。

<*1:註> 思い出した一つ目は、前回の〝梅木文夫と社会科学研究会〟の、冒頭で述べてある。

 続きへ
前へ 
 ”「八重樫賢師と宮澤賢治」の目次”へ。
 ”みちのくの山野草”のトップに戻る。

 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月28日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本末転倒の状態に「あすこ」は... | トップ | 違っているじゃないか! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

賢師と賢治」カテゴリの最新記事