みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

秋田 加藤徳右エ門

2020-09-16 12:00:00 | 甚次郎と賢治
〈『追悼 義農松田甚次郎先生』(吉田六太郎編)、吉田矩彦氏所蔵〉

 では今回は隣県の秋田からの「追悼」、
 秋田 加藤 徳右エ門
追悼文
塾生活当時先生が外へ出て行かれるときいつも「加藤君火気によく注意するんだぞ」といつて出て行つたものだ。亦私と會ふといつもニコニコ笑つて「オー加藤君か」と外の事は一言もたづねづに會つてくださる。その先生が御他界せられた……全く信ずる事は出来ない。語る言葉なく、心なく書くに表現し得ない深い悲しみであります。
もう一度あの御聲…………いや、やはり先生は今迄通りの強い尊いそして深みと温情豊かな御姿であの御聲で「しつかりやるんだぞ」と激励して下さつてゐるのだ。たしかに先生は生きてゐます。一以て貫く先生の大信念。きつときつと頑張ります。
先生が土の上より起たしめたにより全国の夛の農村青年も都市青年も教育者も皆先生の御聲をきき御姿を拝見してその御光を受けてゐるのであります。私達は先生の弟子として先生の大精神を顕現さして戴きます。
最後に先生の懇切な指導に依り今年の壮丁検査に甲種合格となつたことを御報告致します。
             〈『追悼 義農松田甚次郎先生』(吉田六太郎編)より〉
からである。
 この追悼からは、甚次郎の気さくな人柄が偲ばれる。一方で、「先生が土の上より起たしめた」という言辞等から、やはり、甚次郎は塾生たちと一緒に泥まみれ汗まみれになりながら農産物の増産のために「必死」になって取り組んだということも示唆される。それは、「やっては止めでおわってしまった」というような程度のものではなく、まさに、35歳で急逝する間際までだ。やはり、決定的に違っていたのだ、甚次郎は。

 続きへ
前へ 
 “「松田甚次郎の再評価」の目次”へ。
 ”みちのくの山野草”のトップに戻る。

《発売予告》  来たる9月21日に、
『宮沢賢治と高瀬露 ―露は〈聖女〉だった―』(『露草協会』編、ツーワンライフ社、定価(本体価格1,000円+税))

を出版予定。構成は、
Ⅰ 賢治をめぐる女性たち―高瀬露について―            森 義真
Ⅱ「宮沢賢治伝」の再検証㈡―〈悪女〉にされた高瀬露―      上田 哲
Ⅲ 私たちは今問われていないか―賢治と〈悪女〉にされた露―  鈴木 守
の三部作から成る。
             
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花巻市下シ沢(9/11、タチア... | トップ | 鉛(9/11、オミナエシ) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

甚次郎と賢治」カテゴリの最新記事