みちのくの山野草

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妹尾の政治運動

2018-03-04 08:00:00 | 法華経と賢治
《『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)の表紙》

 さて、妹尾は新興仏教青年同盟を立ち上げ、その三大綱領の一つに「3 資本主義の改革」を掲げたからだろうか、理崎氏によれば、
 次に「仏教無産政党」の設立を提唱した。
             〈91p〉
という。そして同氏は、
 なぜ自前でなければならないのか。政友会や民政党などの既成政党は利権やポストが目的、無産党はイデオロギー中心で、人々の生活など考えていない。しかし、政党は本来人々の生活こそ第一義にすべきだと、考えたのである。
             〈91p~〉
とその理由を述べていた。なるほど、そう指摘されると尤もだと納得できる。先に、各地の争議の最先端で苦闘してきた妹尾の現実感覚は研ぎ澄まされていたのである」ということも指摘していたが、妹尾は現実をしっかりと見ていたがゆえにそうしようとした、ということになりそうだ。

 だが、残念ながら「仏教無産政党」はできなかったという。そこでどうしたのかというと、
 次善の策として、新興同盟は無産運動支援の形で政治運動を展開した。総選挙では社会民衆等応援したが…(投稿者略)…妹尾は社会大衆党に入党した。
             〈92p〉
と、理崎氏は教えてくれる。そこで私は、妹尾の性向として粘り強さ忍耐強さそして柔軟性があるということを知る。だから、ここに至るまでは、賢治と妹尾はよく似ていると私は今まで思っていたが、どうやらこの性向に関しては二人は逆だということに気付く。

 どうも、賢治は天才だからだろうか、熱しやすく冷めやすい傾向にあると私はかねがね思っていたのだが、やはりそのことは否めないということにだ。この10年間ほどの私の検証作業を通じて、賢治は思い立ったならば直ぐに行動に移るが大体7~8ヶ月程でそれは終わってしまうという、賢治は一つのことが長続きできない傾向がある。一方の妹尾はそうではなくほぼ逆だ。そう簡単には諦めない。このようなことを知った私は、理崎氏が妹尾のことを「大凡」と讃えた理由の一つがこれかなと納得できた。

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 なお、ブログ『みちのくの山野草』にかつて投稿した
   ・「聖女の如き高瀬露」
   ・『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
   ・『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』
等もその際の資料となり得ると思います。
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