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《『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)の表紙》
先に、〝日蓮主義者の社会主義者・妹尾義郎〟において、私は日蓮主義者で社会主義者であった妹尾義郎
という人物を知り、
こちらについては後程、やはり同様に本ブログにて紹介させていただく予定である。
と宣言した。
そこでここからは、その妹尾義郎について、理崎 啓氏の著書『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)によって、妹尾義郎について学んでゆきたい。
私はここ10年間ほどの検証作業を通じて、賢治は社会主義者や共産主義者でなかったとしても、結構それに近い考えや行動をしていたと思っている。それに対して、一般には賢治は法華経を信仰していたからそのような主義者ではなかった、という論理が適用されているかなとも思っていた。ところが、理崎氏の『塔建つるもの-宮沢賢治の信仰』を読んでいて、〝日蓮主義者の社会主義者・妹尾義郎〟という人物を知った。そうなんだ、こんな論理はいつでも通用するわけではないのか、と私は知った。そこで、妹尾について詳しく知りたいと思った私は理崎氏に直接お願いしてその『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(哲山堂)をお譲り頂いたのだった。
同書の「序、遙かな難路」はこうして始まっていた。
妹尾義郎は日蓮主義の社会主義者、という希有な存在として知られている。
と。しかもその「序」には、妹尾が第一高等学校在学時の校長はあの新渡戸稲造だったということや、 日蓮主義が一世を風靡していた頃、妹尾は田中智学の国柱会に通い、智学と並び称せられた本多日生に師事している。大正デモクラシーの時代は昭和初期まで左翼運動が盛んだったが、加藤勘十や杉山元次郎、江口渙などの左翼運動の指導者との交流もあった。獄中では、転向した共産党の指導者・佐野学や鍋山貞親、朝鮮人の運動家・朴烈などと親交をあたためている。
〈『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』(理崎 啓著、哲山堂)6p〉タイトルには「大凡」とあるが、ここまで読んだだけでも、妹尾はなかなかの人物ではないか。
そこで次に、同書の巻末に所収されている「妹尾義郎年譜」を見てみると、
明治22年 広島県生まれ。
明治44年 第一高等学校英法科に四番で入学。
大正7年 上京して国柱会を訪問するが、智学に会えずに失望。顕本法華宗の本多日生に師事。在家として活動。
昭和4年 地方新聞に「妹尾、赤化思想」と報道される。
とある。おお、結構賢治と相似なところがあるではないか。私はますますこの妹尾なる人物に興味が湧いてきた。そして、賢治と雖もその時代の中で生きていたのだと直感した。明治44年 第一高等学校英法科に四番で入学。
大正7年 上京して国柱会を訪問するが、智学に会えずに失望。顕本法華宗の本多日生に師事。在家として活動。
昭和4年 地方新聞に「妹尾、赤化思想」と報道される。
ところで、この本のタイトル『大凡の日々-妹尾義郎と宗教弾圧』の「大凡」とはどんな意味かというと、理崎氏はこの「序」の中で次のように説明していた。
田中智学や本多日生はたしかに天才と言える。彼らに比べれば妹尾も凡人と断ぜざるをえない。妹尾には、エリート意識もそれに伴う傲岸さもなかった。自分が凡人と知りぬいていたのである。凡人も凡人大凡人であった。「大凡」という言葉はないが、大凡人の意味で題を付けてみた。
と。そうか、「大凡」というのは凡人の最たる者という意味ではなくて、自分をしっかりと弁えていたなかなかの人物のことを意味しているようだ。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/book_mov.gif)
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なお、ブログ『みちのくの山野草』にかつて投稿した
・「聖女の如き高瀬露」
・『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
や、現在投稿中の
・『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』
がその際の資料となり得ると思います。
・「聖女の如き高瀬露」
・『「羅須地人協会時代」検証―常識でこそ見えてくる―』
や、現在投稿中の
・『「羅須地人協会時代」再検証-「賢治研究」の更なる発展のために-』
がその際の資料となり得ると思います。
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