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コージーミステリを読み耽る愉しみ その28 マーダー・ミステリ・ブッククラブ・シリーズ(C・A・ラーマー著)

2024年05月06日 | パルプ小説を愉しむ
第二作でブッククラブのメンバーたちはクルーズ旅へ出かける。19世紀にイギリス・オーストラリア間を旅した優雅な蒸気船オリエント号を忠実に再現した原題のオリエント号でのクルーズだ。乗船していた医者の不具合で急遽アンダースが代役として乗り込むことになったために、メンバーたちも5日間のクルーズを楽しもうと乗り込んだ。乗船早々出会った自由奔放そうなアマゾネス系の美女で船長夫人のコリーから、所有しているカフタンドレスが何枚か盗まれたので探して欲しいと依頼される。冗談だと思っていた一行だが、船内で心筋梗塞による死者が出る。事件かも疑うアリシア。色々と探っていくうちに船内では宝石の盗難事件が起こっていたことを知る。盗難を避けるために下船した乗客が多かったためにアリシア達が乗り込めるように手頃な価格帯で空きが出ていたのだった。年老いた老貴族夫人と不釣り合いに若いジゴロ風の美男夫。船旅のエキスパートと周りからも認められている裕福で船会社のオーナーの一員でもあるソラーノ姉妹3人組み。途中から旅に加わったと言うコリーの親友という影の薄い女性。そしてアンダースがなぜか忙しそうにしてアリシアと過ごす時間を中々割かない。しかも、事件かもと疑うアリシアに対してとてもそっけない素振り。メンバーの協力を得て船内の情報探索に乗り出す屋、船長夫人のコリーが船から落ちたという。その上、老貴族夫人が早朝のジムエリアで背中を刺されて殺される事件も起きる。コリーと老貴族夫人のジゴロ夫とが不倫関係にあるという噂もある中で、このコリーとジゴロ夫が共謀して宝石を盗んでいた疑いが出た。先に心臓発作で亡くなった老婦人も2人に殺され、罪の意識を持つようになったジゴロ夫がコリーも舟から突き落として殺し、その上真相に気付いた妻までも殺したのだと船内でバーテンダーの振りをしていた潜入捜査官はジゴロ夫を逮捕する。辻褄が合わないことと、都合よく証拠が揃いすぎていることに違和感を覚えたアリシアは、潜入捜査官からバカにされながら独自捜査を進めて真相を暴く。宝石泥棒は、体の不自由さを装うために車椅子に乗っていた老貴族夫人とジゴロ夫だったのだ。夫とコリーが不倫していることに気付いた老貴族夫人は、コリーのカフタンドレスを盗んでコリーらしい恰好で犯行に及び、酩酊させるために使っていた薬をわざと多めに使うことで人殺しをすることでジゴロ夫が逃れないようにしていた。不倫相手のコリーを殺したのは、船長を敬愛するとともに妻のコリーを毛嫌いしていた富裕なソラーノ姉妹3人組み。彼女たちがコリーを殺害したことを老貴族夫人に知られて恐喝されるようになったために、老貴族婦人は殺されたのだった。アリシア一行の天晴な捜査がオリエント号での殺人事件、宝石盗難事件を解決したのでした。もちろん、オリエント号というのはクリスティの名作『オリエント号殺人事件』に引っ掛けられて創作された物語。

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ミステリ大好き、特にアガサ・クリスティ大好きというアリシアとリネット姉妹が始めたミステリに特化した読書会。開始して第3回目の集まりでメンバーが行方不明になってしまうというミステリー事件がわが身に降りかかってくる。メンバー行方不明だけではなく、他メンバー一人が車にはねられそうになり、挙句に失踪じたメンバーの夫がゴルフコースで撲殺されるという殺人事件も勃発。自分の読書会への責任感からか、それともミステリー好きから来る好奇心からか、アリシアはメンバーの協力を得ながら事件の解明へと突き進む。アガサ・クリスティーも不倫していた夫への不満から失踪を自作自演したこともあったという。その本がヒントとなって失踪していたメンバーの発見に成功するアリシア。失踪していたバーバラは元女優で、読書会での振る舞いはすべて不幸せな妻を演じていただけだった。そして自分の失踪を演出するための舞台として読書会を利用していたのだった。図書館司書のミッシーのヒントと冷蔵庫に貼ってあった切り抜きから失踪先の高級リゾートを突き止めて、隠れていたバーバラを見つけ出して見破ったトリックを突き付けてやるところはポアロかミス・マープルかといったところ。コージーではあっても、クリスティへのオマージュといっても良いような軽快なテンポで読み進める上品なミステリーでした。

この人にはみずからわが身を救ってもらうしかない。
バーバラのダメ弟のことを思って心の中でアリシアが言った台詞。神は自ら助けるものを助く、という言葉の一辺であることは私にも分かる。
コメント
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