新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

コチャルメルソウ:小哨吶草(上高地の花⑪)

2010-06-11 20:25:11 | 植物観察1日1題
上高地の遊歩道のあちこちにコチャルメルソウ:小哨吶草(ユキノシタ科チャルメルソウ属)が目立たない花をつけていました。
山地の渓流沿いや湿った林の下などに生える多年草で、高さは20~30cmになり、葉や葉柄、花茎には腺毛があります。
葉の長さは2~5cmの広卵形で、縁は浅く切れ込み、基部はハート型に切れ込みます。
4~6月に咲く花の花弁は紅紫色~淡黄緑色で長さは4mm、羽状に7~9個に切れ込み、後ろに反り返ります。ルーペで覗くと魚の骨のように見えます。
数多いチャルメルソウの仲間の中でももっともよく見かける種類です。
(明日より3~4日休みます】

ヒダボタン:飛騨牡丹(上高地の花⑩)

2010-06-10 21:07:47 | 植物観察1日1題

沢水に濡れる徳沢への道辺に何種類かのネコノメソウを見かけました。そのなかのひとつヒダボタン:飛騨牡丹(ユキノシタ科ネコノメソウ属)は、茎は暗紅褐色を帯び、株の根生葉は花時まで残ります。
上部の苞は鮮黄色、花には花弁はなく、萼裂片4個は黄緑色で直立し、雄蕊は8個、葯は黄色で萼偏より短くなります。
ボタンネコノメソウによく似ますが、ボタンネコノメソウの萼裂片が赤褐色なの対し、本種は黄緑なのが異なります。
先年伊吹山で教わったアカヒダボタン(07年5月8日記事)は、萼裂片は鮮やかな赤褐色でした。

シウリザクラ(上高地の花⑨)

2010-06-09 21:06:49 | 植物観察1日1題

タカネザクラが咲く5月下旬の徳沢に、房状の蕾をつけていたのがシウリザクラ(バラ科サクラ属)です。
本州中部以北・北海道などなど分布し、川沿いや谷間に多い落葉高木で、高さは10~15mになります。
葉は大きく、基部は心臓形、葉柄の上部に蜜腺がつくことなどから、ウワミズザクラなどとは区別されます。
花は初夏、新枝の頃に総状花序につけ、基部に葉がつきます。
和名はアイヌ名を取ってつけられたといい、ミヤマイヌザクラ、シオリザクラなどの別名もあります。

イワセントウソウ:岩仙洞草(上高地の花⑧) 

2010-06-08 20:37:31 | 植物観察1日1題

イワセントウソウ:岩仙洞草(セリ科イワセントウ属)がはかなげに咲いています。
亜高山帯の日蔭にはえる多年草で、茎は通常単一、細長い地下茎があり、根生葉は2回2出複葉で小葉は深く切れ込みます。茎葉は普通1個で根生はと違い線形の羽状複葉になります。
5~6月、茎頭に1個の散形状花序をだし、2~3個からなるごく小さな白い花をつけます。
和名は、セントウソウ(09年3月15日記事)に比べて山深いリンナイの岩の割れ目などに生えることからついたといわれます。

テングクワガタ:天狗鍬形(上高地の花⑦) 

2010-06-07 18:46:18 | 植物観察1日1題

徳沢園前の広場でテングクワガタ:天狗鍬形(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)の小さな花を見かけました。
北半球の亜寒帯に広く分布し、本州中部地方以北・北海道の亜高山地帯のやや湿ったところに生える多年草で、茎は下部で枝分かれし、細長く四方に広がって繁殖します。
葉は対生し、長さ1~2cmの卵型または長楕円形です。花は夏、多数の小花を総状花序につき、直径5~7mmで4深裂し、下裂片はほかより小さくなります。花弁は淡青紫色に濃い青紫色の筋があります。
仲間のクワガタソウの名は三角状扇形の果実が兜の鍬形に似ていることから来ていますが、テングクワガタの果実は必ずしも鍬形状ではありません。ただ、向かい合った2個の雄蕊の形を鍬形と見立てることもできそうです。

ウスバサイシン:薄葉細辛(上高地の花⑥) 

2010-06-06 06:06:06 | 植物観察1日1題

ウスバサイシン:薄葉細辛(ウマノスズクサ科カンアオイ属)は、山地の湿った渓流沿いなどに生える多年草で、茎は地をはい、先に長い柄のある葉を2個だします。
葉は長さ5~cmの円心形で、肉は薄く、先は尖ります。
葉の間から短柄をだし、直径約1.5cmの淡褐色の花を一個開きます。萼筒は偏球形で3個の裂片の先は尖ります。
ウスバサイシンのサイシンは細辛の音読みで、根が細くて非常に辛いことから来ています。
根茎と根を掘り取り、日陰で乾燥させたのが漢方の細辛で、鎮痛、鎮咳、利尿、風邪、頭痛などに効きます。

タケシマラン:竹縞蘭(上高地の花⑤)

2010-06-05 08:06:10 | 植物観察1日1題

タケシマラン:竹縞蘭(ユリ科タケシマラン属)は、本州中部地方以北の亜高山帯に生える多年草で、高さは15~20cm、長さ2~3cmの葉は両面暗緑色になります。
花は夏、葉脇から細い花柄を下げ、径4cmくらいの淡赤褐色の花を下向きにつけ、花被片は反り返ります。
果実は秋、球形で赤く熟します。
仲間にオオバタケシマランがあります。こちらは花柄の途中に関節がありほぼ90度に折れ曲がり、花被片は白色です。
オオバタケシマランの果実については05年9月9日に取り上げています。

シロバナエンレイソウ:白花延齢草(上高地の花④)

2010-06-04 06:41:53 | 植物観察1日1題

エンレイソウ(昨日記事)と並んで花が白いシロバナエンレイソウ:白花延齢草(ユリ科エンレイソウ属)も咲いていました。林内に生える多年草で、エンレイソウ(昨日記事)に似ていますが、外花被片はより長く2~2.5cmで先が尖り緑色、内花被片3個は花弁状で白色です。
ミヤマエンレイソウの別名があります。
本州北部や北海道には、これよりさらに花の大きいオオバナノエンレイソウ:大花の延齢草があります。(07年5月27日記事)


エンレイソウ:延齢草(上高地の花③)

2010-06-03 06:56:42 | 植物観察1日1題

エンレイソウ:延齢草(ユリ科エンレイソウ属)は日本各地に分布し、亜高山帯から低山帯の山林内に生える多年草で、高さ20~40cm、葉は3個が茎頂に輪生し、長さ10~15cmになります。
初夏に咲く花は1個頂生し、花弁がなく、外花被片は緑色または褐紫色で、ふつう内花被片を欠きます。
縁起のよい名前がついていますが、名前の由来は定かではないといいます。逆に有毒植物となっており、名前のように寿命を延ばす効能はなさそうです。別名はタチアオイです。
ユリ科にには、萼片、花弁、雄蕊、雌蕊の子房室数が、葉と同数または倍数となることがあり、本種はその1例です。

エゾムラサキ:蝦夷紫 (上高地の花②) 

2010-06-02 07:26:07 | 植物観察1日1題

ワスレナグサやヤマルリソウに似た淡青紫色~薄紅色の花をつけているのがエゾムラサキ:蝦夷紫(ムラサキ科ワスレナグサ属)です。
本州中部以北、北海道の山地帯~亜高山帯に生える多年草で、茎の高さは20~40cmになり、開出した祖毛があります。
集散花序につく花が咲き進むと、花序はしだいにのびて、サソリの尾のように先が巻きます。
山でこんなところにワスレナグサがと思ったときはたいていはエゾムラサキと思って間違いないといいます。

ミドリニリンソウ:緑二輪草 上高地の花① 

2010-06-01 07:31:21 | 植物観察1日1題





グループで上高地徳沢周辺に咲くニリンソウ:二輪草(キンポウゲ科イチリンソウ属)の群落を見にいってきました。("むかごの高槻"5月29日記事参照)
一面に咲くニリンソウも見事でしたが、みんなの関心を集めたのは緑色のニリンソウでした。
もともとニリンソウの花には花弁はなく、白色または薄紅をおびた花弁に見える部分は萼片なので、緑色のニリンソウは萼弁がうまく成長せず、先祖がえりをしたものとも考えられます。
ミドリニリンソウ自体も、真緑のものから、爪紅、爪白など変化がありました。
ひとつ見つかると周辺にいくつか見られたので、変異は株単位でたぶん毎年生じている可能性があります。
咲いている花が多いだけに、ミドリニリンソウもところどころで見ることができました。もしかすると、それほど珍しいものではないのかもしれません。
タイトルをミドリニリンソウとしましたが、もちろんそんな名の品種があるわけではありません。