新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ナギ:梛(天然記念物も増え過ぎれば)

2009-12-04 08:29:54 | 植物観察1日1題

奈良公園から春日山の中腹にかけて大規模なナギ:梛(マキ科マキ属)の純林が広がっています。
本州紀伊半島、山口県、四国足摺岬、九州南部などの山中にはえる高さ20mにもなる常緑高木で、葉が密生してこんもりとした樹形となります。
針葉樹と思えない広幅の葉は、革質で厚く、表面は濃緑色で光沢があり、主脈がなく、縦には容易に裂けますが、横方向にはなかなかちぎれません。このことから縁結びの木として神社などによく植えられます。また熊野信仰とも結びつきが深く、葉はお守りにされます。別名のコゾウナカセ、チカラシバもこの葉が強靭なことによります。
天然記念物の奈良春日山のナギ林も、もとは植栽されたものが野生化したものといわれています。有毒なのか、奈良公園のシカが食べないために、徐々に生育範囲を広げており、やがては春日山もナギが優先種となるのではないかと心配する向きもいるそうです。
天然記念物に指定されて奈良の象徴ともなっているシカとナギ、共に増えすぎて困り者になっているのは皮肉なことです。


ダイダイ:橙 (親子二代が仲良く) 

2009-12-03 09:06:14 | 植物観察1日1題

今年も師走、早くも各地の正月準備のニュースが流れています。
縁起物として飾りに使われるダイダイ:橙(ミカン科ミカン属)も、樹上で色を増しています。
ヒマラヤ地方の原産で日本へは中国から渡来し暖地に栽培される常緑小高木で、高さは3mくらい、枝に棘があります。
初夏、芳香ある白い花をつけ、果実は冬に熟します。
熟した果実を木に残しておくと、翌年の夏再び緑色に戻ります。同じ木に前年と当年の果実が同時に生ることを、代々栄えるとして縁起をかつぎ正月の飾り物になっています。
果実は酸味が強く直接の食用にはなりませんが、果汁は橙酢として鍋物のたれに使われるほか、果皮を乾したのを陳皮といい胃の薬やカレーなどのスパイスに使われます。

イヌガシ:犬樫(樫でない証拠)

2009-12-02 10:33:32 | 植物観察1日1題

奈良春日山原生林の遊歩道にイヌガシ:犬樫(クスノキ科シロダモ属)の黒紫色の果実が生っていました。
葉がカシ類に似ているのでこの名があるというこの木は、暖地に生える常緑高木で、高さは10mほどになります。
雌雄異株で、早春暗紅色の独特の花をつけます。(08年3月31日記事)
10~11月に黒紫色に熟す果実は液果で、長さ1cmほどのやや楕円形です。名前の由来のとおり葉を見るだけではカシにも見えるイヌガシですが、この果実を見ればドングリの木と間違うおそれはありません。

サフラン:伯夫藍(高価な雌蕊)

2009-12-01 06:49:28 | 植物観察1日1題

サフラン:伯夫藍(アヤメ科クロッカス属またはサフラン属)の花が咲いています。
南ヨーロッパ、小アジア原産で、文久末期(1864)に渡来し、薬用植物としてひろく栽培される多年草で、高さ15cm内外、葉は花後に成長します。
10~11月に咲く花は淡紫色で濃い色の筋が入り、黄色の葯と3つに分かれた赤橙色の長い雌蕊が目立ちます。
この雌蕊を乾燥したものが、いわゆるサフランで、薬用、スパイスとして非常に高価なもので、湯を注ぐと黄色になり、料理に入れたり、鎮静、婦人病の薬や健康茶として飲用されます。
和名の伯夫藍はこの花柱を薬用にしたものをSafronと呼び、これを音訳して植物名になりました。
漢名では番紅花と呼ばれています。