新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

センブリ:千振 (やはり苦かった) 

2007-11-15 07:20:30 | 植物観察1日1題

昔はどこででも見られ、ちいさい子供でも薬になる苦い草と知っていたセンブリ:千振(リンドウ科センブリ属)ですが、近郊では最近トンと見かけることが少なくなりました。
千回煎じて振り出しても苦いことからついたこの名はおなじみで、昔から健胃薬として用いられてきました。久しぶりに会って細い葉を噛むと昔どおりの苦さでした。
日当たりのよい草地に生える高さ10~20cmの2年草で、茎は4稜形ふつう淡紫を帯びます。
対生する葉は長さ1.5~3.5cmの線形でふちは多少外側にそります。
花は秋、花冠は径1.5cmくらいで紫脈があり、基部には2つの腺体とまわりに長毛があります。
センブリ属の花冠は基部まで深く裂けて半開し、筒部が短いので離弁花の様に見えます。
センブリが健胃薬として広く使われるようになったのは明治以降で、それまではもっぱらノミ、シラミ除けにつかわれていたという説もあります。
方言にクスリグサ、ニガクサなどがあります。

シマトネリコ (結構人気の)

2007-11-14 07:09:07 | 植物観察1日1題


羽状複葉の葉が密につくのが好まれ、成長が早いことから、最近、街路樹、公園樹、庭木などによく使われているのがシシマトネリコ(モクセイ科トネリコ属)別名タイワンシオジです。
雌雄別株で5~6月新枝の先は葉脇から大形の円錐花序を出し白い花を多数つけます。
秋長さ2~2.7cm、幅3.5~5mmの倒披針形の翼果をつけます。
本家のトネリコはサトトネリコともいわれ、この木によくつくカイガラムシが分泌する白蝋を練って敷居に塗り戸の滑りをよくしたことからこの名があるという説がありますが、シマトネリコもそんな使い方があるかどうかは確かめていません。

秋の大山国立公園⑪ ナナカマド:七竈 

2007-11-13 07:16:11 | 植物観察1日1題


秋、各地の山へ入ってナナカマド(バラ科ナナカマド属)の赤い実を見ると、なんとなくここは北国に属するのだなという感覚になるものです。
大山山麓のあちこちにもナナカマドの実が熟していました。
5~7月、枝先に複散房花序を出し、直系6~10mmの白い花を多数つけていたナナカマド(07年6月11日記事)は、9~10月に、直径5~6mmの球形のナシ状果をつけ真っ赤に熟します。頂には内側に曲がった萼片が残ります。
材が燃えにくく7度竈に入れても燃え残ることからこの名があるというのが定説ですが、実際には乾いた材はよく燃えるそうです。これで良質の炭をつくるには7度炭窯に入れなければならないからとの異説もありますがこちらも定かではありません。

秋の大山国立公園⑩ タンナサワフタギ:耽羅澤蓋木 

2007-11-12 06:50:32 | 植物観察1日1題

サワフタギ(昨日記事)の瑠璃色の実に対して、タンナサワフタギ:耽羅澤蓋木(ハイノキ科ハイノキ属)の実は深い藍黒色です。
山地の落葉樹林内や林縁に生える落葉低木または小高木で高さ3~5mになります。
耽羅澤蓋木の耽羅(タンナ)は最近韓流ドラマで一躍有名になった韓国の済州島(チェジュド)の古名で、この木が最初に発見されたとされる地名です。
韓流ブームですが、タンナサワフタギに日本女性たちの関心が寄せられた話は聞きません。

秋の大山国立公園⑨ サワフタギ:澤蓋木

2007-11-11 07:23:35 | 植物観察1日1題

大山鏡ケ成湿原のサワフタギ:澤蓋木(ハイノキ科ハイノキ属)の瑠璃色の実のかなたに烏ケ山(からすがせん)1448mがそびえています。
各地の山野の谷川沿いなどに生える落葉低木で高さ2~3m、よく分枝して葉は多くつきます。
茂って沢を覆いつくすということから澤蓋木の和名がきています。
秋、枝一杯に長さ6~7mmの美しい藍色の核果をつけます。
別名のニシゴリは「錦織木」で、木灰を紫根染の媒染剤として用いられたことによります。他にルリミノウシゴロシの別名もあります。

秋の大山国立公園⑧ ツルマサキ:蔓柾・蔓正木

2007-11-10 08:37:45 | 植物観察1日1題


大山寺の参道脇の古木に絡みついたツルマサキ:蔓柾・蔓正木(ニシキギ科ニシキギ属)が赤い実を見せていました。
各地の山野の林内などに普通に見られる常緑のつる植物で気根をだして樹上によじ登ります。
10~11月、直径5~6mm球形の果を熟します。熟すと4裂し、橙赤色の仮種皮に包まれた種子が顔を出します。
上代神事に使われたという真析の葛(まさきのかずら)はこのツルマサキの古称だという説があります。古事記の天の岩戸で、天の宇受賣の命が“天の日陰(ヒカゲノカズラ)をたすきに掛け、天の真析を鬘として…”とあり真析の葛はもしかしたらツルマサキであったかもしれません。もっとも真析の葛はテイカカズラの古称だという説もあります。両説あるのはツルマサキとテイカカズラの幼木がよく似ていることと関係があるかもしれません。

秋の大山国立公園⑦ クマノミズキ:熊野水木 

2007-11-09 18:18:30 | 植物観察1日1題


熊野地方で初めて発見されたとか、この地方に多いからとかでこの名がついたクマノミズキ:熊野水木(ミズキ科ミズキ属)は、どこにでもよく見られる高さ8~12mになる落葉高木で、ミズキ特有の枝の張り方で放射状に斜上します。
6~7月ミズキより1ケ月ほど遅れて、葉より高く散房花序に黄白色の小さい花を密につけます。
果実は枝果で、7~10月、直径約5mmで紫黒色に熟します。果実は黒っぽくて目立ちませんが、果序の枝が赤い珊瑚状になりよく目立ちます。小鳥たちに果実の存在を知らせる「2色効果」とよばれる仕掛けです。
黒い実と赤い果枝が同時に見ることは案外少ないのですが、ここ大山のクマノミズキの枝果は見事に「2色効果」を出していました。

秋の大山国立公園④ マムシグサ:蝮草 

2007-11-08 07:21:45 | 植物観察1日1題

マムシグサ:蝮草(サトイモ科テンナンショウ属)は、名前からしていかにもおどろおどろしく、特殊な構造の仏炎苞と訪れるキノコバエ類との関係や、性転換する草であるなど話題の多い草本です。
マムシグサの「性」は株が成長するにつれて変わります。地下の芋は年々大きく育ってゆきますが、若いマムシグサは最初花粉だけをつくりもっぱら雄としてふるまいます。しかし十分に大きく育ち、種子をつくるに十分な体力やエネルギーを蓄えて母親の資格ができると雄から雌に「性転換」します。
雄にくらべて雌という性は、子作りに多くのエネルギーを割かねばならないのは植物も動物も同じということです。
秋、マムシグサは真っ赤な実をつけ、薄暗い森蔭でよく目立ちます。マムシグサは全草有毒ですが、小鳥の目を引くはずのこの赤い実は鳥が食べても平気なのでしょう。
どこの山でも見られるマムシグサですが、大山寺に近い原生林の中で見かけた実は怪しいまでに真っ赤でした。
秋が深まると、果柄が枯れて赤い果穂をつけたまま地上に伏せます。小鳥に食べ残された種子がそのまま芽生えるのか、山の所どころに幼苗が固まって育っているのをよく見かけます。


秋の大山国立公園③ イワアカバナ:岩赤花 

2007-11-07 07:24:44 | 植物観察1日1題

 大山鏡ケ成のキャンプ場のまわりに、気になる枯れ草があちこちにありました。
枯れた細長い棒状の果実(そう果)の先がいくつかに割れて、中に白い綿毛をつけた種子が見えます。
変わった形に何の種かなと探していると、すこし葉が残った株があり、その葉の様子と、長い棒状の果実からイワアカバナ(アカバナ科アカバナ属)(07年9月16日記事)ではないかと思い当たりました。
割れたそう果にそっと近づいて息を吹きかけると小さい綿毛が飛んでゆきました。

秋の大山国立公園③ イヌセンブリ:犬千振  

2007-11-06 07:09:46 | 植物観察1日1題

大山鏡ケ成の国民宿舎横の芝地に生えていたのがイヌセンブリ:犬千振(リンドウ科センブリ属)です。
苦味健胃薬で知られるセンブリの仲間ですが、こちらは苦味が少なく薬用の役に立たないのでイヌの名がついています。
やや湿ったところに生える高さ5~30cmの2年草で、葉は長さ2~5cmの倒披針形で先が鈍くなります。
ここのセンブリは芝刈で短くされたのでしょうかほとんどは低い背丈でしたが地面すれすれにりっぱに花をつけています。
花冠は直径2~3cm、白色で裂片には淡紫色のすじがあります。腹ばいになってよく見ると蜜線溝のまわりの白く長い毛が目だっていました。

秋の大山国立公園③ ホソバノヤマハハコ:細葉の山母子

2007-11-05 07:11:12 | 植物観察1日1題

大山鏡ケ成の象山(1085m)の頂上の岩場にひっそりと咲いていたのがホソバノヤマハハコ:細葉の山母子(キク科ヤマハハコ属)です。
日あたりのよい山地の草原に生える多年草で、地下茎がのびてふえます。母種のヤマハハコよりやや小型で葉が細くて幅は2~6mmの線状披針形です。葉の裏面に綿毛を密生し白色を呈します。
頭花は枝先に散房状に多数つき、総苞は球形、総苞片は乾いた膜質で光沢があり白い花びら状になります。
東日本に見られるヤマハハコに対し、こちらは西日本型といわれています。

秋の大山国立公園② マツムシソウ:松虫草 

2007-11-04 08:25:17 | 植物観察1日1題

大山桝水原スキー場のゲレンデにマツムシソウ:松虫草(マツムシソウ科マツムシソウ属)の薄紫の花がたくさん残っていました。
異説もありますが(06年10月26日記事)、松虫がなくころに咲くからこの名があるといわれるこの草が、11月に花をつけているのは不思議です。
よく見るとすでに干からびた果実がつく茎の下部から新しい芽が出て二度咲きになっているように見えます。これも長かった夏のためでしょうか。
花の中心にあった舌状花が、花後毛を持つそう果となり、集まって球形になっています。

秋の大山国立公園① キセルアザミ:煙管薊 

2007-11-03 08:44:47 | 植物観察1日1題

11月1日~2日、秋色深まる大山国立公園を訪れました。
暑くて長かった夏のせいか、11月というのに大山高原には、まだ秋のなごりの花があちこちに咲いていました。
鏡ヶ成の湿原に咲いていたのはキセルアザミ:煙管薊(キク科アザミ属)です。
本州伊吹山以北や、やや高地の湿地に生え、長い茎の先に頭花がうなだれて咲く姿が煙管に似ていることからこの名があります。
花期は9~10月、頭花の直径は3~5cmで総苞の先には棘針はありません。
ミズアザミ、サワアザミなどの別名があります。

アキグミ:秋茱萸(懐かしい味)

2007-11-01 05:19:25 | 植物観察1日1題
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子供のとき、冬が近づくと隣の家のアキグミ(グミ科グミ属)が真っ赤な実を沢山つけ、よく貰って食べた思い出があります。長じて、グミらしい木はよく見かけるのに、なぜか実はほとんどついていません。
先日信州秋山郷で中津川渓谷へ下りる路で珍しく沢山実をつけた数本のアキグミを見つけすっかり嬉しくなり、味わったことでした。
アキグミは山野の日当たりのよいところにはえる落葉低木で河原や海岸にもよく見られます。
長楕円形披針形の葉の裏面が白い鱗片におおわれ、4~5月、葉の付け根に黄白色の筒型の花を数個ずつつけます。
果実は直径6~8mmの球形で10~11月に赤く熟し食べられます。木になるグミの実はたいがい楕円形ですがアキグミは円形です。