マムシグサ:蝮草(サトイモ科テンナンショウ属)は、名前からしていかにもおどろおどろしく、特殊な構造の仏炎苞と訪れるキノコバエ類との関係や、性転換する草であるなど話題の多い草本です。
マムシグサの「性」は株が成長するにつれて変わります。地下の芋は年々大きく育ってゆきますが、若いマムシグサは最初花粉だけをつくりもっぱら雄としてふるまいます。しかし十分に大きく育ち、種子をつくるに十分な体力やエネルギーを蓄えて母親の資格ができると雄から雌に「性転換」します。
雄にくらべて雌という性は、子作りに多くのエネルギーを割かねばならないのは植物も動物も同じということです。
秋、マムシグサは真っ赤な実をつけ、薄暗い森蔭でよく目立ちます。マムシグサは全草有毒ですが、小鳥の目を引くはずのこの赤い実は鳥が食べても平気なのでしょう。
どこの山でも見られるマムシグサですが、大山寺に近い原生林の中で見かけた実は怪しいまでに真っ赤でした。
秋が深まると、果柄が枯れて赤い果穂をつけたまま地上に伏せます。小鳥に食べ残された種子がそのまま芽生えるのか、山の所どころに幼苗が固まって育っているのをよく見かけます。