そのうち暇になれば・・・と思いつつ、なかなか行けなかった大和路。
思い立ったのが午後からのこと。
<古代米の赤米と黒米>
自宅から車ですぐのところである。
酒船石遺跡(亀形遺構)が発掘されて間もない頃(6~7年前)は、その北隣にまだ建築中の立看板を目にして以来、久々の訪問である。
昼食は、創作料理「酒船亭」で「酒船御膳」。
古代米の「赤米」と「黒米」ごはんのおにぎり、あまごの笹寿司など・・。赤米にモチ米が入っていたのか、粘り気があった。もっとボサボサしていると思ったが・・・。
<明日香・県立「万葉文化館」>
続いては万葉文化館へ。
庭園は万葉びとの詩情をかきたてた樹木や草花が植えられ、木や花一つ一つに名前が紹介されている。これは親切だ。
館内は、「日本画展示室」と「特別展示室」「一般展示室」「万葉図書・情報室」に分かれている。
入り口で観覧券(600円)を購入する。
館内では、「ボランティアの方」による展示内容の説明も受けられる。
まずは、館のエントランスに置かれた「信楽焼・陶板レリーフ(遣唐使と鶴)」の解説からスタート。
次いで、敷地中庭の地下4mに埋め戻された炉蹟群(富本銭、和同開珎などの鋳造貨幣、ガラス玉、鉄くぎなどを造っていた工房遺跡)の復元展示の説明へと続く。
<「安宿」もアスカと詠む?>
説明では、アスカには「明日香」「飛鳥」「安宿」の3つがあるという。
「飛鳥」というものは「明日香」という地名の枕言葉であり、「飛ぶ鳥の明日香の里を置きて去なば君があたりは見えずかもあらむ」(作者:元明天皇)などであると・・。
昔、鳥が飛来して来たという地域だったことから「飛鳥」らしい。
「安宿」もアスカと読むという。平安に暮せる地という意味からとか。
3つも「アスカ」があるとは・・・・。特に「安宿」もアスカと読むという・・・・ガイドさんから聞いて始めて知ったのだ。
<「万葉の歌」と「日本画」の組み合わせ>
「日本画展示室」では、1/5~3/11までは、現代画壇を代表する画家が万葉歌をもとに描いた日本画作品が展示されていた。2004年から始まり今回で4回目。154人の日本画家作品が順次紹介されている。
万葉歌の意味・情感を画家それぞれの感性で日本画の世界で現代に蘇らせている。万葉歌とその詠み人・詠んだ場所・日本画家名が紹介されている。「額田王」(小山 硬)など20点ほど。この世界には全く疎い私にも、なかなか見ごたえあった。ここは、ガイドさん無しでじっくり観ることが出来た。
「一般展示室」では、万葉の歌に込められた世界をさまざまな展示や演出で体感出来る。
「万葉劇場」では、柿本人麻呂が詠んだ「かぎろひ」がスクリーンに蘇る歌劇などが上演されている。
<ボランティア・ガイドさんの独自の解釈>
また、ここでもボランティア・ガイトによる「万葉の歌」と詠み人、そして歴史的背景などの説明を受ける。
「舒明天皇」時代から始まる万葉の歌の詠まれた背景・心境がガイドさんの独自の解釈と一生懸命な説明に聞き惚れた。
自宅近くの陵墓に眠る「舒明天皇」が身近に感じられ、天智・天武天皇へと連なっていく、歴代天皇と詠み人との関係が面白い。
ひとつの歌の裏に隠れされた表現の凄さに、グイグイと惹きつけられる。
この文化館のボランティアガイドが募集されているという。今年4/1~21年3/31までの2年間。月3回程度の活動。締め切りは2/10迄。
<「奈良まほろばソムリエ検定」の本>
このボランティアガイドに興味を持ったのではないが、もう少し万葉歌の世界に入りたくて、会館内の売店で「奈良まほろばソムリエ検定・公式テキストブック」を買った。当然、ソムリエは無理としても・・・・。
併せて、奈良・大和路の風景を収めた、写真家・入江泰吉氏の「やまと余情」(奈良市写真美術館編)も得た。夫婦して大満足の一日であった。
▲館内は撮影禁止で写真無し。せめてパンフを・・。
▲「奈良まほろばソムリエ検定・公式テキストブック」
写真家・入江泰吉氏の「やまと余情」写真集。