以前に奈良県の巨樹・巨木・奇樹を紹介したが、今回より新シリーズとして奈良県下の珍しい石・不思議な石・いわれのある石などを紹介します。
「橿原市 益田岩船」
まずは、橿原市白橿町5丁目にある「益田(ますだノ)岩船」。
標高130mの岩船山の頂上近くにあり、花崗岩の巨大な石造物だ。何トンあるのだろうか。いろいろ調べたが、誰も測ったことがないようだ。
タテ11m×ヨコ8m×タカサ4.7m、頂上部は平坦で、中央部のタテに幅1.8m×深さ0.4mの溝があり、1.4mの間隔をおいて両端が綺麗にくり抜かれている。
平坦面の溝や孔は、高麗尺(こまじゃく)という飛鳥時代のモノサシで測られているとか・・・。
また、2つの面の下半部には格子状の溝が刻まれているのだ。
この格子状の切り込みは、明日香村の亀石にも見られるが・・・これは何を意味するのか? 謎なのだ。運ぶ時のスベリ止め?
この石の用途については、弘仁13年(822年)、空海が碑名を撰した益田池の顕彰碑の台座とする説があり、また別に古墳の石槨(せっかく)、占星台の基礎、拝火の祭壇、物見台・・・などの諸説があるものの、定かではない。
まあ、いろいろ想像して・・・夢を膨らませたいものだ。
近鉄・吉野線「岡寺駅」の西に向かい、公団橿原団地にある「南妙法寺町」バス停の南に「益田岩船」の案内看板がある。駐車場が無いため、団地の道路に停めて・・・。
登り口は、丸太を使っての急な階段だ。この階段も途中まで・・・。あとは、自然の山道へ。ロープを使ってロッククライミング?のところも。
落ち葉に足元をとられながら・・・キャーキャー言いながら登るのだ。一緒に登っていた小学生は、お寺や神社より、こっちのほうが楽しい!と言っていた。
東西にはこのように方形の形でくり抜かれているのだ。その片面はこのように・・・。
この巨石を取り囲むように、竹林が取り囲んでいる。昔は、この石の近くから、橿原市内が一望できたらしいのだが・・・竹と雑木で、見えない。残念!
花崗岩の加工技術が終末期の古墳時代と共通するとかで、7世紀の特長があるという。誰かの墓(古墳)に使うつもりが、途中で中止になったのかも知れないのだ。
『大和名所圖會』