スターアニスの 『大和路 里の光彩』

アーカイブ中心の風景写真、趣味の書・刻字など・・いろいろと楽しんでおります。

長谷寺・彼岸講世話人のお仕事とは・・・

2006-09-22 22:27:41 | 出来事

「どこに配属されるか・・・不安。まるで新入社員なのだ!」

今日、初めて「彼岸講世話人」としてのお手伝いをさせて頂いた。
奈良県下を中心とする45名の世話人の内、本日お手伝いに来られている方は男性5名、女性5名。世話人の数も、お手伝いの数も年々減少しているという。

お手伝いの仕事は、女性は炊事場係と講金を持参された世話人への湯茶の接待。男性は持参された講金・お供物の管理、塔婆書きなどを行うという。

長谷寺の「輪マーク」と「彼岸講」の刺繍が入った法被を購入し、袈裟と数珠を身につけ講長の説明・指導を受けた。

早速、仕事開始。
講長の後について、説明を聞きながら400段の登廊をフウフウ言いながら本堂にある「塔婆受付所」に向かった。
受付所では、一般参拝者からの塔婆を受付け、既にお坊さんによる梵字が書かれた塔婆に、戒名又は俗名を、裏面にはお供え者の名前を毛筆で書き加えるのである。本堂右側の方にも、お寺(僧侶)による同様の「塔婆受付所」もある。
手前が「彼岸講の塔婆受付所」。奥に参拝者がいるところが「寺の塔婆受付所」。

本堂の手前の入り口天井には、歴代の「講世話人名」が記された額が掛けられている。祖父の名前が大正2年度のところにあった。こんなところにあったとは・・・初めて知ったのである。明治・江戸時代にもあると思うのだが、先祖の名前は知らないので・・・。(情けない話・・・)
天井に掲げられた「講名簿」に祖父の名前もあった。
文化4年という「講の名簿」も。

「塔婆受付所」に座って、いよいよ受付開始。
講長は昔学校の「校長先生」であったためか、また経験を積まれてきたためか、いとも簡単にスラスラと書かれる。戒名の長さに合わせて文字の大きさ、配列の仕方を教えてもらう。

練習用にとわが家の先祖代々之霊と、親父の戒名を書かせてもらうことに・・・・。
紙に書くのとは異なる。綺麗に削ってあるのだが筆がすべらない。引っかかるように感じる。
「慣れれば、すぐ書けるようになるよ。」と、優しいお言葉。
長谷寺の名誉と威信に懸けて・・・と思えば思うほど、筆が引っかかる。プレッシャーかな?

どうにか、書き終えホッとした時、参拝者の列が出来ている。
「手伝って書いてくれるか!」
「いいえ、まだダメです。」とは、言えない。
記入用紙を手渡され、恐る恐る筆を持つ。参拝者の目が手元を見つめる。「あぁ・・・緊張・緊張!」
1枚目はなんとか書けた。2枚目、3枚目へと続く。
少し、文字配列の要領も掴めてきた。午前中は参拝者も少なく、書いたのは5枚だけ。やれやれ・・。

午後からは、講長が所用のため不在。なんと、一人で担当することに・・・。「そんなん、聞いてないょ~」と、言いたいところ。隣のお寺さん担当の塔婆受付けに回ってくれないかと、祈りたい気持ち。
他の男性は、講の事務所での講金の受付・管理で手一杯とか。本当かな、とは思うが、仕方ない。

幸いなことに、午後の参拝者も少なく「ラッキー」と叫びたいところ。

「ブログ仲間」のハルさんとメロンさん夫婦が、ちょうどその頃来られた。ちょうどヒマだったので、色々な話を・・・。(ホントにヒマだった!)

3時過ぎに本堂から下りてくるように、との連絡にホッとする。いつもは、もっと忙しいとか。6枚書いて放免となった。明日は、かなり忙しいらしいが・・・、私は休み。まあ、最初のことでもあるし、この程度で良かった・・・。

講の事務所に戻ると、過去の「講」の成り立ち、経緯などの話をいろいろと聞かせて頂いた。いにしえの時代から続く、「彼岸講」の重さをズシリと感じる。

明日は、彼岸の中日。お稚児さんに参加してくれるのは一人だけという。ここ近年、少子化・核家族化で「お稚児さん」の申込みは激減しているとか。やはりここにも時代の流れが・・・。
私も兄弟も、そして私の子供達も「稚児さん」になった当時のことをフッと思い出した。

孫娘達には、来年秋には「稚児姿」を見せてもらいたいと思っている。さて、出てくれるかな?

400段の登廊を2往復しただけで、足が痛む。日頃の不摂生と体力の無さに愕然とする。

登廊で行き交う参拝者に、オジギをされる。なんとなく「長谷寺の関係者」になっている。こちらも、「よく、お参り下さいまして・・・」という言葉が自然に出てくる。なんと不思議なものである。
完全に「長谷寺の人」になってしまっている自分がいるのである。なぜか、すがすがしい気分になれたのは、事実である。

こんな気持ちを味わいに、来年の春にもお手伝いさせて貰うつもりである。
本堂から本坊を見下ろす。
礼堂と外舞台。

コメント (2)
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