スターアニスの 『大和路 里の光彩』

アーカイブ中心の風景写真、趣味の書・刻字など・・いろいろと楽しんでおります。

地球最古の花木・・・ハクモクレン(34:最終回)

2008-02-24 12:25:39 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

2月1日から再開した「奇樹・奇木シリーズ」。
我が住まいの近くにある神社・仏閣に多く見られる珍しい樹木を訪ねてきましたが、今回をもってひとまず終了とさせて頂きます。

落葉樹をこの時期に紹介するとは・・・。
カミさんには「何で今頃? 葉っぱのある時期、花が咲く時期、実のなる時期にすればいいのに・・・・。」と言われながらも、綺麗な樹形は落葉していないと・・・と、言い訳しながら・・・。
ちょっと、反省しております。
花や実は、またの機会にと言うことで・・・。



『ハクモクレン』

昨年4月、長谷寺に咲いていた「ハクモクレン」。 

では、最後になりましたが、長谷寺の「ハクモクレン」です。
日本の山野には自生していないが、地球上で最古の花木と言われている樹木です。


長谷寺のハクモクレンです。

長谷寺の西参道を登った左手にあるハクモクレンは幹周り1.2m。 また、山門前広場にも幹周り1mのハクモクレンも・・・。そして、境内のアチコチに見られます。


昨年9月25日に見た、長谷寺境内のハクモクレンの花芽?と、コブシ状の実。

中国原産の落葉高木で、桜の咲く時期と同じ4月に葉っぱより先に白い大きな花が枝一杯に咲き誇ります。
蓮(ハス)の花のような花弁がひときわ綺麗です。

花の香りもあるそうだが、あまりにも高い位置にあるため、嗅ぐことが出来ません。どんな香りがするのだろう?


山門前で咲くハクモクレン。 

秋にはコブシ状の実をつけます。
モクレンといえば、花色が紅紫色をよく見かけるが、落葉低木で、ハクモクレンより樹高が低い。
昔は「木蘭(もくらん)」と呼ばれていたこともあるそうで、これは花がランに似ていることから。
現在は、ランよりもハスの花により似ていることから、「木蓮(もくれん)」と呼ばれるようになったのです。

ここ長谷寺境内のハクモクレンは、桜のピンク色にも負けない白色で競い合っている。


長谷寺境内では、桜とハクモクレンとの競演です。 


世界で一番古い果樹・・・ザクロ (33)

2008-02-23 17:13:11 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

これは、昨年秋、奈良・東大寺二月堂で見かけたザクロの実です。

ブドウとともに世界中で一番古くから栽培されている果樹で、日本では花木として育てられてきました。
地中海沿岸、アメリカなどでは果実を目的とした実ザクロの栽培が多く、甘味のあるものや大きな実の品種がつくられているとか。


桜井市脇本・春日神社に古木がありました。

雄略天皇の泊瀬朝倉宮址とされている桜井市脇本、国道165号から少し入った春日神社にこの木がありました。
ツタ類に巻きつかれてはいるものの、樹高4m、幹周り70cm以上で、成長が遅いザクロとしてはかなりの大木です。

平安期に渡来し、中国の古名、石瘤(せきりゅう)を転訛して『ザクロ』と和音読みにしたものとか。


樹高4m、幹周り70cm以上あります。ザクロの木としては大木です。

子供の頃に、庭にあったザクロの実を食べたが、綺麗な歯が並んだようで・・・果肉は半透明なピンク色。甘酸っぱくて、種子だけが口に残ったものだ。
平安期にはこの種子を布に包み、銅鏡を磨き曇り取りに使われたとか。

根元には、小粒の実が黒くなって転がっていた。
梅雨頃には、真っ赤な花が咲くはず。秋にはどれだけの実が楽しめるのか・・・。ここも秋に訪ねよう。


「信濃」の語源・・・シナノキ (32)

2008-02-22 11:20:05 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

シナノキの葉っぱ。ハーート形に近いのです。去年見たのだが・・撮影していなくて・・・借用写真です。

シナノキ科シナノキ属。別名はアカジナ。北海道・本州・九州に分布する落葉高木です。
同じシナノキ属の「ボダイジュ」に似ています。
この木は、生育地によって樹高が異なるといわれています。
ここ桜井市初瀬・法起院の境内にあるシナノキは、十三重石塔がある徳道上人御廟内で、樹高10m、幹周り1mに育っています。


葉は、心臓状円形で長さ幅とも4cm~10cmくらい。花は7~8月頃に開花し、淡黄色で径約1cm。
香りの高いシナノキの花はハチミツのもとになる代表的なものだとか。
果実は10月頃、灰褐色に成熟し約5mmの球形となる。根元を探したが・・・みつからなかった。


樹皮は暗褐色または帯灰褐色で、縦に浅く割目が・・・。

「シナ」はアイヌ語の「結ぶ」に由来し、樹皮は強靱で、繊維を取ってロープや布をつくるのに使われたとか。北海道土産の熊の木彫りは、ほとんどがシナノキを使っているそうだ。

この木は長野県に多く、長野市の「市の木」で「信濃」の語源にもなったといわれている。


美味しいドングリ・・・・ツブラジイ(コジイ)(31)

2008-02-21 11:15:28 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ


ブナ科・シイノキ属です。
関東南部から九州に自生する暖地性のシイで、「円ら椎(ツブラジイ)」と書き、別名「小椎(コジイ)」と呼ばれており、丸く可愛らしい実なのです。


シイノキの仲間にはツブラジイ(コジイ)とスダジイ(イタジイ)があり、ツブラジイはスダジイとよく似ているそうですが、大木になっても幹に深い縦裂があまりないこと、実が丸いことなどから区別ができるとあります。

でもこの区別はかなり困難で、(かなりの老木になると、幹に縦裂ができるものもあるそうですが・・)両者の区別は必ずしも明確ではなく、中間型も多いと言われています。
ここの木も少し縦に浅い裂が走っています。


では、根元に落ちているドングリの種類で決めようと、落ち葉を避けて捜しましたが見当たりません。イノシシの足跡があることから、恐らく食べられたのでしょう。


初夏に花が咲き、果実は翌年の秋に熟します。
昔の人は、食料としていたとか・・・。少し焙って鬼皮を剥いで食べると渋みがなくて美味しいとか。



この木は、建築材、器具材、シイタケの原木などに使われているのです。

古くは単に椎(しい)と呼ばれ、万葉集にも歌われていたのです。
家にあれば笥(け)盛る飯(いい)を草枕 旅にしあれば椎の葉に盛る (有馬皇子)

一昨日、椿の花を紹介した「玉列神社」境内の東側や拝殿の西側に、幹周り2m以上の大きな木が聳えています。





樹齢300年・・・八重咲きの紅梅 (30)

2008-02-20 17:11:30 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ


手前と奥に樹齢300年の紅梅があります。幹周り2メートルです。中央の台が、「菅原道真の腰掛石」です。 

樹齢300年の紅梅がある桜井市初瀬・與喜天満神社御旅所を訪ねました。
この御旅所は、長谷寺参道の中ほどにあり「菅原道真の腰掛石」があるのです。


鳥居の周りの紅梅は、咲き始めです。 

まずは、天神山(与喜山)與喜天満神社の境内を目指します。
与喜天満神社は天神山の南西麓に鎮座し、天神山の登山口でもあり創祀は鎌倉初期。神社名の通り、菅原道真を祀る天神さんです。




ここ2~3日でほころんだ鳥居周りの紅梅が、優しい色で迎えてくれました。
幅が広い自然石の階段を登ります。杉の枯れ枝や種子が落ちています。

かなり高台にあり、登る途中の北西には長谷寺の本坊あたりが見渡せます。
10日前に積もった雪がまだ日陰に残っており、山の深さが窺えます。




拝殿左右の樹齢100年ほどの梅の木にはしっかりと苔が付いていましたが、まだ蕾は硬いようで・・・。
拝殿前には白梅が2、3輪ほど、蕾が脹らんでいただけで・・・。まだまだ蕾がほころぶ様子はないようです。


参道の横に「與喜天満神社御旅所」があります。 

さて、参道に戻り、西国三十三ヶ所番外の法起院近くにある「與喜天満神社御旅所」に向います。
石の柵に囲まれた中に樹齢300年の2本の紅梅がありました。太い枝の樹皮にはノキシノブが生え、幹にデコボコのコブを作って成長の苦節を示しています。

さすが300年の樹齢です。枝にはノキシノブが生えていました。 

奥側にある古木は幹周り2m、樹高7.3m。手前側は幹周り1.7m、樹高9.6m。いずれも淡紅色中輪の八重咲きで、結果率は極めて低いとされています。
遅咲きで3月中旬のなたね梅雨の頃に咲くとかで、「泣き梅」と呼ばれているとか。

花の寺・長谷寺の桜も見事です。全山ピンク色に染まります。この頃に、この梅も咲くのだろうか・・・。
さてどんな八重咲きなのか・・・桜の咲く頃に寄ってみることにしょう。