スターアニスの 『大和路 里の光彩』

アーカイブ中心の風景写真、趣味の書・刻字など・・いろいろと楽しんでおります。

名前の由来に特徴・・・・ムクノキ(椋・椋の木)(29)

2008-02-19 10:17:58 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

幹の周り5mを越えている。バックには三輪山が見える初瀬川のほとりに聳え、遠くからでも、目立つ存在だ。


幹周り5m。ドッシリと構えている。

関東地方以西の温暖な地域に生育する落葉高木で、木の成長速度は速く、急速に生長するらしい。川沿いの水分状態がよい場所に生育し、巨木に育ったものが天然記念物などに指定されていることも多いという。


後ろには、三輪山が見えます。

濃緑色の葉を茂らせ、枝先には丸い実を付け、熟せばブルーベリーに似た甘い実がなるのです。
縄文時代の貝塚からもこの木の実が発掘されているそうだから、古代人も食べていたのだろう。



葉はケヤキやエノキと似ているが、表面に剛毛があり、さわるとザラザラする。これがこの木の決め手だ。
このザラザラ感は、単に剛毛があるからではない。葉の表面がケイ酸質、つまり石英やガラスの主成分であるのだ。



葉っぱの裏です。 

このため、この葉っぱで漆器や鼈甲細工、象牙などの表面研磨にも使われてきた。自然のサンドペーパーなのだ。爪の先をなめらかにすることも出来るのだという。一度試してみよう。

「ムクノキ」という名前の由来は、良く茂る木の意味「茂くの木」であることからとか・・・
新葉には、細かい粗い毛が密生している「ムク毛」からとか・・・。
また、葉に珪酸を含みザラザラしている。この葉を乾燥したもので、木や竹・骨・角の器物の表面を磨きはがす。この物をはぎとる意の『ムク(剥)』からとか・・・・。
そして、古来、日本人は心身のケガレを忌み、ケガレを擦りおとし、無垢な心をもつこと・・・と考え、『無垢の木(ムクノキ)』からとか・・・・。
また、老木になると樹皮がはげてくるので、ムクノキ(剥くの木)だとか・・・・。
さらに、実はムクドリが好んで食べることから・・・「ムクノキ」となったとか・・・・。


去年、この木の下で拾った「ムクノキ」の皮。硬いです。

このように、「ムクノキ」の名前の由来にもいろいろあるのです。さて、どれでしょうね。あとからいろいろこじつけたと思いますが・・・。どれも正しいと思うのですが・・・。

材は緻密(ちみつ)・堅牢(けんろう)で割れにくいため建築材や器具材(運動具・楽器など)として広く利用されるとか。



桜井市三輪・神明神社の境内にありました。ご近所のご老人にこの木の名前を聞いたのですが・・・「さあ、何の木かねぇ。私の生まれる前からあったが・・・誰も知らないねぇ!」ということだった。
今度、教えに行ってあげよう、と思っているが・・・。由来を説明すると・・・???となるかも。


   

白い綿毛をつけた実は風に乗って・・・・マルバヤナギ(丸葉柳) (28)

2008-02-18 21:42:42 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

桜井市太田・天照御魂神社の境内の東端に、葉っぱを落とした「マルバヤナギ」がありました。
木肌と、幹から出た枝の先端をみて調べました。赤い色をしています。新芽が赤いために、アカメヤナギとも呼ばれます。


新芽が赤いため、アカメヤナギとも言われています。

木肌は、やはり柳のようです。
ヤナギ科ヤナギ属。東北地方中部以南、四国、九州に分布し、落葉高木、雌雄別株、樹高10~20m。樹皮は灰褐色で縦に割れています。


「マルバヤナギ」の葉。

細長い葉の種が多いヤナギ類の中で、この木の葉は丸みのある形をしていることから「マルバヤナギ」の名が付いたのです。また、日本に自生するヤナギ属の中では最も花期が遅いのです。



ヤナギの木の仲間の中で、4~6本という多くのおしべを持っているのもマルバヤナギだけなのです。

また、花が散り終わってから出る4月から5月に花は葉の展開の後に開花し、6月頃にかけて実の先が割れて、フンワリした白い綿毛をつけた小さな種子が風邪に乗って飛んでいくのです。この飛び散る様子、是非みたいものです。


マルバヤナギの花。

二股に分かれた太い木の片方が、根元から切られ、足元に転がっていました。台風で折れたのだろうか。でも、ヤナギの木は「風にヤナギ・・・」で、しなやかで折れないものだが・・・。


この木の根元に生えていた苗木。これが「マルバヤナギ」なのだろうか?

根元付近には、この「マルバヤナギ」の 実生の苗だろうか・・・かなりの新芽が生えていた。2本の苗を引き抜いて持ち帰り、鉢に植えてみた。盆栽に育てたいのだが・・・。

マルバヤナギ(丸葉柳)で、よく知られているのは、広島の爆心地から770mの位置にある「アカメヤナギ」の被爆樹木です。
原爆の爆風、熱線を受けてもなおも生き続けているのです。


天照御魂神社の境内の東端に、この木は2本ありました。


鉄くずを食べる?・・・ソテツ(蘇鉄)(27)

2008-02-17 17:28:38 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

小学生の頃、友達の家の庭に大きなソテツ(蘇鉄)があって、『このソテツは鉄を食べて育つから家からどんな鉄でもいいから持ってきて欲しい』と、言われたことがあった。
釘やハリガネの錆びたもの、鉄の鍋などを茎に差し込んだりしたものだ。何しろ高さ5mほどのものが4~5本あったと記憶する。
何ヶ月もすると鉄が細くなっていたことを思い出す。


光専寺の境内のソテツ。

ここ、桜井市大福・光専寺の境内。6~7本の太い幹が高く聳えている。
葉っぱは羽状に広げて葉先は尖っている。雌株は数年に一度咲くとか。これは雌木だろうか朱色の大きな卵形の種が見えている。


ソテツの実かな?

この種を採って植えれば育つそうだ。今度、貰ってこようかなぁ。種は数十年物の大きなソテツでしか採れないとか。芽が出るまでに1,2年掛かるので、気長に水を切らさないように育てなければなりません。


この木は、寺院に似合うのかお寺の境内で見かけるが、大きな庭園や民家でもある。時には1000年を越す、古木もあり、国の天然記念物に指定されているものもあります。
九州南部以南の海岸などに分布する常緑低木で、高さ2~5mになる。幹には年輪がない。花期は7~8月、雌雄異株で、雌花は長さ20cmの半円球の花房になり、褐色の腺毛が密生する。


桜井市大福・光専寺です。

ソテツ科ソテツ属はオーストラリア・アフリカ・日本など広い範囲で約20種類の仲間が知られている。その中で一般にソテツと呼ばれ庭木や観葉植物として親しまれているものは、九州南部~ジャワにかけて分布する「シカス・レヴォルタ」という種らしい。
おそらくこのソテツも「シカス・レヴォルタ」なのだろう。

図鑑を見ると、蘇鉄の名前の由来は、この木が衰えたときに幹に鉄くぎを打ち込んだり鉄類を株元に与えるとよみがえって元気になるという「いわれ」になっているとか。やはり、クギなどの鉄を食べるのです。

光専寺の境内には、大きなイチョウの古木もありました。


竹トンボに付いた実・・・ボダイジュ(菩提樹)(26)

2008-02-16 10:59:31 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ


桜井市大泉・天満神社に植えられている「ボダイジュ」の木。

ボダイジュ(菩提樹)は、お釈迦さんがこの木の下で悟りを開いたことで寺院に植えられていることが多いが、ここ桜井市大泉・天満神社にも植えられていました。

もっとも釈迦とかかわりのある木は、クワ科のインドボダイジュなのですが、日本では育ちにくいため中国原産シナノキ科のボダイジュ(菩提樹) が代用され植えられているとか。

また、シューベルトの歌曲「菩提樹」は、セイヨウボダイジュ(西洋菩提樹)のことで、別名をリンデンバウムという、これまた別の種類なのです。

また、数珠を作るボダイジュというのは、ホルトノキ科のジュズボダイジュや、ムクロジ科のモクゲンジという、全く別の種類とか・・・。
「ボダイジュ」といえど、いろいろあって、難しいですね。


去年、今熊野観音で初めて見た「ボダイジュ」の木。

昨年、西国33箇所巡りをした時、15番札所・新那智山観音寺・今熊野観音で、初めて花が咲いているのを見ました。また、21番札所・菩提山・穴太寺の境内でも・・・。
葉の裏の真ん中あたりから花を咲かせ、それが果実になるのです。

葉っぱの裏から花が・・。変わった形です。 


天満神社の木には、枯れた葉っぱに実が・・・。

境内の樹の梢には、茶色くなったへら状の葉っぱと実が垂れ下がり、風になびいていました。
竹トンボのような形が枯れ枝からぶら下がっています。その先端には小さな丸い実が・・・。ヒラ~ヒラ~と舞い落ちるのを見たいものだ。
足元に落ちていないか探したが、見当たらなかった。
6月頃に咲く黄緑色の花を、再度見に行きたいものだ。


これは「インドボダイジュ」の葉っぱです。葉っぱの先が尖っています。日本には無いのかなぁ?


実は石鹸の代用・・・ムクロジ(無患子) (25)

2008-02-15 16:25:30 | 奈良県の「巨樹・奇木」シリーズ

ここ桜井市上之庄にある殖栗(えぐり)神社にある「ムクロジ」。
かなりの古木です。根元の反対側は洞窟になっていて、大人が屈めばスッポリと入る大きな穴です。


ムクロジの古木です。

この神社は、聖徳太子の弟・殖栗王と春日神を祭る鎮守の森である。


まだ実がぶら下がっていました。

寒風が吹きすさぶ梢の先には、まだいくつかの実が落ちずに頑張っていました。
また、足元を見渡すと、実が1個・・・そして果肉が取れた黒い種も・・・。


この実は直径2cmほどのアメ色の半透明、網目模様がついた硬い実です。
この果皮を少し削って水で濡らし手の平で擦ると、石鹸のような泡が出て、汚れが取れるとあった。
では、どういうものか、貴重な1個の果皮で・・・・試してみると・・・泡が出てきました。汚れは・・・どうも分からないが・・・。感じとしては、やはり「セッケン」のようです。

また、実の中の黒い種は、直径8mmで黒色、羽子板の羽根の玉に使われるとか。
確かに、ちょうど良い大きさ・重さです。
これら実や種子のことについては、ブログで交信願っている「京恋し・京さん」のブログでも紹介されていますので、詳細をお知りになりたい方は、どうぞ・・・。

無患子(むくろじ)科 ムクロジ属。学名のSapindus(サピンダス)は、ラテン語の 「sapo indicus(インドの石鹸)」が語源。果皮の石鹸(せっけん)性の性質からで、インドでは、古くから石鹸の代用に使われていたとか。


京さんのブログ写真から転用。

ムクロジの名前の由来は、モクゲンジの中国名「木欒子」を誤ってムクロジに充てたために、木欒子の日本語読み「モクロシ」が転じてムクロジになったとか・・・。

関東以西に分布するやや暖地性の落葉高木で、樹高は15~20mにもなります。
黄緑色の小さな花が咲く6月に、再度訪ねたいと思います。


殖栗(えぐり)神社です。右の奥に「ムクロジ」の古木が・・・。