いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

女の日 76編

2005年09月27日 08時39分34秒 | 娘のエッセイ
 三月三日は雛祭で女の子の節句、である。
ところが、なんと昔は五月五日も、実は『女の日』であったというのだ。

 和歌山県西牟婁郡三川村では、五月四日の夜を「女の屋根葺き」といい、
ヨモギ・カヤ・菖蒲を屋根に投げ上げ、この夜を『女だけの夜』だ、と称して
いるのだそうだ。

そしてこの伝承は、神奈川県の津久井郡にも残っているという。また昔の人々
の、一日の終わりは日没…という考え方からすると、五月四日の夜は事実上、
五月の五日ということになるらしい。

 ところで五月五日が、なぜ現代は男の節句になってしまったのか、という過
程は実に興味深い。

 現代の雛祭の日である三月三日にこの行事をする習慣は、江戸時代、綱吉
将軍の時代に固定したそうである。もっとも(旧暦)三月三日は、今年の農耕
生活が始まる前に、人々が見の汚れを紙人形に移して、それを川や海に流して

身を清めるという、一種のみそぎの行事がもとであった。それがいつしか立派
な人形に変わり、人形は女の子の玩具、ということから自然と三月三日は女の
節句となったのだという。ここでいよいよ登場するのが、可愛らしい、子供のよ
うに我儘な男達である。

 三月三日は女の節句、五月五日も女の日、となると「俺達、男の日はどうな
るんだよぉ」と悔しがったらしい。そこで菖蒲を『尚武』にひっかけ、男の日と
変えてしまった。

 そして今、男女同権を建前とする現代になって、男の日は「子供の日」と名を
変え、祝日となったのであるが…今『男女平等』を掲げ、別姓を! 仕事を!と
叫ぶのはもっぱら女性だが、昔は逆だったのか。なんとなく小気味良い話では
ないか。

 近代、年々立派になっていった雛人形。それも住宅難から、最近は縮小傾
向にあるようだ。

 雛人形を飾り、白酒を飲むのも良いが、こうしたお祭りの由来を子供に話して
やれる若いママ、果たしているのだろうか。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「無心」再び | トップ | トキメキは食べ放題 77編 »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
講評 (荒木)
2005-09-27 08:52:51
 なかなかに物知りの貴女。とても良い故事来歴に私も学問させて頂いた。

 今日のは主として「歴史的」内容でしたが、やっぱり貴女らしく終わりのほうにいつもの「貴女流」がでてきているのが、うれしい。



 ふと気がつく。

男の日と化した五月五日が「男・女含めての」こどもの日になった。一方、女の日の三月三日はそのまんま。理屈から言えば、これも「こどもの日」であるべき……

 この件に限定すれば、女性側が男性側を圧倒してしまった。といえるかも。



返信する

コメントを投稿

娘のエッセイ」カテゴリの最新記事