いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

『死んだ女の子』

2010年08月26日 08時22分11秒 | 兎に角書きたいの!
 あけてちょうだい たたくのはあたし
 あっちの戸 こっちの戸 あたしはたたくの
 こわがらないで 見えないあたしを
 だれにも見えない死んだ女の子を

 あたしは死んだの あのヒロシマで
 あのヒロシマで 夏の朝に
 あのときも七つ いまでも七つ
 死んだ子はけっして大きくならないの

 炎がのんだの あたしの髪の毛を
 あたしの両手を あたしのひとみを
 あたしのからだはひとつかみの灰
 冷たい風にさらわれていった灰

 あなたにお願い だけどあたしは
 パンもお米もなにもいらないの
 あまいあめ玉もしゃぶれないの
 紙きれみたいいもえたあたしは

 戸をたたくのはあたしあたし
 平和な世界に どうかしてちょうだい
 炎が子どもをやかないように
 あまいあめ玉がしゃぶれるように
 炎が子どもをやかないように
 あまいあめ玉がしゃぶれるように

 映画「キャタピラー」の主題歌で「元ちとせ」さんが歌っている。若松孝二監督は次のように述べている。
 「元ちとせさんの『死んだ女の子』を初めて聞かせて頂いた時、大きな衝撃を受けました。監督として映画キャタピラーで最も伝えたかった思い、戦争とは国家による人殺しであるということ、国の命令で人が人を殺すということ、その戦争によって多くの人が殺されていったということを忘れてはならないという思い、その思いが奇跡のように重なった歌でした。…」

 2010年に若松孝二監督が新作映画「キャタピラー」を完成させた。太平洋戦争末期、四肢を失った傷痍軍人と銃後の妻との壮絶な物語である。人を一人殺せば殺人、100万人殺せば英雄!何たることだ!これが現実の人間社会なのだ。
 
コメント
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