邦画ブラボー

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雷蔵の「婦系図」

2005年08月24日 | ★愛!の映画
明治ものを二本続けてみた。

「婦系図」と「にごりえ」

どちらも傑作でした。

湯島ときたら「白梅」!
「別れろ切れろは芸者のときに言う言葉」

いつのまにか刷り込まれている「婦系図」の台詞。
原作は泉鏡花です。市川雷蔵、万里昌代主演。

将来を嘱望された学者の卵と芸者の恋。

義理やしがらみに縛られながらも
一本骨が通っている男女の生き様が
現代の日本人の在りようとあまりにかけ離れていて驚く。

はっきりとした身分制度の上になりたった社会構造にも。

お蔦(万里昌代)と小芳(木暮美千代)が、
芸者の我が身を恨んで泣くシーンには
思わずもらい泣きしてしまう。
どうも最近涙腺がどうにかなってしまっているようで。

夏も終わりだなあ。

「お蔦、別れてくれ!」の名場面、
薄もやがかかったような湯島天神のセットが美しい。
白梅はこぼれるように咲いていた。

意地を貫き通す生き方は
主税(市川雷蔵)とお蔦の美学だったのだ。

「短い間に日本も
日本人も変わったものだ」としみじみするには
まだ早いか。

明治女に扮した万里昌代が気丈で美しいが
可憐な三条魔子も泣かせてくれた。

べらんめえ・船越英二も粋な役どころ。

音楽は豪壮な作風で知られる伊福部昭だけど
物語を情感あふれるメロディーで包んでおり、意外だった。

衣笠貞之介監督、山本富士子主演版も見たい。

監督 三隅研次  脚本  依田義賢 音楽 伊福部昭 美術 内藤昭

「にごりえ」についてはまた後で書きます。

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