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「子連れ狼」子を貸し腕貸しつかまつる

2005年08月19日 | ★ぐっとくる時代劇
「刺客」という言葉が飛び交う
今日この頃ですが、
この映画を見た私にはそんな恐ろしい言葉
とてもじゃないけど安易に使えません。

「ちゃんの仕事は、刺客ぞな」の歌で有名な「子連れ狼」が
初映像化されたのは、
若山富三郎の映画版だった!

昭和45年から週刊漫画アクションに連載された
小池一夫原作、小島剛夕画による劇画は大人気を博した。

拝一刀がなぜ
箱車を押し冥府魔道の旅に出ることになったのか?
大五郎がなぜあんなに肝が据わっているのか
わかるのがこの作品だ。

小池一夫自身が脚本を手がけているため、
台詞がイイ!

冒頭に立派な屋敷が映し出され
家来たちがすすり泣く中を
家老風の侍(加藤嘉)
純白の着物を着た幼い若君の手を引いて登場する。

若君が座るや、背後から三つ葉葵の紋が染め抜かれた着物に
たすきをかけ刀を携えた
拝一刀(若山富三郎)が厳粛な面持ちで現れる。

そして・・

!!

江戸時代、
幕府を支える裏の組織として
黒鍬衆が密偵、危険人物の暗殺に裏柳生
さらに要人の「切腹介錯人」には拝一族があたっていた。

その公儀介錯人の地位を狙う
柳生の陰謀によって一族郎党と妻を殺され、
いわれのない汚名をきせられる拝一刀。

大五郎と共に「冥府魔道」への旅立ちの装束である
白装束をまとい、
切腹を迫る上意書を
「笑止!」と斬り捨てるシーンは鳥肌ものです。

以来柳生一派に付け狙われながら
一殺五百両の刺客を生業として諸国をさすらう。

旅の途中で、子を亡くし気が触れた女に
大五郎を無料でレンタルしてやる場面があって
子を貸し・・という題名はそこからきているものと思われる。

若山富三郎の殺陣は
弟勝新太郎が、「立ち回りは俺より兄ちゃんのほうがうまいよ」と
言っていただけあってすさまじい。
なんてったって元公儀介錯人ですから。
必殺剣法!

三隅研次のメリハリの効いた演出が冴え渡る。

一刀を付け狙う柳生烈堂(テレビでは金田龍之介)に
伊藤雄之助が扮し憎たらしさ不気味さこの上なし。
若山富三郎主演でシリーズ化。
大五郎との絆の深さは作品を追うごとに深まっていくようだ。

萬屋版もいいが、
ハードな若山版子連れ狼も、もっと評価されてもいいと思う。

1972年 三隅研次監督作品 小池一夫脚本 原作: 小池一雄 小島剛夕

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