邦画ブラボー

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「座頭市物語」

2005年07月22日 | ★ぐっとくる時代劇
花見に浮かれる人々。

傍らで異様な手の動きが映し出され、
客の肩を按摩する市の姿が我々の眼に飛び込んでくる。
これが伝説のヒーロー「座頭市」の
シリーズ第一作目の冒頭だ。

ここに入ってくる伊福部昭の音楽ですが、

異常です。

オーケストラに不協和音のように入る三味線で
神経逆撫で。
ダイナミックで不穏な響きを持った旋律はずば抜けて個性的。

だけどそれが修羅の道をゆく
座頭市にぴったり合う。

荒野をぶざまに這いずりながら進む市に。
目にもとまらぬ速さの居合い抜きの後、
静かに仕込み刀を納める市の後ろ姿に。

「ゴジラ」で有名な伊福部昭だが
座頭市シリーズはもとより
眠狂四郎シリーズなど時代劇でも
印象的な伊福部節を撒き散らしていることを忘れてはならない。

この作品は最近の派手なアクション映画を見慣れた目には
「地味で暗く」映るかもしれない。

だが!!

私はこの枯淡とも言える硬質な美学に傾倒する。

市と友情を交わしながらも戦わざるをえない、
平手御酒(天知茂)の虚無、端正なたたずまいも秀逸。
そして市のストイックな生き様にしびれるものである。

以前テレビで放映されたとき、
台詞が「ピー」だらけになって
「こんなんだったら放送しないでくれよ」と思う反面、
「こんなにまでして放送してくれて・・」と
複雑な気持ちになったものです。

それほど差別用語といわれる言葉は多いが
その台詞を抜いてはこの作品は鑑賞出来ないことも事実。

名脇役、柳永二郎が剛毅な親分を演じているのも見逃せない。
その流麗で見事な台詞は、
一字一句聞き漏らしたくない「本物」の味わいがある。

この作品後、シリーズ化され
エンターテイメント性が増し、
大スター「座頭市」が作られていく。

出演:勝新太郎、天知茂、柳永二郎、三田村元、島田竜三、万里昌代・・など

1962年 三隅研次監督作品 原作 子母沢寛  脚色 犬塚稔 美術 内藤昭 撮影 牧浦地志 

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