北欧福祉国家とキェルケゴール

2008年06月09日 | 持続可能な社会

 スウェーデンについての学び、尾崎和彦氏の『スウェーデン・ウプサラ学派の宗教哲学』(東海大学出版会、2002)は大著すぎて、電車の中で読むことができないので、後回しにして、それよりは薄い(でも大著ですが)『北欧思想の水脈』(世界書院、1994)を先に読みました。

 北欧の福祉思想の基本線ともいうべき「自立と連帯」は、キェルケゴール――確かに気づいてみれば、「実存哲学の祖」であると同時に「デンマークのキリスト教思想家」でした――の「単独者」と「隣人愛」の思想をある意味で源流としている、という指摘に驚きとともに納得しています。

 詳述はできませんが、北欧知識人たちの大変な苦闘を経た神話的キリスト教からヒューマニズムへという発展・飛躍が、北欧福祉思想そして福祉国家を生み出していることがはっきりしてきました。

 スウェーデンー北欧が「福祉国家」を超えてさらに「緑の福祉国家」に接近できるには、大変な歴史的な積み重ねがあるのですね

 すでにいちおう目を通した宮本太郎『福祉国家という戦略――スウェーデンモデルの政治経済学』(法律文化社、1999)に加えて、『…ウプサラ学派…』も読み、できれば石原俊時氏の『市民社会と労働者文化――スウェーデン福祉国家の社会的起源』(木鐸社、1996)、K・ハストロプ編『北欧のアイデンティティ』(東海大学出版会、1996)なども読んでから、まとめて報告したいと思っています。

 とりあえずの途中経過報告でした。

 それにしても、学びたい、学ぶに価する、学ばなければならないものが多い、多すぎる。時間が足りない。



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