3月の原発事故の後、しばらく集中的に原発と放射能に関する本ばかり読んでいました。
数十冊読むと、問題のポイントが見えてきて、確信のもてる判断ができるようになったと思いましたので、筆者を信頼してくださる知り合いやブログ読者にシェアするための記事をある程度書きましたが、代表的には故高木仁三郎氏や小出裕章氏などの筆者が信頼できると思う原子力発電の専門家がおられるので、そういう方々のことを紹介したら、後は素人の筆者がこれ以上書く必要はないだろうと思って、中断していました。
しかし、「放射能は低線量でも被曝、特に内部被爆は非常に危険だと思う」(その理由については関連ブログ記事参照)という筆者の判断を聞いて、「では、どうしたらいいのでしょうか」という深刻な質問・相談を受けるようになり、筆者の知りえたかぎりで信用できると思われる情報や筆者自身の判断をさらにお伝えしたほうがいいかな、と思いかえすようになりました。
まず、端的に言うと、可能なら海外へ、できなければ国内でもなるべく西へ移住したほうがいいと思っています(筆者の長女一家は頑張って茨城から四国へ引っ越しました)。
しかし、引っ越しできる人はともかく、いろいろな事情や理由があって引っ越しできない、しない人間はどうすればいいのか、という大問題が残ります。
筆者は、文化・言論も含め東京一極集中型になっている日本で、言論活動をしていくには残念ながら首都圏を離れると非常に不利になると考え、また50歳以上は放射線の影響を受けにくくなるという情報もあるので、この際あえて踏みとどまるという感じで、今のところ引っ越しをしないでいます(かなり真剣に検討したこともあるのですが)。
そうしたなかで、内部被曝をできるだけ避けるにはまず食べ物に注意するしかないだろうと考え、妻がいろいろ苦心をしてくれています。
具体的にはどういう注意をすればいいのかについて、非常にいいヒントになっているのが、ウラジミール・バベンコ『自分と子どもを放射能から守るには』(世界文化社)です。
著者は、チェルノブイリ事故の後のベラルーシで放射能汚染の問題に取り組んできた民間の研究機関・ベルラド放射能安全研究所の副所長です。
本のカバーの広告文に「本書は、放射能の降った自分たちの大地で、家族を守り、生きてゆくために、自分でどうすればいよいのかを伝えてくれます」とありますが、読んでまさにそのとおりの本だと感じました。
どういう食べ物を選び、どう料理したらいいのか、それが多くの市民の知りたかったことですが、この本にはわかりやすく簡潔にその答えがあります。
チェルノブイリ事故への対応から生まれたベラルーシ向けの本ですが、京大の原子炉実験所の助教で小出氏の同僚である今中哲二氏の日本の状況へのコメントも含まれていて、日本の現状に対しても基本的に当てはまり、とても参考になります。
原発についてまず一冊だけなら小出裕章『原発のウソ』(扶桑社新書)、もう一冊といわれたら、高木仁三郎『原子力神話からの解放――日本を滅ぼす九つの呪縛』(講談社α文庫)とご推薦してきましたが、放射能への日常的・具体的対策について一冊だけ、といわれたら、ためらわずこの本をお勧めしたいと思います。