新刊案内:『コスモロジーの心理学』

2011年12月11日 | コスモロジー

 11月末の予定だった拙著『コスモロジーの心理学――コスモス・セラピーの思想と実践』(青土社)が今月半ば配本になります。

 このブログで書いてきたことも、書いていないことも含む、コスモス・セラピーの決定版です。

 ぜひ、ご覧ください。


 下記で予約もできます。

 なお、刊行された後は関係記事は削除することになりますので、ご了承ください。
 


コスモロジーの心理学 コスモス・セラピーの思想と実践
岡野守也
青土社




*ご参考にまえがきを転載します(1/4)。


まえがき

 今、たくさんの現代人が感じている「生きづらさ」のいちばん底には空しさ・ニヒリズムの問題が潜んでいると思われます。他に社会的な理由はいくつもあげられるのですが、もっとも深い理由はそれであり、それがいちおうふつうに生活している人にも、「半健康」と呼ばれるような、さまざまな心や体や行動の不調を生み出している、と筆者は考えてきました。

(ニヒリズムは、実は近代という「時代の病」の内的な側面であり、今回の原発事故・放射能汚染も含む環境破壊という外的な側面とも深く関わっていることについても、本文中で若干ふれます)。

 「コスモス・セラピー」は、そうした生きづらさ―ニヒリズムやそれがもたらす不調や症状をいちばん深い根から取り除くことを目的とした心理療法(ルビ:セラピー)的思想・思想的心理療法(ルビ:セラピー)で、治療ではなく予防や心理的健康の促進を目的に行なう場合は「コスモロジー教育」と呼ぶこともあります。

 まず社会人が参加するワークショップで十年あまり実験的に行なってまちがいなく効果があることを確認し、やがて機会が与えられて大学でも授業として実践できるようになり、十年以上続けて大きな効果があることをさらに確認してきました。

 コスモロジー教育としては、いくつもの私立の中・高等学校で実践してくださる方があり、生徒たちのやる気・勇気・自信すなわち心理的健康度を高める上で大きな成果があがっているという報告を受けています。

 そうした実績・事実に基づいて、この本は、本気で読んで実行していただくと、あなた自身やあなたの大切な人(子ども、家族、友人、生徒、学生、部下など)の人生観・世界観が一八〇度変わり、「ほんとうの自信」・「生きることそのものへの自信」が身につくことになる――その結果、心や体や行動の症状や不調のかなり多くが解消または改善され、心理的健康が促進される――と自信を持って言いたいと思います。

 例えば、初めての授業で、「本気で授業を受けていたら、半年か一年で、まるで変わるかもしれないよ」と予告するのですが、相当多数の学生が「そんなー(信じられない)」という反応をします。ところが、半年後、これまた相当多数の学生が「そんなーと思いましたが、先生の言ったとおりになりました」と感想を書いてくれます。それに「ちょっと悔しいけど」と書き添える学生もいます。どこか私に変えられたという感じ・誤解があるからでしょう。ほんとうは、私が伝えた新しいコスモロジーを通じて自分が自分で変わったのですが。

 典型的なエピソードをあげると、初めて大学に毎週講義に行くようになった年、数回の授業が終わった後、やや幼い顔をした女子学生が、その顔に似合わない本気で深刻な表情で質問に来て、「先生、私は、考えれば考えるほど死にたくなるんですが、友達に相談したら、『バカ、考えるから死にたくなるんだ。考えるのはやめろ』と言われました。やっぱり考えないほうがいいんでしょうか?」と言うのです(その後、次第にわかってきたことですが、彼女のような死にたくなる若者、心を病んでいる若者が驚くほど多数いるのです。統計を見ると大人もです)。

 そこで筆者は、こう答えました。「戦後、ぼくたちやきみたちが学校で教わってきたことを元にして考えると、考えれば考えるほど死にたくなるんだけど、これから、考えれば考えるほど死にたくなくなる、それどころか生きたくなる考え方を伝えるから、あわてて死にたがらないで、がんばって授業に出ておいで」と。

 するとその後、彼女はがんばって続けて授業に出てきて真剣に聞いている様子で、回を重ねるにつれて目が輝いてくる様子なので、そっとして深追いはしないで前期末まで待ってから、「どう、まだ死にたい?」と聞きました。すると、彼女はニコリと微笑んで、「だいぶ死にたくなくなりました」と答えてくれたのです。そして、さらに学年末にはすっかり元気になっていきました。

 社会人であれ学生であれ、同じような、あるいはもっと劇的な変化の実例(リストカットが止まった、自殺願望がなくなった、不登校ぎみ、拒食・過食、軽うつが治った、その他診断名はいろいろですが、ともかく精神科へ通わなくてよくなったなど)は無数に挙げることができますが、臨床心理学の専門書ではないので、重いケースの報告は避け、ほんの数例、学生が書いてくれた感想文を紹介します。

 ……授業を受けた後に何というかこの心が軽くなり安らぐというか、言葉では表しきれないすっきりとしたすがすがしさを感じています。……

 ……「全宇宙と私の一体性」の思想を授業で学び、なんというか言葉では表せない心地よさを感じました。正直に感動できたのは、それがなんら科学的にも矛盾することのないものだからだと思います。……あらゆるものと、「つながり」を感じながら生きるということはとても素敵なことであり、大変心地良いです。……(二年男)

 ……宇宙も自分も昔は一つのもので、今も一つなんだということに気付けることがこんなにも素晴らしいものだとは、思ってもみませんでした。そのことによって意味のないものなんてない、すべてのものに意味があると思えるようになり、なんだか心の中がスッキリ晴れやかになった気がします。……

 ……こういった話を聞いてきて、今までにないような気持ちになりました。どう表現すれば良いのかよくわかりませんが、心が晴れたというか、壁が崩れたというか、自分の中の世界が広がったような感じをうけました。世の中の全てのものはつながっている、全ての事が起きることはつながりがあるからだ、というのはなぜか安心するというか、気が楽になるような印象をうけました。このおかげで自分がなぜここに存在するかも考えられるようになり、またその意味も少しずつわかるようになれてきていると思います。また、他の「人」だけでなく、地球上全てのものに対する見方も少し変わったと思います。……

 これまで何百人もの参加者や学生が、こうした特徴的な感想を述べてくれました。「心が晴れた」「安心した」「気が楽になった」「心が軽くなった」「安らぐ」「すっきりとしたすがすがしさ」「心地よい」「スッキリ晴れやかになった」「生きる希望が見えてきた」……。読者もそうなるかどうか、ぜひ続けて本文を読んでみてください。

コメント (5)
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