嫌なことに遭った時の心得

2007年05月31日 | メンタル・ヘルス

 今日もアウレーリウスを読んでみましょう。

 「悪徳とは何か。それは君がしばしば見たことのあるものだ。一般にあらゆる出来事にたいして「これはきみがしばしば見たことのあるものだ」という考えを念頭に用意しておくがよい。結局上を見ても下を見ても至るところ同じものが見出されるであろう。古代史も中世史も近世史もその同じものでいっぱいだし、今日も都市や住居はこれでいっぱいだ。一つとして新しいものはない。すべておきまりであり、かりそめである。」(『自省録』7・1)

 嫌なことに遭った時、「ありえない」とか「耐えられない」と考えると、そういう気分になってきます。
 しかし、「よくあること」、「ごくふつうのこと」と捉えると、かなり気が楽になってきます。

 そして

 「君が自分の理性に従って生きるのをなんぴともさまたげはしないであろう。また宇宙の自然の理性に反してはなにごとも君に起こらないであろう。」(6・58)

と思い直すと、生きる勇気が戻ってきます。

 今日もよりよく生きるべく最善を尽くしましょう。



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徳は才能にかかわらない

2007年05月30日 | 心の教育

 今日も、マルクス・アウレーリウスの言葉を一つ。


 「君の頭の鋭さは人が感心しうるほどのものではない。よろしい。しかし「私は生まれつきそんな才能を持ち合わせていない」と君がいうわけに行かないものがほかに沢山ある。それを発揮せよ。なぜならそれはみな君次第なのだから、たとえば誠実、謹厳、忍苦、享楽的でないこと、運命にたいして呟かぬこと、寡欲、親切、自由、単純、真面目、高邁な精神。今すでに君がどれだけ沢山の徳を発揮しうるかを自覚しないのか。こういう徳に関しては生まれつきそういう能力を持っていないとか、適していないとかいい逃れするわけには行かないのだ。それなのに君はなお自ら甘んじて低いところに留まっているのか。それとも君は生まれつき能力がないために、ぶつぶついったり、けちけちしたり、おべっかをいったり自分の身体にあたりちらしたり、人に取り入ったり、ほらを吹いたり、そんなにも心をみださなければならないのか。否、神々に誓って否。とうの昔に君はこういう悪い癖から足を洗ってしまうことが出来たはずなのだ。そしてなにか責められるとすれば、ただのろまでわかりが鈍いということだけいわれるので済んだはずなのだ。しかもこの点についてもなお修養すべきであって、この魯鈍さを無視したり楽しんだりしてはならない。」
                                               (『自省録』5・5)


 アウレーリウスの言葉は、いつもみごとに事柄を言い当てていて、付け加えることは何もない、という感じですが、ほんの少しだけコメントを。

 「私なんてどうせ才能ないから」という言い訳は、何の役にも誰の役にも立ちません。

 人と比べて大きな才能があっても、それほどではなくても、私たちは、よく生きることは可能です。

 自分がいい人生を送る邪魔になっている自分の心の悪い癖をやめるか続けるかは、誰にでもある「意思の自由」を行使してどちらを選択するかという問題であって、才能の問題ではない、というのです。

 ほんとうにそのとおりです。自分の低い現状に甘んじないで、よりよい、より高い心のあり方で生きていくよう、何度でも心のあり方・生き方の選択のし直しをしたいと思います。



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おのがつとめにいそしむ

2007年05月25日 | 生きる意味

 忙しい日々で、なかなか記事の更新ができません。

 そこで今日は、疲れていて朝起きにくい時、思い出すことにしているアウレーリウスの言葉をご紹介しておくことにしました。


 「明けがたに起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果すために私は起きるのだ。」自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしに行くのを、まだぶつぶついっているのか。それとも自分という人間は夜具の中にもぐりこんで身を温めているために創られたのか。「だってこのほうが心地よいもの。」では君は心地よい思いをするために生まれたのか。いったい全体君は物事を受身に経験するために生まれたのか、それとも行動するために生まれたのか。小さな草木や小鳥や蟻や蜘蛛や蜜蜂までがおのがつとめにいそしみ、それぞれ自分の分を果して宇宙の秩序を形作っているのを見ないのか。」(マルクス・アウレーリウス『自省録』5・1、岩波文庫)


 改めて、「小さな草木や小鳥や蟻や蜘蛛や蜜蜂までがおのがつとめにいそしみ、それぞれ自分の分を果して宇宙の秩序を形作っている」ことに体と心の目を向けると、爽やかな気分がもどってきます。

 そして、「いったい全体君は物事を受身に経験するために生まれたのか、それとも行動するために生まれたのか」という自問自答は、自分を奮い立たせてくれます。

 私は、しばしば「楽だけど結局は空しい人生と、苦労も多いけど充実した人生と、どちらを選びたいんだ」と自分にも学生にも問います。

 答えはいつも決まっているわけです。

 では、間もなく今日の勤め――中級講座――に向かいます。明日は日帰りで、名古屋の名城大学での講演です。

 こんなことを書いていると、私の何倍も忙しい人には笑われてしまいそうですね。

 みなさん、それぞれにご苦労さまです。



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東奔西走中

2007年05月15日 | 生きる意味

 木曜、三鷹のM大学の授業、金曜、参宮橋の中級講座、土曜の午前中、横浜でコスモス・セラピーのワーク、終わって羽田から福岡に飛び、日曜と月曜、釈尊降誕会での法話、その合間を縫って、久米皇子(聖徳太子の弟)の墓を訪ね、最後、昨日の午後は太宰府を散策してきました。

 これから多摩のH大の授業…あと福岡2回、名古屋、青森2回、栃木など6月下旬まで、スケジュールいっぱいで、東奔西走中です。

 しかし、お陰様で、そこそこ元気です。

 仕事はすべてつながりコスモロジーを伝えることですから、うれしいことです。

 今朝出かける前に、ようやく二人目の孫娘を抱っこすることができました。

 いやあ、かわいい!

 よっし、今日も頑張るしかない。



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雨ニモマケズ、風ニモマケズ、疲レニモメゲズ

2007年05月10日 | 心の教育

 8日、H大、今日10日のM大の授業、連休明けでようやく本格的になりました。

 まず、席を移動して4~6人の知らない人同士でグループを作ってもらい、「それなしには生きていけないもの(生き物としての人間の生存の基本的条件)について」考えてもらいます。

 どちらのクラスも、相方向、多方向の授業方式に慣れていないので、やや動きは遅かったのですが、それでもちゃんとやってくれました。

 そして、グループで考えたものをホワイトボードに書き出していきます。

 例えば空気、水、食べ物……

 「基本的なものはすべて網羅するように努力してみてください」というのですが、これまでもほとんどのクラスで私の期待するような項目すべてが網羅されることはありませんでした。

 言われてみるとみんな「当たり前」と思うようなことばかりなのですが、当たり前すぎて気づいていないということがあるのです。

 当たり前でありながら気づいていないことに気づいていくと、少しずつ世界観・コスモロジーが肯定的に変化していきます。

 コスモロジー教育の重要なポイントの1つが、当たり前のことに「気づく」お手伝いをするということです。

 この続きは後日書くことにして、ネット受講生のみなさんも、よかったら考えてみてください。


 ところで、昨日、ようやく二人目の孫娘の顔を見ることができました。

 今日も大学の帰りにちょっと寄って見てきました。

 といっても、まだガラス越しですが。

 じっと見れば見るほど、小さないのちというのは、とても可愛らしいものです。

  まだ抱っこさせてもらっていないので、十分ではありませんが、少し実感が湧いてきました。

 今、いったん悩んだり落ち込んだりしている学生たちに教えて元気になってもらっているコスモロジーが、幼い頃から常識として学べる――その結果つまらないことで悩んだり落ち込んだりしないでいい――社会にしたい! と改めて強く願います。

 雨ニモマケズ、風ニモマケズ、疲レニモメゲズ、ジージガンバルシカナイ。




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途上にあって惑う日々

2007年05月07日 | 生きる意味

 今日も一日のほとんどの時間を孫娘と過ごしました。

 ごく単純明快な爺バカですが、ほんとうに可愛いものです。

 そして、午後、二人目の孫娘が生まれました。

 しかし、風邪をひいているので――幸いほとんど治って連休明けの仕事には差し支えなさそうですが――病院に会いに行くことができませんでした。

 それでまだ実感はないのですが、いよいよ本格的にじーじの世界です。

 「人生の秋」という美しい言葉がありますが、還暦、二人目の孫と、まぎれもなく人生の秋にさしかかってきました。

 昨夜も青森の友人と電話しながら、天があと20年、そこそこ元気で研究を続けることのできるような健康と寿命を与えてくれるとして、何をしたいのか迷っているという話をしました。

 心には自分の内面を掘り下げたいという気持ちのベクトル――禅定を深めることや大般若経などの探究――と、これからの社会が向かうべき方向とその方法をつかみたいというベクトル――スウェーデンについて政治史や社会科学などにまで深入りするか――のアンビヴァレンツがあって、このまま時を過ごすとどちらも中途半端になりそうです。

 実りの秋にするには、どこかで胆を据える必要があるのだが……と、60にして惑うじーじの日常です。

 しかし、個人がいくら完結しようとしても、宇宙は進化の途上にあり続けて完結したりはしないので、そういう意味ではどんなことでも中途半端でだいじょうぶなんですけどね。




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大学の裏山の花

2007年05月06日 | 生きる意味




 いまここにいる自分と宇宙の137億年の歴史がまぎれもなくつながってひとつである、というコスモロジーを学んでから、折にふれ事にふれて、ただ存在するだけでたいへんなことなのだと実感することが多くなりました。

 すべて宇宙に存在するものはそうであり、例えばこの季節大学の裏山に咲いている小さな野の花がそこに存在し咲くためには宇宙137億年の歴史が必要だったわけです。

 写真は、一昨年、デジカメを買ってすぐの頃に撮ったものですが、撮りながらそういうことを感じていたことを思い出しました。

 木陰の潅木の目立たないごく小さな花なのですが、とても清楚、可憐でした(残念ながらまだ名前を知りません)。

 今年も今頃きっと咲いていることでしょう。

 連休明け、また学生たちにそういうコスモロジーを伝えていくのですが、彼らの心にこうしたささやかなものの中に深く深く美しいものがあることを感じ取ることのできる感性が開けるといいなと願っています。



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時間のやりくり中です

2007年05月03日 | 生きる意味

 ここのところ、孫のお相手で日々が暮れています。

 とても楽しいけど疲れる、とても疲れるけど楽しい、とどちらの語順で表現するか、その日によって違いますが、ともかくそういう感じです。

 子どものエネルギーはすばらしい! すごい! 負けそう……

 サングラハ誌の次号の原稿、雑誌連載のための下調べ、次の講座のための準備、今年中には読み終えたい『大般若経』などなど、かみさんとの交代時間、孫が一人遊びにはまってくれている時間、そして眠ってからの時間などをやりくりしながら仕事をしています。

 運動不足にならないよう、少しは歩くようにもしているので、若葉から青葉へと日に日に緑の色が変化していることが実感できます。

 「美しき(うるわしきと読む)五月」ですね。

 ……と、最近、記事がいかにもブログ風になっていて「公開授業」という中身がなかなか書けないまま、この調子は月末まで続きそうですが、時々はしっかりしたものも書きたいと思っています。



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