鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-伊良湖岬から神島まで-その8

2015-04-10 06:11:02 | Weblog
崋山はいよいよ伊良湖の浜から船で神島へ赴きます。崋山が伊良湖浜から船に乗るのは、初めてではなくこれが2回目。文化5年(1808年)16歳の時に、藩主三宅康友に従って初めて田原に来た際、伊勢神宮に参拝しようとしてここから船出したことがあったのですが、船中一人残らず船酔いをして嘔吐したために、渡ることはできませんでした。それ以来、崋山は、「武士として生まれた以上、いついかなる場合に船に乗って戦(いくさ)に出るかもしれないのに、あれぐらいの渡海で船酔いしてしまうとは口惜しいことだ」と思い続け、日頃そう思っているからこそ、今回、神島へ渡ってみようと試みたのだと日記に記しています。伊良湖明神へと参詣し、その間に神島へ渡るための船を手配させ、参詣を済ますと芭蕉塚に立ち寄ったあと、すぐに浜に出て船に乗り込んでいることを考えると、神島へ渡ることは最初から予定されていたものと思われる。渥美半島の陸地だけでなく、三河湾全体を海上から、あるいはまたいくつかの島々から眺め、さまざまな情報を集めて見たいと崋山は考えていたものと推測することができます。 . . . 本文を読む