鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-伊良湖岬から神島まで-その2

2015-04-02 06:25:44 | Weblog
『参海雑志』中の多数のスケッチの中でも私が興味関心を持つのは風景画と風俗画。特に風景画については、崋山はどこからこの絵を描いたのかに興味関心を持ちます。崋山の風景画は基本的に「真景図」(写真)であり、彼が見たそのままの風景を描いています。その風景は彼が興趣を感じたものであり、ぜひ描きとめておきたいと思ったもの。彼が興趣をもったかつてのある場所の風景が、彼のスケッチのおかげで蘇ってくるのです。実際に彼がたどったルートをじっくりと歩いてみることによって、そのスケッチを描いた時の彼の立ち位置(スケッチを描いたその場所)がわかってくる時ほど、ぞくぞくとすることはありません。そうか、この場所で彼はこの絵を描いたのか。その場所からの風景は180年余の間にこのように変化したのか(あるいは変化しなかったのか)。そしてその変化をもたらしたものは何だったのか。そういったことを探る恰好の材料となるのです。それはまるである風景を写した古写真と現在の風景とを対比するのに似ています。前回は、田原から伊良湖へ至るまでの間で、彼の風景画が描かれた場所を特定していきましたが、伊良湖・神島・佐久島においても同様のことを試みてみました。 . . . 本文を読む