鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-伊良湖岬から神島まで-その6

2015-04-06 05:57:57 | Weblog
『参海雑志』中の崋山のスケッチは、必ずしも時系列ではありません。訪問した場所に関する記述、日時の経過に従ってスケッチが描かれるというわけではないということです。これは多分、崋山があとで日記をまとめて書き、その時にスケッチを挿入したことと関係があるようです。スケッチはすでにそれぞれの場所で雁皮紙(がんぴし)か何かにメモのように描いておいて、あとでそれを参考に、和綴じ本に、文章とともに簡潔にあるいは精密に描いたものと思われます。時系列では必ずしもないという具体例は、「西山長池」「戸島池」の次に、「神島、船ヲアグル図」や「神島風俗」のスケッチがあることです。すでに触れたように、崋山一行は伊良湖の浜から帆船で神島に渡り、神島訪問の後、いったん伊良湖の浜に戻って、左手に西山長池や豊島池を眺めながら保美村を経由して畠村に至っているからです。必ずしも時系列にスケッチを挿入しているわけではないということは、『参海雑志』のスケッチの舞台(立ち位置や風景)を考証する際、留意しておくべきことです。 . . . 本文を読む