鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山『参海雑志』の旅-伊良湖岬から神島まで-その1

2015-04-01 05:35:24 | Weblog
『参海雑志』に描かれているスケッチ(素描画)は全部で60図。『四州真景』の場合は35図、『毛武游記』が21図(『渡辺崋山集 第2巻』の『毛武游記』中の「図」と記されたものを数えたもの)、『訪瓺録』は21図、『游相日記』が20図。ということを考えると、『参海雑志』のスケッチ数は他の日記に較べると圧倒的に多いと言うことができます。しかしその割には多数のスケッチを含む『参海雑志』についての検証も研究も、管見の限りでは、まだまだ不十分であるように思われます。現地調査を踏まえた『参海雑志』についてのまとまった考察がなされた本や論文を、私は今のところ一冊も目にしていません。『渡辺崋山 優しい旅びと』の著者である芳賀徹さんは、「これまで見てきた崋山のどの旅行記にも劣らずすばらしいのは『参海雑志』である。(中略)ここでも、こまやかな観察のなかに人間崋山が躍如としていて私たちを惹きこむ」と記されています。60図のスケッチは「近代デジタルライブラリー 参海雑志」で見ることができるようになりました。それに含まれる多数の風景画をもとに、『参海雑志』の世界とその魅力を解読していきたい。前回は田原から伊良湖まで。今回は伊良湖から神島。そして次回は神島から佐久島までの取材旅行をまとめてみようと思います。 . . . 本文を読む