鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

渡辺崋山の銚子への旅 その1

2012-01-26 06:11:32 | Weblog
文政8年(1825年)の夏に旅に出た崋山の、その目的地は銚子でした。銚子の大里庄次郎(桂麿)家かその別宅に、半月ほども滞在したことがそのことを示しています。崋山がなぜ銚子を目指したのかはよくわからない。前年の文政7年(1824年)に常陸の大津浜(水戸藩領)で、イギリス捕鯨船乗員11名の上陸事件(大津浜事件)が起こっていますが、これへの関心が崋山を太平洋へと向かわせたのかも知れない。江戸時代後期の江戸市民の間には「東国三社巡り」(香取・息栖・鹿島の三社参詣)とセットしての「銚子磯巡り」の旅が流行していましたが、それに合わせつつ、彼には江戸近くの房総の海(太平洋)を眺めてみたいという願望があったのではないだろうか。崋山が銚子の大里庄次郎(桂麿)と旧知の間柄であったかどうかはわからない。おそらく崋山の友人の小林蓮堂が、大里庄次郎と知り合いであり、道案内も兼ねるということにして、銚子への旅を崋山に誘ったのではないかと、今のところ私は推定しています。 . . . 本文を読む