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発想が振り切ってます!『殺人出産』by村田沙耶香

2020年06月19日 | 小説レビュー

『殺人出産』」by村田沙耶香

 

~今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変化する。表題作他三篇。「BOOK」データベースより

 

コンビニ人間』以来の村田沙耶香さんの作品です。『殺人出産』という、何ともおどろおどろしいタイトルですが、中身の描写や表現はソフトです。タイトルの「殺人出産」の他に、「トリプル」「清潔な結婚」「余命」という短編が収められています。しかし、村田さんの作品は二作目ですが、文章というか発想は、かなり振り切ってますよね!

コンビニ人間』も興味深く読ませてもらいましたが、今回の作品は、ある意味パロディというかブラックコメディというか・・・。まともに考えたらあり得ない世界観です。

一番長編の「殺人出産」が、ある意味では一番面白くなかったです。

その他の短編も同じく、突拍子もない発想なんですが、「将来ありえるかもね?」という怖さも感じます

京都市でも、こんな動きがありました。↓

性的少数者カップルを認証 パートナーシップ宣誓制度、京都市も導入へ」

最近のLGBTの認知度はもちろんのこと、事実婚や同性パートナーシップ証明制度なんて、100年前には考えられなかった倫理観ですし、そういうことを考えると「100年後には、こんな殺人出産の世界になってるかもね」と思ったりもします。

コンビニ人間』でも、「何が普通か?多数派の意見がいつも正しいのか?」ということを突き付けられました。

今回の作品も、現代では「普通ではない」という考え方が、180度回転して、とんでもない世界になっているというお話です。

『トリプル』では、カップル(男女)で付き合うことがおかしくて、トリプル(男男女、女女男、女女女、男男男)で恋愛関係を構築することが流行の最先端。

『余命』では、医学の進歩により普通に寿命を全うして自然死することが難しく、生きたいだけ生きられるという時代に、「どのように自死することが格好いいか?」なんてことが雑誌で特集されるような世の中。

なんていう面白い作品が収録されています。

あっという間に読めるので、興味のある方は是非!

★★★3つです。


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