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推理サスペンスの真骨頂『マリオネットの罠』by赤川次郎

2020年04月15日 | 小説レビュー

『マリオネットの罠』by赤川次郎

~私の事を、父は「ガラスの人形」だと呼んでいた。脆い、脆い、透き通ったガラスの人形だと。その通りかもしれない”…森の館に幽閉された美少女と、大都会の空白に起こる連続殺人事件の関係は?錯綜する人間の欲望と、息もつかせぬストーリー展開で、日本ミステリ史上に燦然と輝く赤川次郎の処女長篇。「BOOK」データベースより

 

赤川次郎って、小説『三毛猫ホームズ」シリーズや、『三姉妹探偵団』シリーズ、映画では『セーラー服と機関銃』、『探偵物語』の原作者として、本当に有名な巨匠ですよね。推理小説の旗手として知らない人はいないでしょうし、大人気作家です。

でも、僕は読んだことがなくて、初めて読むなら『マリオネットの罠』と決めていました。

何かのレビューやおススメ小説の中で見つけたタイトルでしたが、本当に面白かったです。

 ~真夜中に、降りやまない雨の国道を長距離トラックの運転手が一人眠気と戦いながら疾走していると、雨の中を一人歩く謎の美女を見つけ、助手席に招き入れます。つい魔がさしてしまった運転手は、脇道の林道にトラックを乗り入れて停車し、美女に襲い掛かりますが、返り討ちに遭いカミソリで頸動脈を掻き切られ血を吹き出しながら絶命します。謎の美女は全裸のまま助手席からトラックを降り、驟雨の中で全身に浴びた返り血を洗い流す・・・、という、とてつもない大作の予感漂う雰囲気に溢れていて、のっけから一気に物語に引き込まれました。

ストーリーの謎が謎を呼び、次々に登場する魅力あふれる人物たちに興味を惹かれ、一日で一気に読み切ってしまいました。

どんでん返しから更なる大どんでん返しを用意してあるあたりは、本当に天才的ですね!

少し強引な無理筋や、「そんなにうまいこといかんやろ?」と思う点もありますが、伏線回収も丁寧で、概ね納得できるストーリーでした。

巻末の解説に書いてありましたが、赤川次郎氏のエッセイ「86分の10の思い出(赤川氏自身の86冊の作品の中から特に思い出深い10作品を選ぶというもの)」の中で「まずは『マリオネットの罠』」と語っているように、筆者渾身の作品であることは間違いありません。

赤川次郎ファンの中でも人気の本作は、ファンのみならず、まだ読んだことのない方にもおススメできる一冊です。

★★★★4つです。


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