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お得な短編集『桜の森の満開の下・白痴 他12篇 』by坂口安吾

2020年04月03日 | 小説レビュー
『桜の森の満開の下・白痴 他12篇 』by坂口安吾


~桜の森の満開の下は怖ろしい。妖しいばかりに美しい残酷な女は掻き消えて花びらとなり、冷たい虚空がはりつめているばかり―。
女性とは何者か。肉体と魂。男と女。安吾にとってそれを問い続けることは自分を凝視することに他ならなかった。淫蕩、可憐、遊び、退屈、…。すべてはただ「悲しみ」へと収斂していく。「BOOK」データベースより


坂口安吾氏の小説で、「風博士」、「傲慢な眼」、「姦淫に寄す」、「不可解な失恋に就て」、「南風譜」、「白痴」、「女体」、「恋をしに行く」、「戦争と一人の女〔無削除版〕」、「続戦争と一人の女」、「桜の森の満開の下」、「青鬼の褌を洗う女」、「アンゴウ」、「夜長姫と耳男」という、14作品が収録されている短編集です。

全作品を通じて、色々な「女性」が登場しますが、どの女性にも抜群の個性があり、読んでいて飽きません。「アンゴウ」は、以前読んだ短編集『不連続殺人事件』に収録されていたので、改めて読み直しました。エンディングで大どんでん返し待っているのですが、何とも言えない物悲しさがこみ上げて来ます。

「白痴」と「桜の森の満開の下」は、とても有名な作品ですが、どちらもそれなりでした。

僕が個人的に面白かったと思う作品は、「戦争と一人の女〔無削除版〕」、「続戦争と一人の女」、そして、「夜長姫と耳男」ですね。

特に「夜長姫と耳男」は、グリム童話やアンデルセン童話にも置き換えられそうな物語で最後までドキドキしました。とても面白かったです。

それぞれが単行本として発刊されているほどの作品ですので、これが14編も収録されている、かなりお得な短編集です。

★★★☆3.5です。

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