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小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

深い淵を覗きこむような「さよなら渓谷」by吉田修一

2015年10月29日 | 小説レビュー
~緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。
実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。
そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。
そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。「BOOK」データベースより


「悪人」が、とっても良かったので、一発で吉田ファンになってしまった僕の、吉田作品第二弾に選んだのは「さよなら渓谷」です。

実は、現在「幻夜」を読んでいる途中なんです。
物語も中盤から後半へという中、月曜日に本を職場に置いたまま帰ってきてしまい、一昨日、昨日と二日間、直行直帰だったんで、「読みたいのに読めへん!」と、悶々としていたんでしす。

んで、自分の読書欲を抑えきれず、立ち寄ったBOOK・OFFにあった、「さよなら渓谷」と、「パレード」の二冊を迷わず買いました。

そして、一晩で読めそうな「さよなら渓谷」を一晩で読みきりました。

と、前置きが長くなりましたが、さて、この「さよなら渓谷」は真木よう子主演で映画化されているんですね。

とってもハマり役やと思いますが、こんなに凄まじい描写を映像でどこまで伝えられるのか?とも思いました。

さて、あらすじですが、真夏の山間の町で起こる殺人事件の裏側に、とんでもないストーリーが隠されているというミステリー小説です。

そこには、想像だに出来ないような、深く悲しく、そしてどうしようもなく逃れられない残酷な運命が描かれています。

題名にある「渓谷」のように、白い水飛沫を上げてゴウゴウと流れる清流の、ふとした岩陰にある深い深い淵を覗きこむような、その奥には得たいの知れない魔物が棲みついているような人間の深層心理に、とても考えさせられました。

★★★☆3.5です。
コメント
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