素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「関口宏の一番新しい中世史」は835年からの50年間

2022年08月20日 | 日記
 前回の「関口宏の一番新しい中世史」は、最澄と空海を中心にした朝廷と仏教界の関わりについてであった。

 「古代史」の放送は、飛鳥の時代に百済より伝わった仏教を巡り豪族が対立。導入を支持した蘇我氏が反対派の物部氏を滅ぼし、仏教を核に天皇中心の国家建設が始まり、奈良時代には中央集権国家が体制が整備されるようになる。仏教も国教化され、それを象徴する奈良の大仏が造られた。
大仏が完成した頃、遣唐使船で鑑真が来朝して戒律をもたらし、日本の仏教は本格的に整えられた。それに伴って僧の地位が向上し、政治家と癒着するようになっていく。その極めつけが道鏡であった。というところで「中世史」に引き継がれた。

 仏教勢力の強い奈良からはなれるというのも長岡京、平安京への遷都が行なわれた一因である。その仏教界の刷新の中心的役割を果たしたのが最澄と空海であったということが前回の放送で腑に落ちた。今日の放送は中央政界の熾烈な権力争いで、823年に嵯峨天皇が崩御した後、藤原北家が陰謀によってライバルを蹴落とし、天皇と親戚関係を築くことで、摂政、関白という実質的な権力を握る過程が中心だったが、複雑な家系図を見ているだけで頭痛がしてきた。とにかく約50年の間に、3人の天皇(9歳、9歳、54歳)が誕生するという目まぐるしさである。

 それよりも、熾烈な権力闘争の中で、災害や疫病の流行も863年から869年の6年間に頻発していたということの方が興味深かった。

 

 これらが悪霊のなせることと当時の人々は信じていたことから現在の祇園祭の源流となる祇園御霊会が始まった。
 

 この原始的な概念である「悪霊」の存在が綿々と日本人の意識の底流には流れ続けてきたのではと番組を見ながらふと思った。でなければキリスト教を名乗る旧統一教会ではあり得ない「先祖の霊」の浄化のために献金を強要するという行為がまかり通るはずがない。

 16日の夜、NHKが2時間も仰々しく生中継した五山の送り火も、先祖の霊を送るという素朴な信仰から始まったもので、長い年月工夫を凝らし継承されてきたことには感慨を覚えたが、それがインチキ宗教がはびこる温床にもなっていると複雑な思いに駆られた。その思いは今日の放送でさらに強くなった。
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