山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

トウゲシバ(峠芝)

2010-01-31 06:19:29 | Weblog
山道の湿った崖に生えているのをよく見かけます。

葉は一見、種子植物の様に見えますが、これもヒカゲノカズラ科のシダ植物です。

上部の葉腋に胞子嚢を持ち、5~6月に熟して胞子を出します。

葉の広さにより3種に分類され、ホソバトウゲシバ(2㍉以下)、ヒロハトウゲシバ(2~3㍉)

オニトウゲシバ(3~5㍉)に細分されますが、境界はあまり明確ではありません。


トウゲシバ<ヒカゲカズラ科 ヒカゲノカズラ属>



胞子嚢を付けた葉は、その他の葉に比べかなり短く小さい様です。

※標準レンズの逆付けでドアップしてみました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒメツルソバ(姫蔓蕎麦)

2010-01-29 23:28:07 | 双子葉離弁花

明治時代にロックガーデン用に輸入された園芸種で、玄関のアプローチや

花壇のグランドカバー用によく植えられています。

ヒマラヤ原産で頑強な上に繁殖力が旺盛なため、都市部の水路周辺で半野生化しているのが見られます。

夏の一時期を除いては、ほとんど一年中花を咲かせ、この冬の寒い時期にも途絶えることはありません。

蔓状の茎は横に伸びて、地面に接した部分から根を出すため、1株は2~3年で50㌢四方位に

広がるという凄まじい繁殖力を持っています。

画像のヒメツルソバは宇治市で水路に雨水を流すため付き出したヒューム管の出口に繁殖していたものです。


ヒメツルソバ<タデ科 イヌタデ属> ヒマラヤ原産 



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウグイスカグラ(鶯神楽)

2010-01-29 06:21:27 | 被子植物合弁花

1月9日の記事「ミヤマウグイスカグラ」で少し触れていたウグイスカグラです。

ほとんど変わった所はありませんが、違いはミヤマウグイスカグラが花冠や茎に繊毛が

密生しているのに対し、このウグイスカグラはほとんど無毛です。

6月頃に熟する果実は液果で、甘くて食べられます。


ウグイスカグラ<スイカズラ科 スイカズラ属>  落葉低木





コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カラタチバナ(唐橘)

2010-01-28 06:36:02 | 植物(木本)
冬に赤い実を付ける縁起物の「~両」シリーズの1つで、別名をヒャクリョウ(百両)ともいいます。

ヤブコウジと違って背丈が50~70センチと高く、葉の長さも8~10㎝とヤブコウジに比べ

かなり長いのが特徴です。

杉や檜などの暗い林の林床に生えているのを稀に見ますが、数のうえでは少ない方だと思います。

画像の個体は、一般的に見るものより葉の質が少し薄いようですが、その他の特徴からは

カラタチバナで間違いないと思います。

葉の形や質は、その地方や生息場所によって多少の変異があるのかも知れません。

暗い林に射し込んだ陽光が、ちょうど赤い実に当たっているのが印象的でした。


カラタチバナ<ヤブコウジ科 ヤブコウジ属>  落葉低木 別名ヒャクリョウ



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

身近なシダ類植物 (2)

2010-01-26 19:38:40 | 羊歯植物

先週に引き続き、里山のシダ類を集めてみました。

これまであまり興味がなかったので、身近な里山にどれほどの種類があるのか想像もできませんでしたが、

改めてその種類の多さに驚かされています。

ここに集めたものは、その中のほんの一部分にしか過ぎません。

一応、私が調べた範囲で種名を入れましたが、シダは似た種類が非常に多く自信は今一つ、

あまりアテにしないで下さい。

ここではあまり同定に拘らず、変化に富んだ葉の美しさだけを味わうことと致しましょう。



ジュウモンジシダ<オシダ科 イノデ属>


コバノカナワラビ<オシダ科 カナワラビ属>


イワガネソウ<ホウライシダ科 イワガネゼンマイ属>


オニヤブソテツ<オシダ科 ヤブソテツ属>


クリハラン<ウラボシ科 クリハラン属>


コモチシダ<シシガシラ科 コモチシダ属>



カタヒバ<イワヒバ科 イワヒバ属>

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツルコウジ(蔓柑子)

2010-01-25 22:37:33 | 植物(木本)
ちょっと目はヤブコウジに似ていますが、葉にはヤブコウジの様な艶は無く、全体に褐色の

軟毛が生えていて、長さは2~5㌢とヤブコウジの半分位です。

茎は名前が示す通り下部は蔓性で地面を這い、上部は斜上して高さ10~15㌢位の高さになります。

少し見に来るのが遅かったのか、この群落の中で見られた果実は5~6個程度でした。


ツルコウジ<ヤブコウジ科 ヤブコウジ属>




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カギカズラ(鉤葛)

2010-01-24 16:04:54 | 被子植物合弁花

暖地の山林の中に生えるアカネ科の木本です。

私の住んでいる京都府の南部では滅多に見られない珍しい木です。



対生する葉の両脇には、短枝の変化した曲がった鉤が付いていて、他の植物に絡み付きます。

撮影のため、倒れている木を起こそうとしましたが、この鉤が他の木をしっかり掴んでいたので、

簡単には起こすことができませんでした。


この鉤の様な部分は、乾燥したものが漢方薬として使われ、生薬名を「釣藤鉤(ちょうとうこう」と呼び、

鎮痛や、血圧を下げる等の薬効があります。


カギカズラ<アカネ科 カギカズラ属>   常緑蔓性









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ナンキンハゼの実

2010-01-23 20:31:04 | Weblog
木津川の河川敷で野生化しているナンキンハゼの実です。

年末まではムクドリやシジュウガラがこの実をよく食べに来ていましたが、

実の残りが少なくなった今は訪れる鳥の姿もみられません。

北風にさらされてどこか寂しそうな雰囲気が漂っていました。

この白い蝋質に包まれた種子には油成分が多く、昔はこの実から和蝋を採ったそうです。

画像に見えている白い部分は仮種皮で、この中に固いクリーム色の種皮をもつ種子が入っています。



ナンキンハゼ<トウダイグサ科 シラキ属>   中国原産 落葉高木






お口直しにお花を・・・

足元に咲いていたホトケノザです。お行儀よく御挨拶かな?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

身近なシダ類植物(1)

2010-01-20 23:11:08 | 羊歯植物

シダ植物は、多湿な気候の我国では古くから身近な観葉植物として庭園造りなどに用いられてきました。

特に桃山時代以降は、山水画などの禅文化の影響もあり、深山幽谷を模した静寂で落ち着いた

雰囲気の庭造りが主流となっていったようです。

そんな中で、枯山水の石や灯篭などの主役を引き立てる上で、無くてはならない存在として重宝されたのが

身近な里山に生える、様々なシダ植物や苔類であったようです。

現在では、園芸店などで洋種のシダなども含め、様々なシダ植物が売られていますが、ここでは

身近な里山でよく見られる野生種のシダを何種類か取り上げてみました。


ヤブソテツ<オシダ科 ヤブソテツ属>


キジノオシダ<キジノオシダ科 キジノオシダ属>


リョウメンシダ<オシダ科 カナワラビ属>


イノモトソウ<イノモトソウ科 イノモトソウ属>


オオバノイノモトソウ<イノモトソウ科 イノモトソウ属>


シシガシラ<シシガシラ科 ヒリュウシダ属>


イノデ<オシダ科 イノデ属>


ヒトツバ<ウラボシ科 ヒトツバ属>


?アオガネシダ<チャセンシダ科 チャセンシダ属>


ウラジロ<ウラジロ科 ウラジロ属>


コシダ<ウラジロ科 ウラジロ属>

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モチノキ(黐の木)

2010-01-19 21:51:38 | 植物(木本)


モチノキ科を代表する木です。元来、海岸に近い山地に生える木なので

内陸盆地の南山城で見られるのは、植栽されているものか、またはその実を

鳥が運んだものだと思います。

和名は、この木の樹皮から小鳥を捕える「鳥もち」を作るところからだそうです。

その作り方は、5~6月にこの木の樹皮を剥がし、秋まで水に漬けておいたものを

鉈の背などで叩くと粘りがでてチュウインガムのようになってくるので、これを流水で洗い、

更に叩くといったことを2~3回繰り返すと出来上がります。

尚、ほとんど野鳥は鳥獣保護法で捕獲や商取引が禁止されています。

ペットショップなどで売られているメジロなどの野鳥は、ペット用として

海外から輸入されたものです。



モチノキ<モチノキ科 モチノキ属> 常緑高木 雌雄異株







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タマミズキ(玉水木)

2010-01-18 06:24:08 | 植物(木本)

先日の記事で、一度UPしたタマミズキです。

樹高が15㍍を超える木の上部に付く実なので、木に付いた状態の実は

300㍉手持ちでの撮影ではこの程度の画像しかお見せできません。

この木はモチノキ科ですから、雌雄異株で、実の付いているこの株は

雌株ということになります。

樹形は主幹が真っ直ぐ伸びるのが特徴で、他の落葉樹の様に主幹が

枝分かれしないため、伸びるのが非常に早く、数年で10㍍以上にもなり、

高いものでは20㍍を超えるものもあります。

個々の実は直径3㍉ほどですが、ほとんど見る花のない1月の里山で、

この密集して付いた鮮やかな紅色の実は、際立った存在感を示しています。

※名前に「ミズキ」と付きますが、ミズキ科ではありません。念のため




タマミズキ<モチノキ科 モチノキ属> 落葉高木







コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ワビスケ(侘助)

2010-01-16 06:46:34 | 植物(木本)

ツバキとチャノキの雑種といわれていますが、正確なルーツについては不明です。

昔から茶花によく使われていて、和名は茶道の「侘び」と「数寄」が一緒になったとする説と

千宗易の弟子であった侘助の名前をとったとする説などがあります。

画像のものは白色系のシロワビスケ<白侘助>ですが、他に紅色でラッパ咲きのベニワビスケ<紅侘助>や

京都に多い極小輪で紅色に白絞のコチョウワビスケ<胡蝶侘助>淡紅色のウラクツバキ<有楽椿>などがあります。

※ウラクツバキは関西名で、関東での呼び名はタロウカジャ<太郎冠者>は、現存のワビスケ系椿の

ルーツとする説もあります。



ワビスケ<ツバキ科 ツバキ属>

この系統の椿は、花が全開しない猪口咲きで、雄蕊は極端に短く退化していて

花粉を作らず、したがって実もできません。

このシロワビスケは少し傷んでいますが、中々いいものが見つかりません





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カンツバキ(寒椿)

2010-01-14 22:52:46 | 植物(木本)
カンツバキは別名シシガシラとも呼ばれ、サザンカ(山茶花)の変種で、

園芸種と見るのが一般的ですが、異説もあります。

注目すべきは、若い枝や葉柄、葉の裏面にある毛が、サザンカに比べて少ない点です。

普通のサザンカに比べ遅咲きで12月~2月に開花し、八重咲きで花弁が湾曲しているので、

牡丹の花のミニチュア版といった雰囲気です。


カンツバキ<ツバキ科 ツバキ属>







中には、蕊が変形して花弁化しているものもあります。


こちらはヒオトメ(緋乙女)、1957年頃に関西で作られたカンツバキの品種
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植物の体温

2010-01-13 20:28:38 | Weblog
今朝は随分冷え込みました。

公園の花壇の植物達はどうしているのだろうか?

少し気になって見に行きました。

どの葉を見ても、真っ白に霜が付いて

まるで凍りついたようになっています。

しかし指で触ってみると、葉は相変わらず柔らかいままです。

冷凍の野菜のようにゴワゴワした感じは全くありません。

私達の体が暑かろうが寒かろうが大体の体温を37℃前後を保っているように

植物達にも、自分が生きていくのに必要な体温を維持する仕組みがあるようです。

基本的には体温を調節することはできませんが、冬になると多くの植物は葉に多糖体を

多く取り込み、凍結を防いでいます。

冬野菜の味に甘みが増してきて美味しくなるのもこのためでしょう。

また、別な方法で体温を自分で調整できる植物もあります。

ザゼンソウなどは発熱細胞を持っていて、体温を20℃位に維持しているのは

その典型的な例でしょう。

樹木の場合、今の時期に雪山などへ行くと、落葉樹の太い幹の根元で雪が融けているのが

観察できます。

これなどは、1~2ヶ月後の萌芽の時期に備えて根からの糖分やミネラルの転流を促進するため

幹の温度を雪が解けるほど高く保っているとものと思われます。

何れにせよ、植物であれ動物であれ、生物は外界の刺激によってそれに対応できる生活能力を

培っているのは間違いなさそうです。






コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニシキマンサク(錦満作)

2010-01-12 21:50:11 | 植物(木本)
年明け、山で一番早く咲き、春を告げる木、

”先ず咲く”というのが訛ってマンサクとなったとする説が有力です。

しかし、この花が咲き始める頃は、本格的な寒さへと向かう1月、

どうも春告げ花とするには少し無理があるような気がします。

むしろ年の初めに枝いっぱいに咲く黄色い花を、稲穂にみたてて

その年の”豊年満作”を祈って付けられた名前ではないでしょうか。


ニシキマンサク<マンサク科 マンサク属>  落葉小高木

マルバマンサクの仲間で、中心の赤いものをニシキマンサクといいます。

近似種には、全体が赤味を帯びるアカバナマンサクという品種もあります。





コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする