山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

オオヨシキリ(大葦切)

2012-05-30 19:37:01 | Weblog

冬から春にかけて、マガモやキンクロハジロなどのカモ類で賑わった木津の五領池です。

夏が苦手なカモ達は北に旅立ち、替わって初夏の使者、オオヨシキリがやってきました。

この時期に競合する鳥のいない今、池畔に広がる葦原はオオヨシキリの楽園です。

この鳥は分類学上、スズメ目・ウグイス科に属しています。

が、しかし、あの美しい声のウグイスとは似ても似つかぬ濁った騒がしい囀り・・・

「ギョギョギョ、ギョギチ、ギョギチ、ギョギョチ~」この囀りから「行々子」の俗名もあります。

聞き様によっては「仰々しい」とも聞こえるのはカメラを構える私の引け目でしょうか?

オオヨシキリ <スズメ目 ウグイス科> 夏鳥

草の中を移動して、昆虫やクモ類を食べます。♂はリングポストをパトロールしながら

縄張りを守りますが、夜明けから日没まで、ほとんど絶えることなく、濁った声で煩く囀り

続けます。和名のオオヨシキリは、葦の茎を裂いて虫を取る習性から。

オオヨシキリ















オオヨシキリ















オオヨシキリ















オオヨシキリ















オオヨシキリ

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ヒバリ(雲雀)

2012-05-23 23:00:44 | Weblog

ヒバリは、西日本で1年中見られる留鳥ですが、繁殖期に入った今は、雄鳥がさえずりながら

空高く飛んで、縄張り宣言をしている姿が目立ちます。

漢字で書く「雲雀」とは、恐らくこの姿からきているのでしょう。

しかし、それ以外は地上での行動が多く、地面を歩きながら、草の実や昆虫を探して食べ、

同じエリアで生活するスズメやホオジロとは違い、木の枝に止まることはありません。

草の根元などの地面に浅い穴を掘って巣を作り、巣に外敵が近付くと、親は偽傷を演じて

注意をそらす習性があります。

ヒバリ <スズメ目 ヒバリ科>ヒバリ















ヒバリ

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ナナホシテントウ(七星瓢虫)

2012-05-21 18:03:09 | 昆虫

日本産テントウムシの代表的な種類で、黄赤地に7個の黒い紋を付けたナナホシテントウです。

成虫の姿の愛らしさとは裏腹に、幼虫、成虫のいずれも肉食性で、大好物は植物にとっての

害虫、アブラムシ(アリマキ)です。幼虫の時期には共食いをすることもあります。

昆虫の世界では単為生殖は決して珍しくありませんが、テントウムシも春から夏にかけて生まれる

幼虫は全てが♀で、単為生殖による産卵が当分続けられます。

秋になると♂が生まれ、交尾による遺伝子交換(有精生殖)が行われます。

 

 美しい輝きを放つ成虫からは想像もできないグロテスクな姿の幼虫です。腹部背面には
刺状の突起があり、先端は3分しています。ナナホシテントウ(幼虫)















ナナホシテントウ(幼虫)















幼虫は2~3回脱皮して、このような蛹になります。既に成虫と同じ模様が出来上がっていますが、
この状態から約一週間で羽化して成虫になります。
ナナホシテントウ(蛹)















ナナホシテントウ(蛹)














美しい漆質の輝きを放つ成虫
ナナホシテントウ(成虫)













葉の上ではかなり派手で目立つ存在ですが、これは一種の「警戒色」で、自身が有毒であることを
鳥などの外敵にアピールする効果があります。実際に足の関節から有毒のアルカロイドを分泌しています。
ナナホシテントウ(成虫)







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ヘラオオバコ

2012-05-20 20:07:24 | 双子葉合弁花

ヘラオオバコはヨーロッパ原産の帰化植物です。渡来時期は江戸時代末期で、非意図的に

侵入してきた植物と考えられますが、帰化植物の中では比較的古参の植物と言えます。

在来種のオオバコと同じオオバコ科で、5月頃から蕾と共に花茎が伸び上がり、30㌢位から、長

いものでは80㌢程にもなります。円柱状の花序が下から順に咲き上がっていく姿は中々愛嬌が

あり、被写体としても面白く、私の好きな野草の一つです。

耐乾性に優れ、主に、国道の中央分離帯や、河川の堤防上などでの繁殖が目立ちます。

日本では外来生物法によって、「要注意外来種」に指定されていますが、ヨーロッパの

いくつかの国では、ワイルドハーブの一つとして、健康茶や自然薬として利用されています。

ヘラオオバコ <オオバコ科 オオバコ属> 多年草ヘラオオバコ















ヘラオオバコ

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カラスビシャク(烏柄杓)

2012-05-18 18:23:37 | 単子葉類

カラスビシャクは、ミズバショウやテンナンショウと同じ、サトイモ科の多年草です。

形はどちらかと言うと、テンナンショウの仲間に似た形をしていますが、テンナンショウ属の

マムシグサやウラシマソウと比べるとずっと小さく、サトイモ科のこの手の植物としては最小です。

主に人里の畑地周辺や河原の草地に生えていますが、地中に球茎を持っているため、畑の雑草

としては駆除の難しい植物です。しかし、この球茎を乾燥させたものは「半夏(はんげ)」とよばれ、

吐き気や去痰鎮咳に効く生薬として使われています。

(乾燥させていないものは蓚酸カルシウムが多く、刺激が強いので食べられません。)

また「半夏 」はカラスビシャクの別名でもあり、カラスビシャクの生える7月2日頃は

暦の上で「半夏生(はんげしょう)」という雑節になっています。

以前は畑地の周辺でかなり繁殖していましたが、最近では探さなければ見つからないほど

数が減っているようで、画像は近くの木津川の河川敷の草地で見付けたものです。

 カラスビシャク <サトイモ科 ハンゲ属>  別名ハンゲ 多年草カラスビシャク















カラスビシャク

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アマサギ(猩々鷺)

2012-05-10 18:04:04 | Weblog

シラサギの仲間ですが、梅雨入り前になるとやってくるのがこのアマサギ。

夏羽はオレンジ色の飾り羽が生えているので、遠目でもすぐ他のシラサギと区別できます。

他のシラサギ類に比べると乾いた草地を好み、魚よりもバッタなどの昆虫やカエルを主に

食べます。

羽の色は雌雄同色、他のサギ類とコロニーを作ることが多く、樹上に皿型の巣を作ります。

和名は雨の多い時期に飛来するので「雨鷺」だと思っていましたが、そうではなくて漢字では

頭部の雰囲気から「猩々鷺」と書くようです。

しかし「花暦」ならぬ「鳥暦」とでも言うのでしょうか?この鳥の姿を見ると「梅雨入りも近いな~」

と思ってしまうのは私だけでしょうか。

アマサギ <コウノトリ目 サギ科>  夏鳥
アマサギ















アマサギ















アマサギ

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フクロウの幼鳥

2012-05-07 22:08:04 | Weblog

フクロウは大木のある社寺林や里山に生息する夜行性の猛禽類です。

2~3年前に城陽市内の氏神社である水度神社の森での棲息が確認されて以来、毎年5月頃に

雛の巣立ちが見られ、観察や撮影に多くの人が集まっています。

しかし、それに伴い、神社駐車場や周辺路上への迷惑駐車や、参道に数人がたむろして

三脚を広げることによって、参拝する人の通行を妨げるなどの問題も発生しています。

また、貴重な野鳥の繁殖地を保護する上では、子育てという微妙な時期に大勢の人が

長時間に渡って観察や撮影のために巣穴のある木の下に集まることは、親鳥に与える

ストレスも多く、雛に充分な給餌ができない恐れもあります。

観察や撮影は繁殖成功と周囲の迷惑を考え、お互い節度をもって行いたいものです。

画像は手持ち撮影で撮っています

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絶景!谷間に咲く藤の花

2012-05-06 19:21:11 | 被子植物離弁花

新緑の里山で咲く代表的な花です。厳密に言うと、総状花序が90㌢位まで長く伸びるフジと

30㌢程の短いヤマフジが見られますが、フジの蔓が右巻きであるのに対して、ヤマフジは

左巻きであることで容易に見分けることができます。

山では水の流れるルートである谷川に沿いや、池の周りなど比較的、水的条件の恵まれた

場所での繁殖が見られます。

花の色は俗に「藤色」と呼ばれますが、青でも紫でもない微妙な色合いは、新緑との補色の

兼ね合いもあって、中々上手く表現できません。「写真は真ならず」とはよく言ったものです。

フジ















フジ















フジ

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カワヂシャ&オオカワヂシャ

2012-05-04 17:24:13 | 双子葉合弁花

カワヂシャは5~6月にかけて本州中部以西の水田や水辺でみられるゴマノハグサ科

クワガタソウ属の越年草です。

主な特徴として、花は白色で淡紫色の筋のある小さな花を多数付け、葉には明確な鋸歯が

あり、花柄は直線的に斜上します。

近年、全国的に生息数が減少を続けていることから、環境省のレッドブック(RDB)で

準絶滅危惧種(NT)の指定を受けています。

カワヂシャ(川萵苣) ゴマノハグサ科クワガタソウ属  越年草カワヂシャ














葉には明確な鋸歯があり、これは外来種のオオカワヂシャと見分ける最大のポイントで
花柄が直線的に斜上するのも本種の特徴カワヂシャ
















 オオカワヂシャ(大川萵苣) 多年草 特定外来生物

 一見、上記のカワヂシャによく似ていますが、鋸歯は細かく全縁に見えます。花はカワヂシャと
比較すると一回り大きく、鮮やかな青紫色、花柄は伸びるに従って、少し湾曲します。

在来種の準絶滅危惧種カワヂシャと交雑したホナガカワヂシャと呼ばれる雑種は
実験によって種を作る能力の有ることが確認され、自然界でも遺伝子撹乱を生じさせる
恐れがあることから、外来生物法によって、オオカワジシャは特定外来生物に指定され、栽培や移動が
禁止されています。

オオカワヂシャ

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ヤマトシリアゲムシ

2012-05-02 21:38:38 | 昆虫

ヤマトシリアゲムシは草むらでよく見かける昆虫で、双翅目のガガンボ(大蚊)によく似た姿を

していますが、全く別の系列の昆虫で、シリアゲムシ目シリアゲムシ科に分類されています。

この仲間は世界に9科600種ほどいますが、昆虫ではこの数は少ないほうで、進化に取り

残された原始的な昆虫と考えられています。

画像のヤマトシリアゲムシは日本国内で普通に見られる代表的なものです。

和名は雄の腹端がサソリの様に上方に反りかえった姿によるものですが、先端のハサミ型の

器官は毒針ではなく、雄の交尾器で、攻撃性はありません。

飛ぶことは苦手で、バラバラな翅の動きで飛べるのはせいぜい1㍍程度です。

肉食性で、死んだ昆虫の体液を吸いますが、生きた昆虫を捕食することはありません。

 雄は求愛行動で雌に昆虫の死骸を与え、雌がそれを食べている間に交尾を達成するという

昆虫としては珍しい給餌行動をとることが知られています。

ヤマトシリアゲムシ















ヤマトシリアゲムシ










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ホオジロ

2012-05-01 18:49:36 | Weblog

繁殖期を迎えて鳥たちの動きが活発です。

城陽の特産品イチジクの枝に♂のホオジロが止まりました。

本来、目立たない色の鳥ですが、木津川堤防の若草の緑がこの鳥の姿を

ほどよく浮かび上がらせています。

久しぶりに気に入ったパターンで撮ることができました。

ホオジロ <スズメ目 ホオジロ科>  留鳥または漂鳥

ホオジロ(♂)

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