山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ウツギ(空木)

2012-06-09 17:40:51 | 植物(木本)

ウツギの花は西日本では既に終盤を迎えています。

 この花の別名が「卯の花」であるところから、平均的な開花時期は5月ということでしょう。

さて、空木(うつぎ)の名前ですが、これは茎の中心が空洞になっている形状に由来しています。

単に「空木(うつぎ」と言えばユキノシタ科の本種を指しますが、同じユキノシタ科・ウツギ属の仲間

にはヒメウツギ、マルバウツギ、バイカウツギなどがあります。

しかし、タニウツギ、ツクバネウツギなどは、名前はウツギでもスイカズラ科に分類される植物です。

見分け方としては、花弁が合着せず、1枚1枚離れている(離弁花)ならユキノシタ科、

合着して一個の花冠を形成している(合弁花)ならスイカズラ科ということになります。

ウツギ <ユキノシタ科 ウツギ属> 落葉低木

ウツギ















ウツギ















ウツギ



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アカメガシワ(赤芽槲)の新葉

2012-04-26 17:33:19 | 植物(木本)

アカメガシワは人里に近い平地に多く自生する落葉高木です。

農道脇などにも普通に生え、この時期に芽吹く新葉は鮮やかな赤色で私達の目を

楽しませてくれます。

しかし、この新葉の赤い色は、葉自体が赤い色をしているのではなく、実際は表面に多数ある

赤い色のした鱗片の色です。

試しにコインなどで軽くこすってみると鱗片が剥がれて、地の緑色が出てきます。

この鱗片は葉の生長と共に自然に脱落し、花の咲く6月頃には赤い新葉は完全に姿を消します。

アカメガシワ <トウダイグサ科 アカメガシワ属>

雌雄異株で、6月に淡い黄色の花を咲かせます。雄花は多数の雄蕊を多数球形に付けますが

雌花は雌蕊のみであまり目立ちません。

和名の「赤芽槲」はこの時期の新葉の赤い色に由来し、槲は食物を載せる広く大きな葉を

意味し、一部の地域では古くは神事に使われていたようです。

アカメガシワ















アカメガシワ

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カリンの花

2012-04-24 22:29:40 | 植物(木本)

都会に住む人にとっては少し馴染の薄い花かもしれません。

「ボケ(木瓜)の花に似ているな」と感じた方もいらっしゃると思いますが、分類の上では

バラ科ボケ属なので、一応、同じ仲間と考られます。

10月頃に熟する果実は固くて酸味が強く、生食はできませんが、ホワイトリカーに氷砂糖と

一緒に漬けこんで花梨酒にすると風邪を引いた時の喉痛を和らげるのに効果があります。

因みにボケの実を漬けこんで作る木瓜酒にもこれと同じ効果があるそうです。

カリン <バラ科 ボケ属>  落葉小高木~高木カリン

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シキミ(樒)

2012-04-15 18:35:40 | 植物(木本)

シキミは暖地の山地に自生する常緑の小高木で、西日本では葬儀などの仏事に使われる

ことで、一般に馴染の深い植物です。

サカキに似た全縁の葉からツバキ科の植物と間違えそうですが、以前はモクレン科に分類され

現在ではシキミ科に分類されることが多いようです。

3月中旬~4月下旬に葉腋に淡黄色で直径3㌢ほどの花を咲かせますが、生花店でこの花を

付けたものがほとんど扱われていないので一般にはあまり知られていません。

花には線香のような香りがありますが、葉、茎、花、根など全木が有毒で、特に9~10月に8~

12個の袋果が星形に並ぶ果実は猛毒のアニサチンを含む種子を出します。

この果実の乾燥したものは、近縁種のトウシキミの果実を乾燥して作られる中華料理の香辛料

「八角」に極めてよく似ていますが、山地に自生しているものはまず有毒の日本原産種と考えて

間違いないと思います。

シキミ <モクレン科またはシキミ科 シキミ属> 常緑小高木

別名でハナノキとも呼ばれますが、カエデ科に同名の植物があるため殆んど使われません。

名前の由来は「四季美」とする説や、種子が有毒であることから「悪しき実」が変化したもの

とする説などがあります。

シキミ

 

 

 

 

 






シキミ















シキミ

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キブシ(木五倍子)

2012-04-02 23:12:09 | 植物(木本)

この時期になると低山の谷筋などでよく見られる光景です。

これはキブシと呼ばれる落葉低木の花ですが、何となく春のリズムを感じさせる

微笑ましい姿です。

キブシは漢字では「木五倍子」で、五倍子とはウルシ科のヌルデの葉にできる虫瘤に含まれる

タンニンを利用した染料のことです。

秋に実るこのキブシの果実は五倍子の代用品として、黒の染料を作るのに使われることから

「木五倍子」という名が付けられています。

しかし、花が咲くのがこの時期で、実が熟すのが秋といいますから、かなりのんびりとした

種作りを行う木ですね。

雌雄異株で、雌株に雌花、雄株に雄花が付きますが、蕾の状態ではまだ判別できません。

キブシ <キブシ科 キブシ属> 落葉低木キブシ















キブシ


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ハクモクレン(白木蓮)

2012-04-01 18:26:20 | 植物(木本)

ハクモクレンは中国原産の落葉高木で、3~4月にかけて白い大きな花を枝一杯に咲かせます。

主に公園樹や庭木などに用いられますが、100%植栽されたもので、同じモクレン科のコブシや

タムシバの様に、山野に自生するものはありません。

こういった白い大きな花の撮影は順光では白飛びもしやすく、立体感を出すのに苦労しますが、

少し日が西に傾いた午後3時~4時頃に逆光気味に撮ると上手く撮れるようです。

ハクモクレン















ハクモクレン













今回、撮影に使ったレンズはキヤノン純正のEF50mm F1.8Ⅱという単焦点レンズ。

標準価格は12,600円で、実勢価格は9000円前後だったと思います。

今時、メーカー純正のレンズが新品で1万円を切るというのは驚きという他ありません。

外観はプラスチック製で、お世辞にも高級感があるとはいえませんが、秘めた性能は高く、

特に合焦点の鮮鋭さは見事で、大口径ならではのボケ味にもクセがありません。EF50mm F1.8 Ⅱ

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シナマンサク&マンサク

2012-03-14 18:04:13 | 植物(木本)

木津川に近い荒洲地区の農地の傍らでマンサクの花が最盛期を迎えていました。

咲き始めは多分、1月末頃だと思いますが、確認していません。

この時期でも前年の葉を残しているところを見るとどうやらシナマンサクのようです。

シナマンサクは中国中部の原産で、渡来時期はおそらく明治の初期に庭木として移入

されたものだと思います。

花を見た限りでは、日本産のマンサクと大きな違いは無さそうですが、一応、この前年の

枯れ葉を付けているのが見分けるポイントで、これは多くの落葉広葉樹が葉を落とすために

枝と葉の間に作る離層がないためです。

日本産のマンサクでも、アカバナマンサクなどはこのような葉を残しています。

シナマンサクと日本産マンサクのもう一つの違いは花の香り。

日本産のマンサクでは”生臭い”と言えるような香りがありますが、シナマンサクは

”甘い香り”と言えそうな比較的、良い香りを放っています。 

シナマンサク
















シナマンサク














 こちらは井出町野外活動センターの山中で撮ったものですが、日本産のマンサク
  だと思います前年の葉は1枚も残っていません。マンサク

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ソシンロウバイ(素心蝋梅)

2012-01-15 18:18:39 | 植物(木本)

農地の畔に植えられたロウバイの花が咲きはじめました。

新しい年が明け、正月を過ぎたころから咲き始めるこの花は、その年に咲く花の中では

最も早く咲く花だと思います。

原産地は中国で、日本には江戸時代初期に渡来し、庭木などの観賞用として

人気の高い花木です。

花は漢名の蝋梅が示すように、蝋細工のような透明感と質感があります。

多数の花被片が螺旋状に付きますが、花弁と萼の区別はかなり不明確です。

 蝋梅と呼ばれるものには、このソシンロウバイの他に、中心部が暗紫色の

狭義の「ロウバイ」がありますが、清楚さや高貴な香りで園芸家に人気の高いのは

このソシンロウバイや、その改良種で、濃い黄色のマンゲツロウバイ等です。

また、あまり馴染のない品種では、明治中期に渡来した北米原産のアメリカロウバイは

赤褐色の細長い花弁で、かなり花のイメージが異なります。 

ソシンロウバイ















ソシンロウバイ

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ナンテン(南天)

2011-12-29 23:01:44 | 植物(木本)

木津川樹林の竹藪ではこの時期、真っ赤な実をつけたナンテンが目立ちます。

これはおそらく、竹藪を住処にするヒヨドリが種を運んだことによるものだと思います。

ナンテンは中国原産のメギ科の常緑低木で、和名の南天は漢名の「南天燭」を略した

もので、古い時代に薬用として移入されたものです。

本来は栽培種なのですが、現在ではかなり野生化していて、特に山口県萩市川上には

大規模な自生地があって、国の天然記念物の指定を受けているそうです。

葉は生薬名を「南天葉」と呼び、健胃、解熱、、鎮咳などの薬効があります。

音が「難を転じる」に通じることから、縁起のよい木として、表鬼門によく植えられたり、

またお正月の縁起物として、「難を転じて福となす」ということで福寿草との寄せ植えが

売られているのもよく目にします。


ナンテン

 

 

 

 

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サネカズラ(実葛)~美男と呼ばれる訳は?

2011-12-26 23:27:41 | 植物(木本)

今年はもう見られないだろうなと思っていましたが分からんものですねぇ~

近くの水主神社裏の薮でサネカズラの実が残っているのを見つけました。

毎年、今頃は既に終わっているんですがねぇ

冬将軍様がゆっくりお越しになったせいでしょうか?

ところで、このサネカズラは別名をビナンカズラと呼んでいますが、「美男」とは

この実のことを指すのではないようです。

この時期になると常緑樹であるにも拘わらず、葉の一部が美しく紅葉すること

が「美男」と呼ばれる所以とか、他にも常緑樹で紅葉するものにはクスノキや

テイカカズラなどがあります。

サネカズラ <モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性サネカズラ

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アキグミ(秋茱萸)

2011-10-26 19:42:03 | 植物(木本)

アキグミは晩秋に赤く熟する果実が美しいことから、現在では主に庭木として観賞用に
栽培されています。
この果実は食用として美味とは言えませんが、ほんのり甘く一応食べることができます。

昔は秋になると山で遊ぶ子供達がこの実を採ってよく食べていたものですが、食べた後に
舌に不快な渋みが残るので、もし今の子供達が1粒食べたなら途端にぺっと吐き出して
その後は手を出さないのでは?

それでも6月頃に熟するナワシログミに比べると渋さや味はまだましな方で、グミの仲間
としては比較的、生食に適している?部類です。

実用的な利用法としてはホワイトリカーに漬けこんで果実酒とすると風邪で喉を痛めた
時の症状の緩和に効果があるそうです。

また酒類の苦手な人は蜂蜜に漬けこむと良く、同じ効果があるそうで、この場合、利用
するのは成分の溶け込んだ蜂蜜の方です。

枝や葉を煎じたものは昔から民間薬として使われ、枝には強心作用があり、葉は喘息の
症状を抑える効果があると言われています。
アキグミ <グミ科 グミ属> 落葉低木アキグミ
















アキグミ

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コブシ(辛夷)の実

2011-10-16 22:56:34 | 植物(木本)

モクレン科の樹木であるコブシは3月~4月に各地の里山で芳香のある純白の花
を沢山咲かせて人々の目を引きます。

しかし、花の時期以外は、ほとんど注目されることもない樹木なので、その時期に姿を
見せない葉や果実は一般に馴染が薄いのではないでしょうか。

画像は10月になって熟した状態の果実です。
この果実は一見、虫瘤のように見えていますが、袋果が集まった集合果で、瘤が多く
この姿が拳を握った形に似ていることから「コブシ」の名が生まれたとする説もあります。

但し、このような集合果はコブシに限ったものではなく、モクレンやタムシバなどの
他のモクレン科の果実にも共通する特徴です。
 コブシの実
















コブシの実













この袋果は裂けると赤色の種子が白い糸で吊り下がります。
コブシの実3

 

 

 

 

 






コブシの実

 

 

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ネジキ(捻木)

2011-06-22 22:29:45 | 植物(木本)

ネジキは日当たりの良い山地に多いツツジ科の落葉低木です。
葉などには、これといった特徴のない低木ですが、和名は「捩木」で、幹が捻じれながら
伸びていくことがこの名前の由来です。

6月にアセビに似た壺型の花を咲かせますが、花冠の長さはアセビが6ミリ程度なのに比べ
8~10ミリと長く、花序はアセビの円錐花序に対して、直線状に並ぶ総状花序を形成します。

アセビと同様、有毒植物ですが、材は安芸の宮島でしゃもじを作るのに使われていたそうです。

尚、別名はカシオシミと呼ばれていますが、”貸し惜しみ”なのでしょうか?  

ネジキ <ツツジ科 ネジキ属>  落葉低木

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますネジキ

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テイカカズラ(定家葛)

2011-06-14 19:41:29 | 植物(木本)

テイカカズラはキョウチクトウ科の常緑蔓性植物で、山林内では茎を長く伸ばし
岩や樹木に大量に絡んでいる姿をよく目にします。

これだけ絡むと、絡まれた樹木は相当なダメージを受けるだろうなぁ~と心配になりますが
藤蔓などのように、巻きつくのではなく、付着根を使って 登るタイプなので、樹木へのダメージは
それほど強くはないようです。

平地で見られるものは、下段の画像のようなタイプが多いのですが、こちらは樹木に這い上って
いるのはあまり見たことがありません。
近畿に多いケテイカカズラではないかと思いますが、よくわかりません。

テイカカズラ <キョウチクトウ科 テイカカズラ属> 常緑つる性

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますテイカカズラ

 

 

 

 

  

 

 

テイカカズラ

 

 

 

   

 

 

 

 

テイカカズラ

 

 ←こちらは木津川河川敷周辺で
    撮ったものですが、花の形や葉
  の形が少し違います。
  平地の石垣などで見られるものは
  こちらが多い気がしますが
  ケテイカカズラかもしれません
 

 

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サカキ(榊)の花

2011-06-11 19:54:20 | 植物(木本)

神事に用いられる榊ですが、6~7月にかけて画像のような
上品で清楚な白い花を咲かせます。

神社の杜などに植栽されたものを除くと、国内で自生するものの分布は、関東地方南部以西
から四国、九州、沖縄など暖地が中心で、東南アジアや中国の東南部にも、先祖を祀る神事に
ツバキ科の植物を用いる風習があるところから、稲作と共に南方から日本に入ってきた
史前帰化植物とする説もあります。


サカキの少ない地方では、代用品として、ヒサカキやソヨゴの枝が使われることから、区別
する意味で、サカキを別名でマサカキ(真榊)と呼んでいるところもあるようです。

 サカキ <ツバキ科 サカキ属>  常緑高木

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますサカキの花

 

 

 

 

 

 

 



サカキの花

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