山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

ニワトコ(庭常)の花

2010-03-30 23:00:36 | 植物(木本)
山を歩くと白い泡のようなニワトコの花が目に付くようになってきました。

この様な形を”円錐形花序”と言いますが、花冠の大きさが4㍉程の小さな花が多数集まってできています。

今回はこの個々の小さな花の様子を少し詳しく観察してみることにしましょう。

ニワトコ<スイカズラ科 ニワトコ属>


花冠の筒部は短く、先端は5深裂して反りかえっています。

雄蕊は5個あり、花のサイズからするとやや大きめの葯は、離れて眺めると花弁の様に見えます。

雌蕊は極端に短く、先端が濃紅色で少し目立ちます。萼片は5個ありますが、画像では写っていません。

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アブラチャン(油瀝青)

2010-03-29 22:28:17 | 植物(木本)
アブラチャンは低山の谷筋など、少し湿り気のある場所でよく見かけます。

雌雄異株で、画像は雄花、下段の画像を見て頂きますと、多数(9個)の雄蕊と、

中心に退化した雌蕊が1個あることが分かると思います。

雌花には葯の無い退化した雄蕊(仮雄蕊という)が9個と、球形をした雌蕊が1個あります。

よく似た花を咲かせるものにダンコウバイがありますが、本種に見られるような花枝は無く、

枝に直接花が付いていることで見分けることができます。

チャン(瀝青)とはタールやピッチのことで、名の由来は、

この木の種子や樹皮から灯火用の油を採ったことによります。



アブラチャン<クスノキ科 クロモジ属>


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タチツボスミレ

2010-03-28 12:22:12 | 双子葉離弁花

この時期、山歩きで一番目に付くスミレと言えば、やはりこのタチツボスミレです。

日本全国の2000㍍以下の山岳地帯から海岸近くまで広く分布するす多年草で、韓国の済州島などを除けば

全くと言っていいほど、国外での繁殖が見られない日本の固有種です。

葉は典型的なハート型で、花は普通、淡紫色をしていますが、ピンク色に近いものなどの変異が見られます。

近似種として、コタチツボスミレやナガバノタチツボスミレなど、葉の形が多少違うものもあるようですが、

タチツボスミレも開花期と結実期では、葉の形に変化が見られるところから、見分けることは少し困難です。


タチツボスミレ<スミレ科 スミレ属>


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ヒサカキ(姫榊)

2010-03-25 22:26:10 | 植物(木本)
今の時期、山ではヒサカキの花も咲いています。

艶のある緑の葉の下に隠れるように、びっしりと付いた下向きの花は、

クローズアップして見ると、中々洒落た可愛い花ですが、独特の臭気があり、

仏花として使う場合は花の開いたものは仏壇など屋内に飾るには不向きです。

この木は照葉樹林なら、ほとんど全国の何処でも見られるほど、色んな環境に対する

順応力が高く、乾燥した場所では低木状態を保ちながら繁殖を続けますが、

少し湿り気のある樹林に生えているものでは、同じ植物とは思えないほど背が高くなり、

5~8㍍に達する個体も見られます。

普通、この花には雄花と雌花があり、雌花には1本の雌蕊と、時として退化した雄蕊が数本

付いていることがあります。

雄花には、10~12本の雄蕊と退化した雌蕊が1本ありますが、驚くべき事には、山火事など危機的な

状況が起こった時には雌蕊を発達させて、雄花⇒雌花と性転換することがあります。

図鑑では”雌雄異株”と記されていることが多いようですが、雌雄どちらか一方の花だけを

付けている株はそれほど多くはなく、両性花となっているものもあるようです。


※下の画像のものは全て雄花です。


ヒサカキ<ツバキ科 ヒサカキ属>




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コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)

2010-03-23 22:09:23 | 植物(木本)
ミツバツツジにはいくつかの種類があります。

中でも一番早く咲くことから、イチバンツツジとも呼ばれる

このコバノミツバツツジは、その咲きっぷりが何とも見事です。

ミツバツツジとよく似ていますが、大きな違いは雄蕊の数、

ミツバツツジの雄蕊が5本であるのに対して、コバノミツバツツジでは

長短合わせて10本の雄蕊があります。

同じく10本の雄蕊を持つものでは、サイゴクミツバツツジやトサノミツバツツジ

がありますが、時期的に咲くのはもう少し先になりそうです。


コバノミツバツツジ<ツツジ科 ツツジ属>






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ワサビ(山葵)

2010-03-22 23:06:49 | 双子葉離弁花

これは木津川市加茂町の当尾の里付近の山野で自生が見られるワサビの一種です。

昔はこの辺りの農家で栽培されていたようですが、現在流通している、肥大化した根の部分

を摺りおろして使うワサビではなく、茎や葉や花を湯がいて食べる「葉ワサビ」です。

ワサビは一般に清流にしか生えず、栽培が難しいとされていますが、このワサビはやや湿った半日陰の

土壌に育つため、栽培されていた当時は畑に植えられていたそうです。

流通の変化によって、安曇野や静岡の根ワサビが主流となった現在では、市場から姿を消しましたが、

それ迄、京都や奈良でワサビと言えば、この葉ワサビであったそうです。

現在では岩船寺前の茶店で山菜として売られているぐらいで、この付近でも栽培している農家は

ほとんど無いとのことでした。

品種としては、土でも育つユリワサビなどの系統ではないかと思います。





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ショウジョウバカマ(猩々袴)

2010-03-21 20:07:11 | 単子葉類

21日は夜中から午前中にかけて、強い風が吹き荒れていました。

しかし午前9時頃には、少し風も弱まってきたので、木津川市の岩船寺界隈の

渓流へ出かけました。

足元がじめじめと湿っていて、水たまりも多いこの渓流を歩くには、登山靴よりも

膝まであるゴム長靴が便利です。

画像のショウジョウバカマは、川の中に足を漬けてしか撮れない状況でしたが

膝まであるゴム長靴のお陰で、撮影には全く問題ありませんでした。

このショウジョウバカマですが、ユリ科の多年草で、今の季節に、この様な渓流沿いや、

やや湿り気の多い林下でよく見かけ、色鮮やかな花は、この時期にはよく目立ちます。

根生葉は沢山あり、ときに古い葉が地面に着いた所から新しい苗ができるという

珍しい特性をもっています。

この葉は6月頃に咲く、同じユリ科のノギランに極めて似ているので、この花が終わってしまうと

ほとんど見分けがつきません。


ショウジョウバカマ<ユリ科 ショウジョウバカマ属>












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ヒメウズ(姫烏頭)

2010-03-19 22:47:43 | 双子葉離弁花

職場近くの宇治川の土手に咲くヒメウズの花が盛りを迎えていました。

白い花弁に見えているのは萼片で長さ約5㍉ほど、花弁も5枚で、2.5ミリと目立たない小さな花です。

草丈は10㎝程で、うつむき加減の白い小さな花は清楚で可愛いものですが、少し泣かせ、

毎年撮ってはいますが、上手く撮れたという記憶はありません。

生育する土壌は礫を含む通気性の良い場所で、木の下などの半日陰の水分条件に恵まれた所が多いようです。

花後はキンポウゲ科特有の種子を稔らせますが、夏草が伸びてくる頃には、その陰で見えなくなってしまいます。

和名のウズは鳥帽(トリカブト)のことで、小さなトリカブトということです。


ヒメウズ<キンポウゲ科 ヒメウズ属>






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シロバナホトケノザ(白花仏の座)

2010-03-17 20:08:04 | 双子葉合弁花

シロバナホトケノザは2年ほど前に木津川の堤防下で一度見たことがあります。

今回、この花に出会ったのも木津川堤防の下にある茶畑の傍で、前回の発見場所から50㍍ほどの所でした。

これはホトケノザの白花変種(albiflorum)で、花に赤い色素が欠落しているだけでなく、葉や茎の色も

薄い緑色をしています。

全国各地に見られ、「シロバナホトケノザ」という正式な和名や学名もありますが、除草剤などの影響による

変異とも言われています。

しかし、木津川堤防は植生保護のため、除草剤は使われておらず、改修が行われた際にも表土を保存し

工事が終わった後には再び保存した表土を張り付けているほどです。

除草剤原因説が証明されるには、実際に除草剤を使って、使わなかったグループとの発生率の違いを

見る必要がありそうですが、今までそういった実験が行われたという話は聞いたことがありません。


シロバナホトケノザ<シソ科 オドリコソウ属>






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マルバマンサク(丸葉満作)

2010-03-16 06:39:56 | 植物(木本)
滋賀県の琵琶湖西岸北部など、本州日本海側でよく見られるマンサクの一品種です。

個々の花は小さいのですが、暗紫色の萼片の間から出る花弁は明るい黄色で、

枝にいっぱい花を咲かせている姿は遠くからでもよく目立ちます。

他のマンサク科の花と同様、リボン形の花弁は変化に富んでいて、手足に見立てて眺めると

まるで人が踊っているような楽しい雰囲気があります。

基本種のマンサクの葉の先端がやや三角状に尖るのに対し、

マルバマンサク系は半円形になることからこの名があります。

マルバマンサクの変種で花弁の基部が赤味を帯びるものは、ニシキマンサク、

花全体が赤味を帯びるものはアカバナマンサクと呼び、本種とは区別しています。


マルバマンサク<マンサク科 マンサク属>






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ザゼンソウ(座禅草)

2010-03-14 19:25:48 | 単子葉類

珍しくスッキリ晴れた日曜日の今日、朝早くから滋賀県今津町弘川にあるザゼンソウの自生地へ行ってみました。

ここのザゼンソウは国内自生地の南限と言われていますが、その規模の大きさはかなりのものです。

発見されたのは1981年(昭和56年)で、地元の中学生が理科学習の野外観察時に見つけたもので、

それ以来、現在まで大切に保護されて数を増やしてきたそうです。

しかし農村都市とはいえ、少しづつ都市化が進む高島市の住宅地のすぐ傍ですから、当時はかなりの

驚きであったに違いありません。

1986年(昭和61年)には環境庁の自然環境保全基礎調査で「特定植物群落」に指定され、

現在は滋賀県環境保護条例によって、「緑化環境保全地域」となっています。

花の名は、葉がのびないうちから咲く花序を、法衣を被った僧侶が座禅を組んだ姿に見立てたもので、

外側の暗紫色の部分を仏像の光背に見立てて、仏炎苞と呼び、その中心部の棒状のものが花序です。

葉は花後に40㌢位まで伸びますが、切断すると強い悪臭を放つそうです。

またこの花は、外気温が0℃以下でも花穂の温度を20℃前後に保つために、花穂に発熱細胞と温度センサー

という、特異な機能を備えていることが知られています。



ザゼンソウ<サトイモ科 ザゼンソウ属> 別名ダルマソウ








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サンシュユ(山茱萸)の花

2010-03-13 19:11:42 | 植物(木本)
サンシュユは別名を春黄金(ハルコガネ)とも呼びますが、この木が明るい黄色の散形花序をつけると

季節もいよいよ春本番に向かいます。

この線香花火が弾けたような形の花序の基部には褐色の総苞弁が4枚あり、

その中に小さな花が約30個ほど、密に咲いています。

小さな花には、花弁と雄蕊がそれぞれ4個と1個の雌蕊があります。

この木はヤマボウシやハナミズキなどと同じミズキ科に属していますが、似ても似つかぬこの花も

下段の写真でよく見て頂くと、個々の花がヤマボウシに形がそっくりなのが分かると思います。


サンシュユ<ミズキ科 サンシュユ属>




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ヤマモモ(山桃)の雄花序

2010-03-12 06:54:59 | 植物(木本)
ヤマモモは5~6月に熟する果実を、少年時代の山遊びの中でよく採って食べた想い出があります。

表面に細かい粒状突起のあるイチゴに似た果実は直径2㌢ほどの暗紅色で、熟期には木の下に沢山の

実が落ち、多少アルコール発酵した香りが辺りに漂います。

ほどよい酸味とあっさりとした甘みの果実は生で食べても美味しいし、ジャムやリキュールに加工しても楽しめます。

ところで、この木が気になり出すのは果実のできる5月頃からで、今の時期に咲く、美しくもない花については

誰もが、関心を向けません。

正直言いまして、そう言う私も今までヤマモモにこんな花が咲くとは知りませんでした。

この木は雌雄異株で、画像のものは雄株に付く雄花序です。



ヤマモモ<ヤマモモ科 ヤマモモ属>



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ジンチョウゲ(沈丁花)と初孫

2010-03-10 22:08:37 | 植物(木本)
菜種梅雨と言うのでしょうか、このところ本当によく雨が降ります。

画像は今朝起き抜けに撮った我が家の庭に咲く沈丁花の花ですが、昨年も撮った記憶があったので

調べてみると、やはり雨の日に写していました。

晴れた日にはほとんど気付いていないにもかかわらず、雨が降っていると何故か思い出すこの花・・・

本当に雨の似合う花です。

沈丁花という名は、沈香や丁子のような良い香りがすることからきているそうです。

本当にそんなにいい香りがするのでしょうか?

残念ながら今日はのため確認できませんでした。の日にもう一度嗅いでみましょう



ところで私事ですが、先週の金曜日に初孫が誕生しました。

早速病院へ会いに行ってきました

初孫は可愛いって同世代の友人からよく聞かされていましたが、やっぱり可愛いですねぇ~

嫁曰く 「目がお父さん(私)に似ていて、まるでお父さんを抱っこしてるみたい」

当然、ちょっとした社交辞礼?ですが、そう言われてみて悪い気のするはずもありません。

思わず「本当やね~」と孫の顔を見ながらデレデレになってしまう私・・・(何たるじじバカか)

そこへ女房の強烈なツッ込みが・・・「それって気持ち悪くない?」






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クチキムシの一種

2010-03-09 06:59:17 | 昆虫
雑木林の倒木を裏返して甲虫類を探してみました。

出てきたのがこの甲虫です。どうやらクチキムシの仲間らしいのですが、種名までは分かりません。

10頭位が集団になって朽木の窪みで越冬していました。体長は約8㍉ほどで

艶のない黒色、深く刻まれた縦筋が特徴です。クロイロクチキムシかその近似種といったところでしょうか?

今年は少し甲虫類を研究してみようと思っていますが、どうも種類が多くて同定には苦労しそうです。



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