山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

アオキ(青木)

2009-12-28 06:56:48 | 植物(木本)
私はこれまで、漠然とした意味で「自然学」という言葉を使ってきました。

これはアカデミックな「自然科学」が人間の英知の結晶とも言える科学をもって

自然の様々な事象を解析していくのに対して、自然との触れ合いを通して、そこから何かを

学んでいくことを意味しています。


そういった意味では、絵画や音楽、小説、詩なども「自然学」と言えます。

それは私達が、子供の頃に多くの遊びの中で色々な事をを学んでいったように

その延長線上で、多くの「楽しみ」に満たされたものです。


一般的に♪の世界では、音を楽しむという意味から「音楽」という言葉が使われていて、

決して「音学」や「音楽学」という言葉は使われません。

もし、自然を楽しむことが「自然学」なら、

私的には「自然学」=「自然楽」であっても良いような気がします。


ところで、この「自然学」にも学歴のようなものがあって、

その最初学歴はといえば、物心のついた頃に、蟻やカタツムリなどに興味を覚え、

そしてもう少し大きくなると、蝶やクワガタムシ、ハンミョウなどに好奇心を広げていった頃の経験です。

山で出会った人達と、この頃の経験を語りあうと、思いがけないほど話が弾むことがあります。

どうも同じ最初学歴を持つ者同士は、多くの点で分かり合えるような気がします。




さて、今年も今日を含め後二日、正月準備に何かと気忙しい二日間となりそうですが、

無理をして、怪我などなさいませんように、元気で良い年を迎えましょう。


今日の画像は、ミズキ科のアオキです。

茎が緑色をしていることからこの名前が付けられています。


山地の林下に普通に生えますが、赤い実が美しいことから庭木にもよく使われ、

葉の汁には解熱効果があることで知られています。


雌雄異株で、3~5月に茎の先の円錐花序に紫褐色の小さな花を沢山つけます。

雄花には雄蕊が4個あり、雌蕊は退化しています。雌花は雌蕊が1個のみで雄蕊はありません。

尚、この赤い実は4月位まで長く楽しめます。


アオキ<ミズキ科 アオキ属>











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マサキ(柾)の果

2009-12-27 19:29:45 | 被子植物離弁花

今日は朝から押入れの整理に取りかかりました。

ここ2~3年は全く手を付けていないので、作業はかなりの長時間・・・

なにか「お宝」は出てこないものかと期待もありましたが、

元々買ったこともないお宝が我が家の押入れから出てくるはずもありません。

そうこうしている内に、一冊の文庫本が目に止まりました。

前に2~3度読んだことのある、宮本輝の「錦繍」、惹かれますね~

正月にもう一度読見返してみようと思っています。

これもお宝ですかねぇ?





今日の画像は先日のツルウメモドキと同じ、ニシキギ科のマサキです。

橙赤色に見えているのは、仮種皮に包まれた種です。




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シマカンギク(島寒菊)

2009-12-24 23:11:58 | 双子葉離弁花

慌ただしい人の流れに紛れながら、時が足早に通り過ぎていくようです。

不景気が続く今日この頃ですが、歳の瀬ともなれば、やはり気忙しいものがあります。

気が付けば、今日はクリスマス、今年もあと6日となりました。

去年の夏に息子が結婚して家を出たので、我が家は2回目の静かなお正月が迎えられそうです。

その息子にも、2月には男の子が誕生することになりました。

私にとっては初孫・・・人生の歯車がまた大きく動き出そうとしています。

ところで、先日、芦生原生林に行ったときに立ち寄った「はーばりすとくらぶ・美山」のオーナー

浅野目誠和氏から頂いたJ・A・P(japan adventure project)の会報 「VOICE」の記事に

アメリカ教育学会の文面として紹介されていたものに、こんなものがありました。

「厳しくも美しい自然に祝福された事のある者は美術、詩、音楽、小説、デザイン等々に

幼少の頃の感性が呼び戻されて良い作品が生まれる」・・・というものです。

最近、0才からの英語教育などに代表される、行き過ぎた早期教育によって起こる

幼児の発達障害が批判され始めましたが、この一文は、私達に幼少期の自然との触れ合いが、

人間としての豊かな感性を育む上で、如何に大切なものであるかを教えています。


さて、前置きが長くなりましたが、本日の画像は、シマカンギクです。

山地や山麓の日当たりの良い所に生える多年草ですが、名前が示すように、寒くなってからも

咲いているのが良く見られます。

画像のものは、井手町野外活動センターに向かう府道の法面に咲いていたもので、

おそらく以前に法面緑化の一環として植栽されたものだと思います。

したがって、本来の意味から言うと自生ではありません。

関西の自生地では、六甲山系の再度山が有名です。



シマカンギク<キク科 キク属> 別名アブラギク

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マンリョウ(萬両)

2009-12-23 07:28:46 | 植物(木本)
木津川河川敷の雑木林で見つけたマンリョウです。

観賞用に町で売られているものに比べると、実の付き方が少し貧弱でした。

センリョウ(千両)より多いからマンリョウ(萬両)なんでしょうが

このマンリョウは何枚もの葉に隠れるように遠慮がちに赤い実を覗かせていました。

センリョウに負けちゃっていますね。

でも自生のマンリョウはこんなものかも知れません。

このマンリョウの様に赤い実を付ける植物は、日本では古くから縁起の良いものとされ、

正月の飾りとして、センリョウ、ヤブコウジ、アリドオシ、ナンテンなどと共に珍重されてきました。

西欧ではクリスマスの飾りものに赤い実を付ける、クリスマスホーリーが使われていますが、

たとえ国や民族、宗教、思想等が違っていても、人間の基本的な感性というものには、

どこか共通するものがあるような気がします。


マンリョウ<ヤブコウジ科 ヤブコウジ属>



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コセンダングサ(小栴檀草)の痩果

2009-12-22 06:26:37 | Weblog
放棄耕作地などによく生える、コセンダングサの痩果です。

木津川周辺では、アメリカセンダングサに取って替わり、センダングサの中では最も多い品種、

こうして眺めるとまんざらでもない景色ですが、この痩果が大量に衣服に付いたりすると

取り除くのにひと苦労します。対策としては、ナイロン製の雨合羽などを着るのが有効です。





痩果の先端には、逆棘のある芒があり、これが衣服や動物の毛に絡まると中々取れにくい
構造になっています。


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ツルウメモドキ(蔓梅擬)~再生に向かって

2009-12-20 22:24:40 | 被子植物離弁花

私の職場で先月に行われた健康診断の結果報告書が来ました。

この一年、お酒もほとんど飲んでないので、去年注意された中性脂肪の数値は

さぞかし下がっているだろうと期待していましたが、結果はNGでした。

どうやら原因はお酒以外にもあるようで、一日1600kcal位を目安に

今までの食生活を見直す必要がありそうです。


さて今日の画像ですが、20号台風の増水で大きな痛手を被った木津川のツルウメモドキです。

大きな群生地こそ流失してしまいましたが、再生への足がかりは残せたようです。

黄色い皮が三つに弾けて、赤色の美しい仮種皮に包まれた種子が見えています。

この種子達が地面に落ちて、この様に実を結ぶまでは、最低でも3年位はかかるそうです。



ツルウメモドキ<ニシキギ科 ツルウメモドキ属>





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葉牡丹

2009-12-20 17:31:21 | Weblog
「今、畑に居るし葉牡丹とりに来ぃひんか」・・今朝、仕事での知り合いYさんからの電話がありました。

Yさんには、ここ2~3年、年末になると毎年、正月の玄関を飾る葉牡丹を分けて頂いてます。

朝食も済んだところなので早速長靴を履いて、Yさんの農場へと向かいました。

農場は、私の住んでいる城陽からは車で10分、新木津川大橋を渡った所の道路下にあります。

到着してみると、どれも大輪の見事なものばかり、「どれでも好きなん持って行って」と言われるものの

どの一つをとってみても捨て難く、目移りがして仕方がありません。






結局、選んだのはこの下の2種類、去年と同じですが、孔雀が羽根を広げたような雰囲気が素敵で、

女房殿がすっかり気にいってました。直径は60㌢を超える大きなものです。





鉢に植え、玄関前に置いてみました。どうですか?門松より立派でしょう



一緒にもらってきた菊の花も生けてみました。去年から私のブログを見て頂いている方には見覚えのある

私の名作(迷作とも)「流木花器」、生け花の素養がある人には笑われそうですが

私のバランス感覚で生けてみました。その左は女房殿の俳画、こちらも我流で楽しんでいます。

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可愛いものがいっぱい~初冬の里山

2009-12-19 20:30:33 | Weblog
紅葉も終わり、すっかり寂しくなった里山をのんびり歩いてみました。

散歩に訪れる人もめっきり少なくなったようです。

途中で出会ったのは、犬と3~5歳位の女の子を連れたお父さんだけ・・・

私好みの静かな山歩きができます。

花もほとんど見られませんでしたが、木の実や草の実の優しい姿が見られました。




ツルリンドウの実もまだ、こんなに綺麗な艶を見せています。


カンアオイの仲間でしょうか? 綺麗な色の葉です


小さな可愛いツタの葉です。真っ赤に紅葉していました。


カマツカです。美しい光沢のある赤いを付けています。


優雅な雰囲気の紫色はムラサキシキブです。葉をすっかり落としていました。


ヤブコウジの仲間、先日木津川河川敷の竹藪で見たヤブコウジと、葉の感じが少し違います。
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カワラヨモギ(河原蓬)

2009-12-16 22:27:59 | 双子葉離弁花

木津川の川岸から100㍍ほどは広い帯状の砂礫地となっています。

この砂礫に覆われた部分は河川敷の中では最も川の水に近い部分ですが、

砂礫は保水力が極めて低いため、植物が生育するには良い環境とは言えません。

しかし、ほとんどの植物が育たない反面、その環境に耐えられる植物にとっては

競合する植物のない好環境でもあるのです。

この砂礫部分を好んで生える植物の代表とも言えるのが、このカワラヨモギです。

このカワラヨモギの茎には2種類があり、9~10月に花を付ける茎の葉は、細かく糸状に裂けていますが、

画像のように、花を付けない茎は、白い絹毛の密生した葉でロゼットを形成します。

尚、園芸用に販売されているアルテミシア(アサギリソウ)は、これの近縁種と思われます。



カワラヨモギ<キク科 ヨモギ属>









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ヤマガキ(山柿)

2009-12-15 06:21:12 | 植物(木本)
「渋柿の 渋こそ良けれ そのままに 変わりて変わる 味の甘さよ」

これは私が父から教わった一句です。誰が詠んだ歌かは知りませんが、今でも柿の実が成っているのを見ると

父の思い出と共にこの句が蘇ってきます。



この歌にも詠まれているように、柿には渋が付き物。これはタンニンが多く含まれているためで

現在、果物として売られている柿の多くは、焼酎やドライアイスなど色んな方法で「渋抜き」が行われています。

渋柿はこの渋抜きをしない限り、どんなに熟しても渋さが消えることはありません。


但し、乾燥させて干し柿にした場合は、タンニンが可溶性から不溶性に変化するため、渋さを感じなくなります。

この場合の甘さは砂糖の1.5倍とも言われます。


富有柿や次郎柿などの甘柿は、日本で淘汰された生食用の柿ですが、糖分そのものは

渋柿に比べて少ないため、干し柿には不向きです。



ヤマガキは日本の山野に生える、野生の原種柿の総称で、

種類によって、雌雄異木のものと雌雄同株のものがあり、現在栽培される色んな柿のルーツとも言われます。

地方によって、変種も多く固有の名前が付けられているものもあります。

一般に柿の品種を作るための台木として使われることが多いようです。



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サネカズラ(実葛)の冬葉

2009-12-14 22:19:55 | 植物(木本)
サネカズラは今秋2度目のUpになりますが、今回は葉の紅葉についてのお話です。

一般に紅葉する木といえば、カエデやイチョウなどの落葉樹がほとんどですが、常緑樹の中にも

美しい紅葉を見せる植物があります。

サネカズラもその一つで、落葉しませんが冬になると葉や茎の一部が濃い色の赤に

染まってきます。

これは植物の寒冷に対する防御反応で、葉や茎などの凍結しやすい部分に養分や色素を多く

取り込むことによって濃度を上げ、凍結から身を守っています。

サネカズラの葉には、赤の色素であるアントシアニンが特に多いため、赤く染めたようになります。

同じように、常緑樹で紅葉するものには、他にクスノキなどがあります。


サネカズラ<モクレン科 サネカズラ属> 常緑蔓性 別名 ビナンカズラ










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フユイチゴ(冬苺)

2009-12-13 17:24:58 | 被子植物離弁花


今朝は、雨は降っていないものの、もう一つはっきりしない曇り空、

遠出は避け、近くの井手町野外活動センターに出かけました。

山道ではフユイチゴの赤い実が目立ち始めています。

茎は蔓状に地を這うように伸びていますが、バラ科の小低木で木苺の仲間なので

一応背は低くても樹木ということになります。

今年は暖かい日が多かったためか、実の付き方が良く、なかなか豊作のようです。

このフユイチゴは、山で取れる木イチゴの仲間では比較的味の良いほうで、

そのままでも食べることもできますが、イチゴジャムやリキュールなどを作って楽しむこともできます。


冬苺ジャムの作り方・・・(参考)

萼と毛を丁寧に取り除いた後、軽く水で洗って同量の砂糖とレモン果汁を加えて

弱火で煮込みながらゆっくりかき回し、馴染んできた所で一旦強火にして粘りが増したら完成です。

特に癖はありませんが、市販のプレーンヨーグルトなどに混ぜて食べることをお勧めします。

保存料を使いませんので、保存は冷蔵庫で



フユイチゴ<バラ科 キイチゴ属>





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ヤブツバキ(藪椿)

2009-12-12 17:37:11 | 植物(木本)

木津川河川敷の雑木林ではヤブツバキが開花をはじめました。

同じ場所での開花は、昨年に比べて7~10日ほど早いようです。

このヤブツバキやサザンカを含む椿科の花は、昆虫の少ない冬に咲く花の代表的なもので、

花粉の媒介は、主にメジロやエナガなどの小鳥の吸密によって行われています。

私の最初学歴によって得られた知識によりますと、この花の基部にはかなりの量の

甘い蜜がたまっていて、花冠を基部から引き抜いて吸うことにより密を味わうことができます。

私がここで言う「最初学歴」とは、学校の授業などのアカデミックな学歴のことではなく、

少年時代の遊びの中で、子供たちが自然に物事を学んでいく課程のことを指します。

糸の両端に小石を付けてオニヤンマを捕えたり、イタチの巣がある土蔵の穴の前に環にした紐をたらし

出てくるのを待って釣りあげたり、カナヘビやイモリを捕えて飼育したり、蛙に火薬を突っ込んで爆発させたり

神社の縁の下に木の枝や葉を敷き詰めて、仲間だけの秘密基地を作ったり等々

多くの子供たちが親からお小遣いなど貰えなかった、第2次世界大戦後の貧しい時代でしたが、

自然の中での楽しい遊びには全く事欠きませんでした。

時代も変わり、子供達の遊びもニンテンドーやソニーと大きく変化しましたが

地球的規模での環境の悪化が危惧される今、

次代を担う子供達が遊びを通じて自然を学ぶ事の大切さは今一度見直されるべきではないでしょうか。



ヤブツバキ<ツバキ科 ツバキ属>




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ベニバナトキワマンサク(紅花常盤万作)

2009-12-11 06:29:54 | 植物(木本)
今日は朝から本格的なでした。

今年はどこでも、短い周期でお天気の変わることが多いようです。

それでも、ここ数週間、少なくとも関西での週末の天気は

意外と安定していて、今週も土曜日から日曜日にかけては

天候の回復が見込めそうです。

これは週末を山歩きでリセットしている私には有り難いことで、

あさっての日曜日には、また近くの山をのんびり歩こうと思っています。

さて、今日の画像はベニバナトキワマンサク・・・

先日、誰かのブログで見たような気がしますが、私は見るのが初めてです。

この間の日曜日、国見山の帰りにJR津田駅の近くの住宅街の植垣に咲いたのを撮りました。

家に帰って調べてみると、原産地は中国湖南省で、トキワマンサクの栽培変種だそうです。

普通のマンサクは、葉が黄葉の後、落葉しますが、トキワマンサクの仲間は常緑で

落葉はしません。


ベニバナトキワマンサク<マンサク科 マンサク属>  栽培種




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コウヤボウキ(高野箒)の綿毛

2009-12-09 21:39:13 | 双子葉離弁花

プレゼントの箱につけたリボンのように、可愛くカールした花弁を持つコウヤボウキ、

先月の初めに見た時、花は既に終わっていました

(今年はすっかり、この花のことは忘れていました )

これはコウヤボウキの花後の姿です。

優しい色の綿毛を身にまといながら、静かに旅立ちの時を待っているのでしょうか?

花は終わるも、その姿なおも可憐なり・・・


コウヤボウキ<キク科 コウヤボウキ属>





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