カロライナツユクサは2012年に和名が与えられた比較的新しい帰化植物です。
2000年頃から西日本の各地で生息が確認されていたようですが、当時は未登録種であるうえ
沖縄や奄美諸島に生息するシマツユクサに極めて似ているところから、間違って同定される
ケースが多かったようです。
原産地は一応アメリカですが、ルーツはインド亜大陸で、穀物の輸入に伴ってアメリカに侵入したと
考えられています。
和名は本種の学名が、サウスカロライナで発見されcommelina caroliniana walterであること
に因んでいます。
3枚目に在来種のツユクサとの比較写真をUPしましたが、左がカロライナツユクサで、普通の
ツユクサに比べてかなり花が小さいのがお判り頂けると思います。
カロライナツユクサ <ツユクサ科 ツユクサ属> 帰化植物1年草
ジュズダマは水辺に生える熱帯アジア原産でイネ科の多年草です。
プレステやDSで遊んでいる現代っ子には、およそ縁のない話ですが、 ジュズダマの名は固くて艶のある
つぼ型の苞鞘(ほうしょう)と呼ばれる部分に糸を通し、数珠を作る昔の子供達の遊びに由来しています。
外観は漢方薬のヨクイニンや健康茶に使用される栽培種のハトムギによく似ていますが、
ハトムギに比べると苞鞘はずっと固く、別種であるという説が有力です。
1枚目の写真で、苞鞘から垂れ下がっているのは花粉を媒介する雄性小穂で、2枚目の写真の白い
ひも状のものが苞鞘内部にある雌性小穂から出た花柱です。
この2枚目の写真を見ていただくと、雄性小穂がまだ熟していないことがお判りいただけるかと思います。
成熟の順では、先ず雌性小穂の花柱で受粉が行われ、その後に雄性小穂が熟して花粉を拡散させます。
これは熟する時期を少しずらすことによって、自家受粉を抑制し遺伝子交換をスムーズにする
遺伝と進化の不思議かつ巧妙な仕組みと言えるでしょう。
ジュズダマ <イネ科 ジュズダマ属> 多年草
秋の七草のひとつ、クズの花が咲き始めた。
木津川河川敷の植物群落の中で、最も大きな地位を占めてきたのはこの植物だろう。
しかし近年、その地位は徐々に侵入してきた特定外来種アレチウリに脅かされているようだ。
和名の「葛」は大和(奈良)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。
クズの根は太く、多量の澱粉を含んでいて葛粉が採れ、食用にするほか、薬用にも使われる。
風邪で喉を傷めた時に葛湯を飲むと、痛みが緩和されるという。
但し、薬効が期待できるのは、あくまで吉野葛などの本葛でのこと。
一般的に葛粉(またはカタクリ粉)と称して市場に出回っているものの大半は、ジャガイモなどの
澱粉が主原料となっている。
ジャガイモの澱粉には体の芯を冷やす働きがあるようだ。。
クズ <マメ科 クズ属> 蔓性多年草
別に何らかの意図があってUPした訳じゃありませんが、暦を見ると次の日曜日はもう彼岸の入り・・・
近くの木津川に注ぐ小川の畔にヒガンバナが咲き始めました。
当然のように「だから”ヒガンバナ”なんだろう」って言われそうですが
何事が起ころうが秋の彼岸が近づくと、まるで人の営みを知るかの如く咲き始める花・・・
土葬が行われていた古い時代には、亡くなった人が様々の苦しみから解き放たれ
辿りつく彼の岸の理想世界(彼岸)に咲く天上の花として
墓地に植えられることも多かったようです。
別名で死人花(しびとばな)とか、地獄花(じごくばな)とか呼ばれて忌み嫌われることがあるのも
そんな風習と、この花の神秘的な生態によるものでしょうか?
この花が敬遠されてきたことの、もう一つの理由として、リコリンやガランタミンなどの有毒な
植物アルカロイドを多量に含む有毒植物であることがあげられます。
もちろん、これらを食した場合、下痢や腹痛などの中毒を引き起こすことは避けられませんが
有毒成分の内、ガランタミンはアルツハイマー病の治療に効果が認められています。
さて、この花に関するタブーも時代と共に、払拭されつつあるようです。
日本全国に広く自生するヒガンバナは、園芸上の呼び名はリコリス・ラジアーターですが
今では花本来の美しさが見直され、改良された園芸種では、ピンクやオレンジ色を
したもの、花弁が複雑に縮れたものなど、様々の色や形の園芸種が作出され市販されています。
リコリスの名は、自生種を含めたヒガンバナ科ヒガンバナ属の総称として使われています。
ヒガンバナ <ヒガンバナ科 ヒガンバナ属> 多年草
一般的に人里に近く、農地などの水的条件が恵まれた場所での生育が目立っています。
利用目的は判りませんが、古い時代に中国から渡来して栽培され始めたものと考えられます。
8月下旬頃、鱗茎から花茎を出し、秋の彼岸の頃(9月中旬~下旬)に赤色の花を輪状に咲かせます。
花後は線形の葉を広げます。
城陽市内を流れる木津川の支流、古川の水辺に群生していたツユクサの一種です。
在来種のツユクサと比べ、葉の幅が広く、地面を覆いつくす様な雰囲気で茂っていました。
その割に花の数は在来のツユクサに比べると少なく、小型で色が薄いのが特徴です。
和名ではマルバツユクサ、英語名ではBenghal dayflower(ベンガルツユクサ)とよばれ
アジア、アフリカの熱帯~亜熱帯に広く分布する帰化植物です。
侵入のルートや時期は不明ですが、2000年代に入ると、西日本各地での繁殖が目立ち始めました。
在来種のツユクサと同じ1年草ですが、地上の花冠で受粉して種子を作る他、地下茎から走出根を出して
閉鎖花を付け、自家受粉でも種子を効率よく作り続けることができます。
一旦、定着してしまうとそこで強力な繁殖力を見せ、今後同じ環境に生える在来近似種の生態に影響を
及ぼす可能性があります。
マルバツユクサ<ツユクサ科 ツユクサ属> 帰化植物 1年草