山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

フサザクラ (房桜または総桜)

2011-03-31 21:41:32 | 植物(木本)

名は桜でも桜に非ず

谷の源頭や風化花崗岩質の崩壊地で見られる落葉高木です。
名前だけを聞くとサクラの仲間のようですが、バラ科でもサクラ属でもありません。

この樹木は一科一属で、フサザクラ科/フサザクラ属/フサザクラとなります。

この花には、花弁や萼が無く、画像の赤く新芽のように見えているのは、多数の雄蕊で、
葯の長さは6~7㍉ほど、雌蕊も多数あり、柱頭はゴルフのクラブのように膨らみます。

谷や崩壊地など、不安定な場所を好んで生えますが、土石流などで埋もれると、そこで
地上茎を伸ばして再生する強さを備えています。

果実はニレの果実に似た扁平な翼状で、種子は1個、黄褐色に熟すと風に飛ばされます。

フサザクラ <フサザクラ科 フサザクラ属> 落葉高木

  ↓ 画像はクリックで大きくなりますフサザクラ

 

 

 

 

 

 








 

 

 

 

 








 

 

 

 

 

 




 

 

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ヒバリ (雲雀)

2011-03-29 20:14:29 | Weblog

農道を歩いていると、空高く囀るヒバリの賑やかな鳴き声が聞かれるようになりました。
ピーチクパーチクと囀っているのは♂で、縄張りを宣言しているそうです。

縄張り宣言をする時以外は地上での活動が多く、特に丈の低い草が生えている
開けた場所を好み、地面を歩きながら、昆虫や草の実を食べています。

地上での動きは神出鬼没で、広い畑地のある所では普通に見られる鳥ですが、
色が地味なことと、危険を感じるとほとんど動かないので、姿を目にする機会は
意外と少ない鳥です。

ヒバリと混同される鳥にタヒバリというのがいますが、此方はセキレイ科の冬鳥で
名前はヒバリですが、全く別属の鳥で、セキレイの様に尾を上下に振っているので
遠くからでも見分けることができます。

ヒバリ <スズメ目 ヒバリ科>   留鳥または漂鳥

    ↓ 画像はクリックで大きくなりますヒバリ

 

 

 

 

 大きさはスズメより少し
 大きい程度ですが
 足が長く、後指の爪も
 長くなっています

 


 

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イワナシ (岩梨)

2011-03-27 17:39:50 | 植物(木本)

イワナシは山地~亜高山帯の礫質土壌の崖などに生えるツツジ科の小低木です。

関西での花期は通常4月末~5月中旬なので、この個体は少し早咲きということになります。

左の葉が虫食い状態でかなり傷んでいますが、これは去年の葉で、この時期は残念ながら
葉が全て無傷で揃っているものはほとんどありません。

 和名は夏に熟する直径1㌢ほどの果実が、梨の味に良く似ていることによります。


イワナシ <ツツジ科 イワナシ属>  常緑小低木


  ↓ 画像はクリックで大きくなりますイワナシ

  

 

  葉は革質で固く、縁に褐色の
  剛毛があります。

 花冠は淡紅色で釣鐘形、縁は
 5裂しています。
 
 茎は地面を這って伸び、上に
 は伸びませんが、低いながら
 樹木(木本)に分類されます

  

 

 

 

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ムラサキケマン (紫華鬘)

2011-03-26 22:25:49 | 双子葉離弁花

ムラサキケマンは春になると、河川敷の樹林や山の麓などで、半日陰の
やや湿った場所に生えるケシ科の越年草です。

和名は紫華鬘で、「華鬘」とは仏殿の欄間などの装飾具の一種です。
全体は柔らかく、傷をつけると少し悪臭がします。

花は紅紫色ですが、まれに白色の変種も見られます。先端は唇形で後部に
長い距を持ち、この中に蜜を溜めています。

全草が有毒で、誤食すると嘔吐、眠気、呼吸麻痺、心臓麻痺などの中毒症状が
表れ、死に至ることがあります。

尚、ウスバシロチョウの幼虫は、この草を食草としていますが、当然ながら
そのウスバシロチョウも有毒です。

ムラサキケマン <ケシ科 ケマン属>

   ↓ 画像はクリックで大きくなりますムラサキケマン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ハクモクレン (白木蓮)

2011-03-24 06:52:48 | 植物(木本)

モクレンとハクモクレンは、同じモクレン属で日本の山野に自生する、コブシやタムシバと異なり、
中国が原産地の渡来品種です。

渡来した年代は定かではありませんが、元禄時代に出版された園芸書「花譜」には
既にモクレンに関する記述があるそうですから、江戸時代前期かそれ以前と考えられます。

画像はハクモクレンで、この木は成長すると、大きいものでは10~15㍍の大木になります。
花には花弁が6個と、萼片が3個ありますが、花弁と萼片はどちらも長さ7~8㌢で
区別するのがちょっと困難です。

蕾の先が必ず北を向くという意味から、コンパスフラワーと呼ばれるそうですが、同じ木で
特定の方向に揃って咲く傾向は見られるものの、必ず北を向くということでもないようです。
因みに、この木ではほとんどの花が南を向いていました。

ハクモクレン <モクレン科 モクレン属>   落葉高木


  ↓ 画像はクリックで大きくなります

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 





  

 

 

 

 

 

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ヒメオドリコソウ (姫踊り子草)

2011-03-22 20:15:26 | 双子葉合弁花

ヒメオドリコソウはヨーロッパ原産で、シソ科の帰化植物です。
東アジアや北米にも帰化して分布を広げましたが、日本では明治26年東京の駒場で初めて
生息が確認されています。現在では本州の関東以西、四国、九州の各地で雑草化しています。

和名は、オドリコソウを1㌢ほどに縮めたような花が咲くことによります。
茎の高さは10~15㌢程で、上部の葉は画像のように紅紫色に染まります。

花は葉の付け根から数個づつ輪状に付き、葉の間から顔をのぞかせます。
雰囲気は同じシソ科のホトケノザに似ていますが、頭頂部には花を付けません。

ヒメオドリコソウ <シソ科 オドリコソウ属>  越年草 帰化植物

  ↓ 画像はクリックで大きくなります

 

 

 

 

 

 

 







 

 

 

 

 

 





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ニワトコ (接骨木)

2011-03-21 20:09:09 | 被子植物合弁花

山地の林縁に生えるスイカズラ科の落葉小高木です。
これも早春に咲く花の一つですが、色は地味なクリーム色で、遠目にはあまり目立ちません。

花は春の山菜として、以前は人気がありましたが、有毒の青酸配糖体を含むため、多食すると
下痢を起こすことがあります。
危険を冒して食べるほど美味とも思えませんので、食べないのが賢明です。

葉は入浴剤として利用すると、打ち身や夏場の汗疹を鎮める効果があります。

ニワトコ <スイカズラ科 ニワトコ属>  別名セッコツボク

  ↓ 画像はクリックで大きくなります

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ヤブツバキ(藪椿)~普通に美しい花

2011-03-19 20:00:32 | 植物(木本)

山野の早春に咲く花木の代表とも言える花です。

本州以南なら何処ででも見られるツバキ科の普通種ですが、中世にはこのヤブツバキから
明石潟(あかしがた)、聚楽(じゅらく)、抜筆(ぬきふで)京唐子(きょうからこ)などの
美しい園芸種が作られました。
最近では、洋種ツバキなども加わり、園芸種のツバキはかなり種類が豊富です。

しかし、そういった人間の手を加えずとも、別名ヤマツバキとも呼ばれるこのヤブツバキ、
珍しくはないものの、気品をそこなわず、華美に流れず、普通に美しい花です。
普通であることをもって至上とするならば、この時期、これほど美しい花はないでしょう。

もうすぐ春爛漫と咲く桜もいいですが、早春の里山で人知れず咲くこの花の奥ゆかしさが
私は好きです。

昔、聞かされた歌にこんなのがありました・・・
「見よ 深山の奥に花ぞ咲く 真心尽くせ人しらずとも・・・」 

 

 ヤブツバキ <ツバキ科 ツバキ属>  常緑高木 

  ↓ 画像はクリックで大きくなります

 

 

 日本の鎖国時代、日本に西洋医学を
 伝授したドイツ人医師、シーボルトは
 一方では、大変なプラントハンターで
 帰国する際に、日本産のツバキを
 何種類か持ち帰りましたが、当時
 のヨーロッパではツバキ科の植物に
 馴染がなかったので、日本産のバラ
 として紹介していたそうです。 

 

 

 

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コバノミツバツツジ (小葉の三つ葉躑躅)

2011-03-18 22:47:43 | 植物(木本)

近くの里山で見付けたコバノミツバツツジです。
フライング気味に咲いたものの、寒の戻りで、少し花が傷んでいるようでした。
山城地方の里山に咲くツツジの代表的なもので、花期は通常4~5月です

 

 花冠は深く5裂していて一見、
 離弁花のようですが、 基部は
 合着した合弁花です。

 

 

 

 ← 画像はクリックで大きく
   なります

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セグロセキレイ (背黒鶺鴒)

2011-03-09 22:36:37 | Weblog

普通に見られる優等生

人里近くで1年中見られる鳥ですが、「普通種」と呼ばれる中ではかなり美しい部類に入るでしょう。

白と黒のコントラストにメリハリがあり、きびきびとした動きや、透明感のある鳴き声には、どこか気品

のようなものさえ感じさせられます。言わば “普通に見られる優等生”です

このセグロセキレイは日本の固有種で、尾を常に上下に振ることから「オビンコ」や「イシタタキ」などの

地方名があります。

食餌は肉食性で、川の浅瀬などを歩いて主に昆虫などを探して食べます。

晩秋につがいになり、2羽で越冬します。

  セグロセキレイ <スズメ目 セキレイ科> 留鳥  

   ↓ 画像はクリックすると大きくなります セグロセキレイ

 

 顔が黒く、白い眉斑があることで
 ハクセキレイとは見分けられます。
 ♂は♀より上面が濃い黒色で眉斑
 が太いと言われますが、明確に
 判定できるほどの違いはありません。

 

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久しぶりの木津川河川敷

2011-03-06 23:05:29 | Weblog

気になる所得税の確定申告書の作成を2月末に終え、やれやれの週末です。
やってみれば難しいことでもなく、ものの3~40分で終わる作業ですが、毎年なぜか億劫に
なってしまいます。どうも気が乗るか、切羽詰まらないとできない私です。

それは兎も角として、日曜日は、昨秋に伐採工事が行われた木津川樹林の跡地に行ってみました。
伐採作業は治水の必要から、20年に1回ほどは定期的に行われますが、ここで自然観察を楽しむ
私達は樹林が消えることに一抹の寂しさを感じます。

 ↓ 画像はクリックすると大きくなります

 

 堤防道路の土手に土筆が顔を出して
 います。

 ハカマを取るのは少々面倒ですが、
 この 時期にはぜひ味わってみたい
 旬の味です。

 醤油と味醂で薄く味を付けて煮た
 のは絶品でが捗ります

 

 

 

 

 冬場はこのあたりに
 アホほど沢山いる
 ツグミちゃんです。
 すっかり見飽きちゃいましたが
  こんなアングルで撮ってみました。
  中々です

 

 
 

 

 伐採を免れた木に
 シジュウカラが一羽・・・
 しばらくの間、遊んでくれました。
 太い木が無くなった今は
 住処に苦労しているだろうなぁ・・・

 

 

 


 

 これも好みのパターン
 いい雰囲気を逃さずに
 パシャッ

 この付近では年中見られる
 ホオジロですが・・・
 ♂さんは繁殖期に
 「一筆啓上仕り候」とか鳴くそうな
 ホンマかいな・・・
 

 

 カワウ

 

  カワウです。
 分類学上はペリカン目とのこと・・・
 そう言えば
 魚を飲み込む時の喉の動きは
 似ている?

 ♂は首回りが白くなる婚姻色が
 出ています。

 

 

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カシラダカ (頭高)

2011-03-03 21:43:58 | Weblog

先日、ホオジロの記事のところで少し取りあげましたカシラダカです。

生活型は、ホオジロが留鳥または漂鳥であるのに対して、此方はユーラシア大陸北部で繁殖し、

冬は越冬のために渡来する冬鳥です。

頭部の羽毛が長く、冠毛を立てているのが和名の由来で、ひと頃、若者達の間に流行った

ベッカムヘアーを連想させるようなヘアースタイルをしています。

今の時期はほとんど雌雄同色ですが、雄は繁殖地に渡去する直前に、頭上と過眼線が

黒い夏羽に換羽します。

食餌は地上を跳ね歩いて、主に草の種子を食べますが、小さな昆虫なども食べます。

地鳴きは小さな声で「チッチッ」と鳴きますが、渡去前の4月頃には、多数が木の梢に集まり

「ピョヒョロリキュルリ・・・」などと美しい声のコーラスを聞かせてくれるので、今から楽しみです。

 

          カシラダカ <スズメ目 ホオジロ科>   冬鳥

             ↓ 画像はクリックすると大きくなります

 

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小春日和

2011-03-01 22:38:29 | Weblog

三寒四温の時期というのでしょうか?このところ2~3日寒い日が続いた後には

4月中旬を想わすような温かい日があります。

1昨日の日曜日には、近くの野外活動センターを歩いていていると、そんな温かさに誘われてか

成虫で越冬中のキタテハが飛んでいるのを見付けました。私が視認したのが4~5頭ですから、この日は

かなりたくさんのキタテハが飛んでいたと思います。

             画像はクリックすると大きくなります

 

ジョウビタキの♂です。左手前の一枝が邪魔していますが構図的にまずまずのパターンで撮れました。
今月末頃からサハリンや中国東北部に旅立っていくのかと思うと少し名残り惜しい気がします。
秋にはまた会えるのでしょうか?

しかしこの小さな体で、途方もなく長い距離を1年に2往復とは・・・
自然がこの鳥に与えた潜在能力の高さに改めて感心させられます。

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