山と自然の雑学ノート

山歩き&散歩道で出会った植物などの記録

オオフタバムグラ(大双葉葎)

2010-07-31 16:43:44 | 双子葉合弁花
北米原産の一年草で、第2次世界大戦後、各地の河原や海岸に広がったと言われています。

茎は下部で枝を分けて、高さは15~25㌢になり、節ごとに葉柄のない葉を対生させ、

葉腋に淡紅色の花を付けます。花冠は4裂し先端は鋭く尖ります。

木津川河川敷での分布を見ると、比較的水的条件の良い雑木林周辺では見られず、水辺から

遠い砂礫土壌に群生していることが分かります。

河原は水に近く湿潤であると思われがちですが、実際には砂礫土壌は保湿力が弱く、多くの

植物は育つことができません。

この生育には極めて不利とも思える砂礫土壌を選んでオオフタバムグラが群生するのには、

同じ環境で競合する他の植物の少なさと、この植物の持つ高温や乾燥に対する順応性の

高さが考えられます。

しかし半面、適湿適温の環境では他の植物との競合には弱い植物なのかも知れません。



オオフタバムグラ <アカネ科 オオフタバムグラ属>  帰化植物





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ツルヨシ(蔓葦)の匍匐茎

2010-07-30 17:29:16 | 単子葉類

ツルヨシは広い河原をもつ河川の中流域~上流域に生えるヨシ(葦)の一種で、茎や葉は

ヨシによく似ていますが、地上に匍匐茎を長く延ばす点が特徴です。

匍匐茎の出始めは通常の茎と変わりませんが、長く延びるにしたがって横になり、地面を

匍匐してどんどん延びると、長いものでは数10㍍にもなります。

匍匐茎の途中の各節からは芽が出て新しい個体が形成され、地面に接した部分から根を出して

砂礫に定着します。

河川の増水による水没や、長期の乾燥にも強く、河川域では非常に高い順応性をもった植物といえます。


ツルヨシ <イネ科 ヨシ属>
ヨシに比べ背丈は低く、せいぜい1.5㍍程度です(ヨシの場合は3㍍以上にもなります)


匍匐茎は長いものでは数10㍍にもなります


匍匐茎の地面に接した部分からは根が出て定着します


縦横に網の目のように広がるところから、”ジシバリ”の別名がありますが
キク科に同名の植物があるところから、現在は紛らわしいので使われていません。

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メハジキ(目弾き)

2010-07-29 18:23:49 | 双子葉合弁花

メハジキはシソ科の越年性1年草で、枯れ葉や枯れ草の堆積した、やや肥沃な河原など

での繁殖が見られます。

和名は、子供達が茎を短く切ったものを瞼の上下につっかえ棒のように挟み、

目を閉じる勢いで飛ばして遊んだことに由来するようです。

この植物の全草を乾燥させたものは古くから生薬として使われ、妊婦の産後の出血や

めまい、利尿、打撲症などに効くとされ、生薬名ではヤクモソウ(益母草)と呼ばれます。

実生による栽培が比較的容易なところから、種を採取して自宅の花壇などで観賞用として

栽培することもできます。


メハジキ <シソ科 メハジキ属>




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ガガイモ

2010-07-27 08:32:31 | 双子葉合弁花

野原や田圃の畦に普通に生える蔓性の多年草です。

横に這う地下茎で繁殖しますが、下草刈りに弱いのか、刈り取りが行われないような

場所での繁殖が目立ちます。

7~8月に咲く淡紫色の花は、花冠が5裂し、顕著な毛と深い溝に特徴があります。

和名に”イモ”と付きますが、葉がヤマノイモなどに似ているだけなのか、

根には芋らしきものの姿は見当りません。

茎を切ると出る白い乳液がでますが、この乳液には独特の弱い臭気があります。



ガガイモ <ガガイモ科 ガガイモ属>


雌蕊は突出し、雄蕊はその周りに貼りつくように集合しています


雌蕊の基部に蜜があるらしく、ほとんどの場合、蟻が溝に頭を突っ込んでいるのが見られます


ガガイモの名前の”ガガ”はスッポンのこと、この葉がスッポンに似ているからということらしい

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ミヤマクワガタ~里の昆虫記(ファイル8)

2010-07-24 07:29:15 | 昆虫
ミヤマクワガタはノコギリクワガタと共に日本産クワガタムシを代表する普通種で、

旧環境庁の指標昆虫とされてきました。(現在の指標昆虫10種には入っていません)

指標昆虫とは、その昆虫の分布によって、どんな自然がどの程度残されているかを知る

目安となる昆虫のことですが、近年、野生のミヤマクワガタを見ることは本当に少なくなりました。

業者などによる乱獲も一因かも知れませんが、元々高温や乾燥に弱い山岳形のクワガタムシなので

温暖化による夏季の異常高温や乾燥が個体数の減少を加速させているようにも思えます。

ネットオークション等では人気が高く、75㍉を超えるものでは2万円もの高値で取引されて

いるようですが、長期に亘って飼育するには、温度や湿度の管理が必要で、現実にはかなり困難です。




ミヤマクワガタ <クワガタムシ科 ミヤマクワガタ属>

比較的標高の高い山岳地帯のクヌギ、アベマキ、ミズナラ等のブナ科の樹木で生活する

クワガタムシの仲間です。一般に高温や乾燥に弱く、30℃を超える高温では育たないと言われ、

温暖化のためか、近年、急速に姿を消しつつあるようです。



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猛暑!水場を離れようとしないアオスジアゲハ

2010-07-22 23:20:29 | 昆虫
先週に梅雨が明けたと思ったら、連日この猛暑です。

いつもは警戒心が強く、すぐに飛び立つアオスジアゲハですが少し様子が違います。

カメラを近づけても全然平気、どうやら其れどころではないようです。

よく観察をして見ると、水を吸飲しながら小刻みにお尻から水を排出しているのが分かります。

この蝶の吸水行動は、一般的には大量の水分摂取と排出を繰り返すことで体温の上昇を防いでいると

考えられています。

しかし、この蝶の吸水行動の目的についてはもう一つ別な見方があります。

それは、吸水行動をする蝶は羽化したばかりの雄で、羽化後の雄にとって必要な成分を補うための

行動とする説です。この雄が必要とする成分はナトリウムで、雌を探して活発に飛びまわるには

筋肉運動にとって必要なナトリウムを吸水によって摂取する必要があるというものです。

ジャノメチョウなどが人の衣服や体に纏わりつき、汗を吸引しているのをよく見かけますが、この行動も

汗に含まれるナトリウムを摂取するためと考えれば納得できます。






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鴨谷の滝~京都の自然200選にも選ばれた名瀑

2010-07-21 19:56:28 | Weblog
私の住んでいる町は京都市と奈良市の中間にあり、近年、都市化が進む城陽市ですが、

市の最南端、国道307号沿いを流れる青谷川の右股は「鴨谷」と呼ばれ、ここには

豊かな自然が残された”秘境”とも言えるところがあります。

この鴨谷を遡上すると、京都の自然200選にも選ばれた、「鴨谷の滝」という名瀑がありますが、

コースには道らしいものはほとんどなく、所々で深くなった沢の中を歩くので膝まであるゴム長靴が

必要です。また沢登りの経験のない初心者だけの入渓は避けたほうがいいでしょう。



R307の脇にある鴨谷の木橋、この橋の向こうは全くの異境


いきなり始まる涼しくて気持ちの良い森の小道・・・自然の息づかいが聞こえてきそうです


すぐ左に青谷川右股の河原へ出る登り坂があり、これを一旦登り


そして河原へと坂を下ります


思わず目を疑いたくなる景色、我が町にまだこんなに素晴らしい自然が残されていたとは・・・


この植物はいったい??鴨谷のあちらこちらで見られました。蕾らしきものも・・・
ウバユリの開花前でした(リンク先「山歩き」指月山さんからの情報です)




クロコノマチョウ <ジャノメチョウ科>


道らしきものはここ迄、この先は沢の中を進みます。アイテムとしては登山靴より
膝まであるゴム長靴が最適です。




川の水を利用しているのでしょうか?取水管らしきものが布設されています


このあたりでは、岩に苔が生えて滑り易いので、水深に問題なければ、水に足を入れた方が
安全に通過できます。


「鴨谷の滝」に到着です。落差や水量はそれほどでもありませんが、さすが「京都の自然200選」に
選ばれただけあり中々美しい滝です。
ここ迄の距離は約600㍍ですが、岩を渡り、水に入りながらのアドベンチャーウォークなので
30分以上はかかります


猛暑の日も、ここだけは別天地


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ミソハギ(禊萩または溝萩)

2010-07-20 22:26:48 | 双子葉離弁花

水田の片隅や山野の湿地に小さな集団を作って生える多年草です。

花は7~8月、葉の腋から3~5個が集まって穂状に咲きます。

茎が直立して行儀よく花が咲く所から、お盆に仏壇やお墓に供える花として珍重され、

地方によっては「盆花」とも呼ばれています。

和名の「ミソハギ」は水で身を清める時に使ったところから、禊萩(みそぎはぎ)を縮めた

とする説と、潅漑用の溝に咲く萩のような花なので溝萩(みぞはぎ)が転訛したとする

二つの説があります。

花期は相当長く、8月末位まで見られます。


ミソハギ <ミソハギ科 ミソハギ属> 多年草


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クサネム(草合歓)

2010-07-19 22:10:28 | 双子葉離弁花

主に水田や沼地の岸に生えるマメ科の一年草です。

和名は、葉の形がネムノキに似ていて、ネムノキと同じように夕方になると小葉を閉じて

垂れさがることによります。

7~8月に葉の腋から短い花序をだし、クリーム色の小さな蝶形花を開きます。

節果は線形で3~5㌢ほどです。


クサネム <マメ科 クサネム属> 1年草




クサネムの節果


午後6時頃、葉はネムノキのように、小葉を閉じて垂れ下ります。

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ヤブマオ(藪苧麻)の雌花序

2010-07-18 19:44:25 | 単子葉類
ヤブマオは草丈の高い草地に普通に見られるイラクサ科の多年草です。

和名は、古代繊維植物の一つ、カラムシの別名マオ(苧麻)に、役に立たない意味の

ヤブ(藪)を冠したものですが、奈良時代頃にはこのヤブマオも衣類を作る繊維植物

として利用されていたそうです。

花期を除けば、あまり目立たない雑草の一つですが、7月頃には画像のような、白い

紐状の雌花序をのばし、群生する姿は荘観です。

この植物は雌雄同株で、雄花序は下方の葉腋に少し貧弱な花序を形成していますが、

中には、雄花序を全く付けない株もあって、未成熟の雌花序との見分けは難しいようです。

この雄花は花粉を作りますが、雌花は受粉することなく単独で種を作ることができます。

要するに、この植物の世界では進化の末に”男はいらん”ということになったようです。

それにも拘わらず、せっせと花粉を作る雄花の存在とは・・・

どこか男の悲哀のようなものを感じてしまいますね~

ここは取り敢えず人間の男性に生まれて良かった?ということにしておきましょうか。

それでは、どちらさまもなさ~い



ヤブマオ <イラクサ科 カラムシ属>  多年草




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ナツフジ(夏藤)

2010-07-17 19:28:45 | 被子植物離弁花

フジの花は大体4~5月初め頃に咲きますから、あれっと思われるかもしれませんが、

このフジは、名前でも分かりますように、7~8月頃に花が咲くフジです。

この頃に、本年枝の葉の腋から12~20㌢の花穂を出して1.3~1.5㌢の

クリーム色をした蝶形の花を多数開きます。

花の色はこの色だけで、フジの仲間では比較的地味なタイプです。

茎はフジやヤマフジのように太くはならず、蔓を延ばして高木の上部にまで達する

ようなこともありません。冬に地上部のほとんどが枯れることや、花が一斉にではなく、

少しづつ咲いていくこと等、他のフジ属と違った性質があることから、フジやヤマフジとは

別属とされています。

このナツフジの生えている場所は、主に低木帯で、他の蔓性植物と絡みあったり、

草や低木に巻きついて生活しています。

尚、フジやナツフジの仲間は草本や木本とは別に落葉藤本と位置付けられています。



ナツフジ <マメ科 ナツフジ属>  落葉藤本  別名ドヨウフジ




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オモダカ(面高)

2010-07-15 10:38:26 | 単子葉類

今日は家の近くの水田に来ています。

ご覧の画像の植物は多分、水田雑草の一つオモダカだと思います。

多分というのは、これと非常に似た植物でアギナシというのがあるからです。

生えている場所が水田であることと、花の咲く位置が葉よりも低いことから

一応、これはオモダカであると判断しました。

正確には、秋に葉の基部を見て、ムカゴができていればアギナシ、無ければ

オモダカという判断ができます。

独断になりますが、アギナシはもっと自然度の高い池沼や湿地に生えていて

このような水田に群生することはほとんどないように思います。



オモダカ <オモダカ科 オモダカ属> 常緑性抽水植物







これは近似種のナガバオモダカ、花の中心が緑で、葉の形がヤジリ形をしていません。

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オオコフキコガネ(大粉吹き黄金) ~里の昆虫記(ファイル7)

2010-07-14 22:37:15 | 昆虫
体長が25~32㌢ですから、比較的大型のコガネムシです。

前翅の全体に粉が吹いているように見える細毛が生えていることから

オオコフキコガネと呼ばれています。

ずんぐりとした体形と愛嬌のある可愛い目が印象的な虫さんです。

画像の個体は、触角が立派なので♂さんと思われます。♀さんの触角はこれほどは目立ちません。

幼虫は河原の砂地で草や木の根を食べて育ち、6~8月に羽化した後は、主に柔らかい

樹木の葉を食べます。食草の範囲は比較的狭いようで、画像の食草はウルシ科のヌルデです。


オオコフキコガネ <コガネムシ科 コフキコガネ亜科> 




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ネムノキ(合歓の木)

2010-07-13 23:12:08 | 被子植物離弁花

梅雨の時期から繊細なピンク色の花を沢山付けるネムノキです。

果実が豆鞘に種が入っていることからマメ科に分類されていますが、この花を見る限りでは

他のマメ科の花の形とあまりにも違いが大きすぎて「どうも違うなぁ~」という気がします。

”ネムノキ科”または”ネムノキ亜科”とする方が感覚的には合っているようです。

このように、マメ科の中で花弁が発達せず、多数の雄蕊を持つものとしては他に

ギンヨウアカシアやオジギソウ等があります。

和名の「ネム」は、夜になると葉を閉じる(就寝運動)ことから、また漢字の「合歓」は

その様を仲の良い夫婦や恋人に見立てたものです。

尚、葉が夜になると閉じるのとは逆に、花は夕方から開花し始めます。



ネムノキ <マメ科またはネムノキ科 ネムノキ属> 落葉高木


構造の分かり難い花ですが、淡紅色で長く沢山あるのが雄蕊、少し長く白いのが雌蕊です。
花弁は発達せず、基部で萼と合着していて、この画像ではほとんど見分けができません。

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木津川の流れ橋

2010-07-12 22:32:57 | Weblog
時代劇の撮影スポットとして知られる木津川の「流れ橋」です。

昨年の台風18号による木津川の増水で壊滅的な打撃をうけましたが、

6月16日にようやく修復が完成しました。

この橋の正式な名称は上津屋橋(こうづやばし)といいますが、流れ橋の構造を持つことから

一般には「木津川の流れ橋」という名で親しまれています。


普通の橋は橋桁は橋脚に固定されていますが、この流れ橋の橋桁は橋脚に乗せてあるだけで、

川が増水した時に、橋桁は水に浮かんで流される仕組みになっています。

つまり橋桁が流されることによって、水圧をやり過ごし、橋全体が破壊されることを

防ぐ構造になっています。橋桁は8分割してスチールワイヤーで橋脚と繋がっているので

流失することなく、効率的に回収することができます。

しかし、昨年の台風18号の時の大増水では、橋脚もろとも破壊されたため、ほとんど橋全体が

壊滅的な打撃を被りました。


全長は356.5㍍、流れ橋としては日本一






手摺りはありません。自転車に乗って渡るのはちょっと不安?


流出時の橋桁の損傷を減らすため、全区間で金具を取り付けユニット化されました


右岸に近い橋脚の流失部分はコンクリート製の橋脚が使われました。(全73基中17基)


左岸の堤防道路から見た流れ橋の様子です。
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